Phasemation フェーズメーション

colums会長のコラム

会長のコラム 232

12月のコラムです。今年もいよいよ残り少なくなってきました。あれもこれもと思い巡らし、落ち着かない日々を過ごして居ます。
今年発売された商品から選ばれる、オーディオ各誌の表彰記事も出揃い、お陰様で当社商品は、全ての雑誌の賞に与かりました。年末に開催された大手販社の主催する説明会に開発担当者は引っ張りダコ、苦労を掛けていますが、嬉しい悲鳴が聞こえてきます。
商品カテゴリーの中で、新商品として話題を牽引するのは、何と言ってもスピーカーでしょう。何はともあれスピーカーに最大限の興味が惹かれます。これは、私自身が手を下せない技術分野だから、余計にそう思うのかも知れません。
最近のフルレンジ・スピーカーは、音場空間の表現を重視するトール・ボーイ型キャビネットが主流である事を以前にもお話しました。そして、今年の商品傾向も例外なくこの方向です。このキャビネット構造が、低音再生に不利な形状である事も以前に話しました。だからこの点の進化が如何なのか、興味をそそられるのです。
今年の新商品の全てを聴いた訳ではありませんが、各社の資料を見る限り、この点の進化に力を入れている様子が伺われます。その結果として、キャビティーを大きく重く、加えて制震対策と言う具合に、仕上がった商品は大きく、益々重くなり、理論的に考えると当然の結末、やはりそうなるのか、我ながら納得なのです。結果として、スピーカーを駆動するアンプに、益々ハイパワーが求められる。言ってみれば多飯食らいとなり、半導体のハイパワーアンプに依る、高音質化が求められる方向です。
真空管アンプもパワーアップを求められ、我々もそれに適うアンプを考えています。しかし、逆説的に言うなら、いよいよ、チャンネル・アンプ・システムの出番と言う事も有り、との考えに至ります。
当社の300BシングルMA-1500 を左右3チャンネル使用するとして、合計6台が必要となります。それでも480万円です、この価格でハイ・スピードのハイパワーアンプを購入する事は出来ません。チャンネル・アンプ方式ですと、非力と言われる真空管アンプも、全帯域の1/3を受け持つだけです。しかも、チャンネル・アンプ・システムでは自分の思う音作りが出来る。だから音楽ジャンルへの対応も思いのまま、ジャンルに合わせて音作り、これが音楽を楽しむツールとして、有るべき姿と考えるなら、言う事なしの好条件、いよいよチャンデバの商品化に邁進すべきとアクセルを踏み込む心積りです。
このチャンネル・アンプ方式について、ここ暫くの間、当コラムにはお休みを頂いていましたが、その間、性能アップとシステム改善の作業は継続し続けており、その一端をここにご披露します。
コラムの記事への登板は休んでいましたが、その間、評論家先生方、そして、ハイエンド・アマの方々にお貸し出しして聴いて頂く等の活動を継続し、検証に次ぐ検証によって、色々なご意見を頂きつつ、その集大成として得た問題なり改善策なり、お話のタネは尽きません。よって本件は長くなるので、次回のテーマとさせて頂きます。
主題としては、6dB/oct パッシブフィルター方式は譲れない。この点は、私の音楽鑑賞に関わる信念であります。ここで起こる問題への対策などにも触れますので、今後をご期待下さい。

今月の音楽ライフです。
12月10日 14:00開演で新国立劇場に プッチーニ/オペラ「蝶々夫人」に行って来ました。
このオペラは、私が懇意にしていたバス歌手の岡村喬生さんが、日本の習慣解釈に間違いが有ると言って拘った事を以前にもこのコラムにてご紹介しました。そんなことから、このオペラは、私にとって鑑賞する機会の多かった作品です。加えて、新国立劇場での公演も多い演目で、その舞台装置は毎回使い回しているので、新味を欠く面も有りますが、それ以上に出演歌手、オーケストラ、指揮者、そして演出が毎回異なります。これが、オペラ鑑賞の神髄と言うもの、オペラは止められない、鑑賞する度に新しい感動を受ける、その原点がここに有ると言えましょう。
当日の蝶々さん役のソプラノ歌手の中村恵理さんは、大阪音楽大学卒業後、新国立劇場オペラ研修所を修了、08年から英国ロイヤルオペラに在籍し、09年にアンナ・ネトレプコの代役を務めてブレイクします。現在大阪音大の教授をつとめますが、新国立劇場への出演も度々で、声量も多く、歌唱力も素晴らしい、新国立劇場ならではのキャストと言えましょう。そして、ピンカートン役がテノールのお馴染み村上公太、バリトンのシャープレス役が唯一外国人のアンドレア・ボルギーニで、新国立劇場初登場ですが、ヨーロッパを主に活躍している人で、これだけの歌手陣は、新国立劇場ならではと言うものでしょう。
オーケストラは、東京フィルハーモニー、指揮が下野竜也、久しぶりのしかも得難いキャスト揃いの公演に堪能させてもらいました。今月のコンサートは、充実したこの一件のみでした。12月の恒例、第九演奏は、あえてコンサートには出向きませんでした。

鈴木信行 :すずき のぶゆき

昭和45年勤務先のアイワ株式会社をスピンアウトして独立。

磁気記録に関る計測機器の製造販売の事業を開始し、その後カーエレクトロニクスの受託設計の事業を始める。

何れの事業も順調に発展したが、会長の永年の思いであった、ハイエンドオーディオの自社ブランドを立ち上げ、現在はカーエレクトロニクスの事業を主とし、協同電子エンジニアリング(株)として運営している。

現在、協同電子エンジニアリング(株)の取締役会長として、趣味のオーディオを健全に発展させたいと真摯に研究し、開発に勤めている。

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