会長のコラム 265
R6年10月のコラム
今年度、新商品グランプリ狙いの商品に付いてです。評論家先生方へのお披露目も今月で大方終了します。今回のお披露目試聴会は、出だしの躓きをクリアーし、現時点までは、順調に進んでまいりました。
対象商品のSA-1500(300Bシングル・ステレオタイプのプリ・メインアンプ)は、最もポピュラーな商品で、市場競争の激しいカテゴリーであります。敢えてここに打って出る、その趣旨は何か、その心の内を明かす事にします。
良い音を求めるには、L、Rのチャンネルをそれぞれの筐体に分けて、独立筐体として2チャンネル化するのが、一般的な手法である事を先に述べました。しかし使い勝手を考えるとL・R 一筐体である事が理想と言えます。また、動作時に筐体カバーを外して聴く習慣は如何なものか、疑問を感じます。外さずに、最適な音を聴く事が出来れば、言う事無し。
本商品は、筐体カバーを付けたままの状態で最適な音質が求められる設計を試み、従来の常識を覆す設計の完成に至りました、当初は誤解や批判を浴びましたが、全ての問題をクリアーし、最良の結果を得て、市場に投入しました。
本器の最大の特徴は、音量調節用のVRをパスする機能を設け、別筐体の他社製プリアンプや、当社製パッシブATTの接続、等のプリアンプ機能を有する機器の接続端子を設けています。
ここに、今般同時発売の新商品、トランス式パッシブATTのCM-1500の接続が可能で、このグレードアップ音質は、ベテラン・マニアの方々も、未体験の素晴らしい再生音が体験出来ます。この機能を有するSA-1500アンプの市場投入は、ヨーロッパ市場からの引き合いが多く、最近やっと国内市場への投入が可能になりました。
今月の音楽ライフ
10月9日 新国立劇場の新シーズン第一回公演「ベッリーニ/夢遊病の女」の公演に行ってきました。
ベッリーニの作品には「ノルマ」、「清教徒」等が有ります。私、この「夢遊病の女」はDVDソフトを持ってはいるものの、生演奏は初めてでした。このオペラは、全編に渡るメロディーラインが素晴らしく、今般、舞台に接してみて、その素晴らしさには感動しきりで、言葉もありませんでした。
ベッリーニの作品には、特に「ノルマ」は、嘗て、イタリア政府の日本親善公演のプログラムに入っており、その時のスカラ座公演で、私はすっかりベッリーニ・ファンとして出来上がっていました。
この人は、大変な天才だったようで、天才に有りがちな意識障害で早逝しています。プッチーニ、ヴェルディの黄金時代より100年程前の時代ですから、ベルカント・オペラ草創期の人、いや、ベルカント・オペラの発想者と言える人かも知れません。
10月26日 みなとみらい・ホールに神奈川フィル定期演奏会に行って来ました。
演奏曲目が、前ステージ「ラフマニノフ/P協2番」と後ステージ「プロコフィエフ/交響曲第5番変ロ長調」でした。
ラフマニノフのP協2番は、ご承知の様に極めてポピュラーな曲で、映画に取り入れられる有名曲で有ります、私もアルバイトで稼いだカネで始めて買ったLP がこの曲であった事を鮮明に記憶しています。
ピアニストの清水和音は、20歳でロンティボー国際コンク
当日の指揮: | 小泉和裕 |
ビアノ: | 清水和音 |
ールに優勝し、共演者か厚い信頼を得ており、桐朋学園大学の教授を務める人です。自信に満ちたタッチは聞いていて気持ちが良い、感動するピアニストと言えましょう。
ご存じ、ラフマニノフのP協ですからいう事無しのコンサートでした。
後ステージの「プロコフィエフ/交響曲第5番」
プロコフィエフは、ウクライナの農村に生まれ、モーツアルトに匹敵する天才と言われていたそうです。
この作曲家は、大作曲家として名をなしている人ですが、私の興味から程遠い人との思いが強かったのです。しかし、定期演奏会で、しかもラフマニノフのP協とカップルとあれば、聞かない訳には行きません。複雑な思いで聴き始めました。
聴いてみると、何か解るような気がするから音楽は面白い。「そのりて」の解説を読んでみると、この曲を理解出来ない筈は無いと言う事を思うに至り、食わず嫌いは良くない、しかも良い歳をして、今更、と思うその「心」が不純である事に気が付くのです。
残る人生、わずかでありますが、前衛音楽を聴く気が沸いて来ました。
定期演奏会と言うコンサートの存在に感謝です。