Phasemation フェーズメーション

colums会長のコラム

会長のコラム 015

八ヶ岳高原音楽堂と言えば、かつて世界の名演奏家で賑わったことで有名です。先日(8月27日)、この音楽堂で行なわれた「姜建華二胡リサイタル」に行ってきました。

この音楽堂は、八ヶ岳高原ロッジ(プリンスホテル)が経営するもので、大変響きの良いホールが売りになっています。私は二胡なるものの本当の音を聞きたくて行ってみたのですが、運良く最前列の席に当たりまして、しっかり聞く事ができました。

この姜建華嬢は、小沢征爾が、彼女の二胡演奏に感動して世界に紹介した、と言う経緯があります。しかし、私はこの二胡が西洋音楽にマッチして人口に膾炙(かいしゃ)しているのか疑問を感じます。また私自身が中国の音楽に全く興味が無いのですから、小沢征爾が何をやろうと馴染めないものは仕方ありません。

この二胡なるもの、実に不思議な音がします。小さな共鳴胴でよくもこんなに大きな音が出るものだと感心します。中国2千年の歴史がある楽器だそうですが、ロシアの何とか言う電子楽器の雰囲気に似ており、何かお化けが出てくる雰囲気にも感じますし、哀愁を帯びたもの悲しい雰囲気をもつくり出します。演奏技法にも寄るのでしょうが、このコンサートでの日本の歌やブラームスの曲などは全くの不一致を感じてしまいました。

聴衆の中には、一見して「金持ち、おばん族」と思しき人達も居まして、妙に関心した姿でため息をつき頷きしていましたが、内需拡大に貢献する「おばさん族」ですから大目にみておくことにしますが、世の中には実力が有って恵まれないアーティストが多く居られます。「おばさん族」もこの様な人達のコンサートにも、足を運んでくれると良いのですが。

さて、今年もサイトウキネンフェスティバルのシーズンになりました。今年から新しいオペラ公演用の音楽ホール「まつもと市民芸術館」でのオペラ公演が話題を呼んでいます。私は9月2日の公演に席が取れ行ってきました。なかなか素晴らしいオペラハウスです。一見するとヨーロッパの馬蹄形オペラハウスの素晴らしい雰囲気です。構造は近代的音響効果を考えたホールで、私の席からは実に良い状態で「見る、聞く」を体験出来ました。

出し物はアルバン・ベルク「ヴォツェック」でした。あまり馴染みの無いオペラですが音楽ファンにはそれなりに指示されているようです。この様なマイナーな現代オペラは、集客力や資金面などあらゆる点で、小沢征爾でなければ出来ない作品ではないでしょうか、舞台装置も建築家の安藤忠雄の担当で、プラスチックペットボトルを4万本使ったとの事です。

公演に先立ち、事前の勉強をしようとDVD やCD探したのですが、結局ナクソスの2枚組みCDしか手に入りませんでした。しかもその解説書が全て原語で殆ど読めない状態ですから、殆ど予習なしでした。

しかし、舞台両サイドには字幕が出ますので充分に楽しむ事はできます。以前、リヒアルトシュトラウスのオペラを始めて聞いたとき、それがウイーンでしたから字幕などあろう筈が無く、始めの内は戸惑いましたが事前の勉強の効果も有って、充分に理解出来、以後このオペラにすっかりはまってしまった経過が有ります。しかしこのアルバン・ベルグは、なかなか難しいし内容が暗いオペラなのでハマルまでには行かないでしょう。

オーケストラをはじめ出演者がしっかりしているから、芸術として私でも理解出来たのではないかと思います。何と言ってもオーケストラのメンバーが超一流です。カール・ライスターや鈴木大介がメンバーに入っています。全曲1時間45分ですが、途中休憩なし、通しで演奏しますので流石にお尻が痛くなりましたが、それよりも、お年を召された人はトイレが大変だったのではないでしょうか。

ちなみに、今回のサイトウ・キネン・オーケストラのコンサートマスターは矢部達也でした。世界レベルの素晴らしい音を奏でるオーケストラで、流石としか言いようが有りませんでした。

鈴木信行 :すずき のぶゆき

昭和45年勤務先のアイワ株式会社をスピンアウトして独立。

磁気記録に関る計測機器の製造販売の事業を開始し、その後カーエレクトロニクスの受託設計の事業を始める。

何れの事業も順調に発展したが、会長の永年の思いであった、ハイエンドオーディオの自社ブランドを立ち上げ、現在はカーエレクトロニクスの事業を主とし、協同電子エンジニアリング(株)として運営している。

現在、協同電子エンジニアリング(株)の取締役会長として、趣味のオーディオを健全に発展させたいと真摯に研究し、開発に勤めている。

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