会長のコラム 037
アルゼンチン旅行 その2
ブエノスアイレスの交通渋滞ぶりをみて下さい。この黄色い屋根の派手ないたちがタクシーです。 このタクシーに乗れば安全で、雲助に会う心配も有りません。ホテルのセキュリティーでさえ信用できないほどに治安が悪いといわれていますが、このタクシーだけは信用出来ました。
黄色い屋根のタクシー | カルロス・ガルデロの墓所 |
肉の旨さについて前回ふれましたが、ワインがことのほか旨くて安いのがここアルゼンチンです。 自然環境に恵まれた平原は、この上無い理想のブドウ畑です。そこから出来るワインは豊富そのもので、マーケットで10ペソ以上するワインを見つけるのは容易でないほどに安く売られています。
私は、ワインを日本に持ち帰ろうと思い専門店に行ってみました。 ここのぶどうの生育に適した土地をワイン造りのプロ達が見逃すはずは無く、フランスやカルアォルニアから技術者を呼んでの銘柄ワイナリーがあって、その事を売り物にする高級ワインも存在します。
しかし、私は折角アルゼンチンで買い物をするのだから、アルゼンチンの技術で醸造したものが欲しいと店員に言ったところ、実に嬉しそうな顔をしたのが印象的でした。 店員曰く貴方の意見が正しい、誠意を持って推薦しますということで、全てお任せで購入し日本に送ってもらうことにしました。 価格は全て40米ドル程度でしたが、それら全てがナパ産の100ドル以上の物と遜色ない味であったことを報告しておきます。
アルゼンチンタンゴに付いてもう少しお話しておきましょう。この国のロケーションは、 言うまでも無く南米大陸の先端ですよね。ここに突如としてヨーロッパ文明が栄えたわけですから、 文明の生い立ちも不自然だったと思います。金持ちや貧乏人のるつぼだったようで、 そこに音楽の確固たる基礎の上に哀愁を乗せて発達したタンゴですから、日本の演歌とは音楽的基礎が違います。
ですから、ガルデルやピアソラのような世界的アーチストや作曲家が生まれ出たと考えられます。アルゼンチンでのこの二人の評価は正しく英雄で、その墓所には花が絶えません。 アルゼンチンの若者の間では、ピアソラはブームであり人気の絶頂ですが、我々タンゴのオールドファンにとっては不満です。 「時代遅れの爺」といわれればそれまでですが、趣味の世界ですから許して下さい。私とて、ピアソラを認めない訳ではなく、その音楽性は素晴らしいと思います。しかし、それは我々の知るアルゼンチンタンゴではなく音楽の一つのジャンルであって、それを聴きにわざわざ地球の裏側まで来たのではないと言う事です。
トラディショナルタンゴが演奏されているライブハウスが健在である事は、前回お話ししました。そこでの隠し撮りした女性歌手の「ビルヒニア ルケ」の写真があります。(残念ながら掲載は控えます。) 恐らく80歳半ば頃でしょう。未だに古典タンゴを歌っており地元での人気はなかなかのものです。 このステージの後、我々のツアー仲間の女性がこのロペスにサインを貰い、そして握手をして貰ったとたんに、感極まって泣いてしまいました。我々のタンゴオールドファンは、そう言うものなのです。