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colums会長のコラム

会長のコラム 217

9月のコラムです。
収束の見えないコロナ禍、如何お過ごしですか。定番のコンサートライフは、一部回復基調ですが、まだまだ正常とは言えない状況が続いています。毎月定例の集まりに、本の会、アルゼンチン・タンゴの会、クラシック音楽を聴く会、などが有り、全て休止状態が続いていて、ストレスの解消には程遠い生活環境であります。
こんな状況の中、ヴァイオリニストの黒沼ユリ子さんがメキシコから帰国され、日本国への入国に際し2週間の移動と面会の禁止義務を負って、その身元引受人として当社の西松顧問が引き受けられ、先日、無事その2週間をクリアーし、無罪放免となりました。本来なら盛大な歓迎会を催したいところ、それも出来ず、少人数で手作り料理のお祝い会となり、積もる話に時間の経過を気にしつつの、つつましいお祝いとなり、何とも燃焼不足の祝い会でした。別れ際の「コロナ解決後にまたね」と挨拶してのお別れは、心残りでありました。余談ですが、9月は私とユリ子さんのお姉さま俊子さんの1日違いの誕生日でもありましたが、この件はコロナに敬意と言う事で、お互い言葉にしませんでした
黒沼さんは、日本とメキシコの関係が深い千葉県御宿町に居を構え、ここでご主人を病で亡くされています。ここに、メキシコの家と称する資料館と少人数収容のコンサートホールを常設し、お姉さんの俊子さんと運営しており、私が音響設備を提供して居ります。
ここで、黒沼さんのライブ演奏やレクチャーを伴うレコードコンサート等の催しを行っています。
黒沼さんは、プラハで音楽家としての教育を受け、世界中を演奏旅行され、ご主人の出身地であるメキシコに居を構えておられました。氏のレクチャー内容は、面白い話が止めどなく出て来て、楽しい時間が過ごせますし、メキシコでの音楽教育にご尽力されたことから、皇太后さまの篤いご信頼を得て居られます。
コロナが収まった時には、当社のイベントなども計画したいと願っていますが、何時になるのか、私の体力が尽きないうちにと強い思いを描いております。

さて、以前よりご案内して居ります、チャンネル アンプ システムですが、3D 式サブウーファーのJVC社製IK38 のユニットを経年劣化で破損させてしまいました。この際ですから、市場で購入容易なユニットに替えての実験を試みる事にし、TAD-1601a に変えての実験を試みています。このユニットは、磁石が強力でダンピングが強いので有名です。過去の経験から、私の期待する低音の音質が得られず、お蔵になっていた物件です。
実験は、サブウーファーの帯域にデジタルフィルターを使って実験を重ね、その定数をアナログフィルターに置き換え、商品化に繋げる実験です。デジタルフィルターをサブウーファー帯域として、20、25、30Hz、と3種類の12dB/octデジタル・バターワースLPF に設定したものです。サブウーファー帯域再生用に専用アンプを設け、この帯域をシャープに切り、メイン再生帯域への影響を避けるように対応しました。
この試みは、私の思い描くコンサートホールの低音を見事に再現し、強力な磁石によるダンピングと言う、低音再生の王道を成功させ、悦に入っています。このフィルター定数をアナログに置き換えて、商品化を目指すことにし、いよいよ、「俺の音」の実現が見えてきました。今年の新商品には間に合いませんが、来年早々には評論家先生方のご評価を得たいと考えています。

今月の音楽ライフです。
9月5日土曜14.00開演で、神奈川フィル定期演奏会に行ってきました。
指揮: 沼尻竜典
ソロ・コンサートマスター: 石田泰尚
アルト・サックスフォン : 上野耕平
演奏曲目

前ステージ ストラヴィンスキー/若い像の為のサーカス・ポルカ
ショスタコーヴィチ/交響曲9番
後ステージ グラズノフ/アルト・サクソフォン協奏曲
ストラヴィンスキー/組曲「火の鳥」1919年版
  

指揮者の沼尻は、2022 年シーズンから、当神奈川フィルの音楽監督就任が予定されています、今回の363回定期演奏会は、ロシア シリーズとしてプログラムが組まれています。
最初の曲サーカス・ポルカは、4分程の小品ながら、ストラヴィンスキーらしく、茶目っ気があり演奏回数の多い曲といわれますが、私は初めて聞く曲です。シューベルトの軍隊行進曲からの引用なども有って、これからロシア音楽特集だぞ! との序曲的でもありました。
ショスタコーヴィチ/交響曲第9番は、8番で反体制派ともくされ、その挽回のつもりで書いた曲が9番と言われていますが、スターリン賛歌を期待した当局は、ディベルティメント風の曲に「西欧追従の形式主義者」として批判され、評価は得られませんでした。しかし、スターリンの死後いち早く西欧で認められた、曰く付きの名曲であります。
後ステージのストラヴィンスキー/組曲「火の鳥」はお馴染みであります、オーディオマニア諸氏のテストレコードとして持て囃される曲です。
そして、グラズノフ/アルト・サクソフォン協奏曲です。ソロ奏者の上野耕平には驚きました。サクソフォン でこんな事が出来るのか、こんな凄い音が出るのかと。サックスと言えば、専らジャズ分野のもの、クラシックのソロは初めて聞きました。この楽器がこれ程に細かな変化を奏でる楽器とは以外な思いであり、初めて聞くクラシック音楽のソロには、暫く唖然でした。
そのソロ奏者の上野耕平は、凄い奏者です。調べたところ、東京芸大卒で、そのテクニックには在学当時から定評とのことです。この曲こそ、定期演奏会でなければ体験出来なかったとの思いが募ります。
9月20日日曜15.00開演で川崎市民交響楽団(川響)演奏会に「カルッツかわさき」に行ってきました。ここ「カルッツかわさき」は、2年程前に完成したコンサートホールで、川崎駅から徒歩15分ほどありますが、オペラの公演も出来る大型のコンサートホールです。
当日は、コロナ禍の為に一席置きの着席に加えて、限られた人数を予定しての公演と言うこととで、満席の1/3程度の観客数の為か少し反響が大きかった気がします。しかし悪い響きでは有りませんで、ここにもまた一つの大型コンサートホールの誕生に期待が膨らむと言うものでありました。
当日の演奏曲目は、神奈川フィルと打ち合わせしたかの如く、ロシア音楽特集でした。
指揮が河上隆介、この人は変わった経歴の方です。成城大学法学部を卒業後、東京音楽大学音楽部音楽学科作曲指揮先行を終了され、現在東京音大指揮科助教を務めるひとです。
川響はお馴染みのアマチュア・オーケストラですが、要所にはコンマスを始め、プロの奏者を置いて、完璧なるプロオケのレベルを確保しています。
演奏曲目
前ステージ ショスタコーヴィチ/祝典序曲
      ハチャトリアン/組曲「仮面舞踏会」
後ステージ ショスタコーヴィチ/交響曲第5番

お馴染みの名曲です。交響曲5番は、時代的に前衛化音楽を期待する、スターリンへの気遣いから、それを試みつつも、作曲者のスタンスから、古典派を臨むものであり、難しい局面での「仕事」であったと言われます。アマチュア・オーケストラには難しい演奏曲目の範疇でしょう、このコロナ禍で練習も思い通りに行えなかったと言います。加えて、音楽文化を創る川崎市とのキャッチから、川崎市の支援に応える事も有ったでしょう、ご苦労様、聴かせて頂き有難うと言うところです。
文化都市を目指す川崎市、その地の「川響」頑張れとエールを送るものです。

鈴木信行 :すずき のぶゆき

昭和45年勤務先のアイワ株式会社をスピンアウトして独立。

磁気記録に関る計測機器の製造販売の事業を開始し、その後カーエレクトロニクスの受託設計の事業を始める。

何れの事業も順調に発展したが、会長の永年の思いであった、ハイエンドオーディオの自社ブランドを立ち上げ、現在はカーエレクトロニクスの事業を主とし、協同電子エンジニアリング(株)として運営している。

現在、協同電子エンジニアリング(株)の取締役会長として、趣味のオーディオを健全に発展させたいと真摯に研究し、開発に勤めている。

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