会長のコラム 044
4月から神奈川フィル定期演奏会の今シーズンが始まりました。第1回目は、4月27日に開催されましたが、私は所用で行けずチケットを友人にあげてしまいました、当日はシーズン初日と言うことで、オーケストラメンバーを交えた、パーティーが催されたとのことで残念な思いをしています。
第2回目のコンサートが、先日5月11日に開催されました。今シーズンは、神奈川フィルに大きな変化がありまして、何と言ってもハンス・マルティン・シュナイトさんが音楽監督に就任した事は大きな出来事で、しかも全てのコンサートが横浜みなとみらいホールで開催されるようになったことも朗報です。
この2回目の演奏会は、シュナイトさんの最初の指揮によるもので、演奏された曲が、ブラームスのバイオリン協奏曲と交響曲2番であったことは意義あるものでした。
当日のバイオリン独奏は、米元響子さんで、ロン・ティボー国際音楽コンクールに第三位に入賞するなど数多くの賞に優勝や入賞しており、現在ベルギーに在住して勉強に励んでいると言う将来を嘱望されている人です。
米元さんの演奏は、若いのにすごいなーと言う印象が第一で、既にベテランの域にある諏訪内晶子さんの演奏よりも心に残るものを感じたのは私だけではないようです。ブラームスは、バイオリン協奏曲はこの一曲しか有りません、そして、この曲は当日演奏された交響曲第二番と殆ど同時期に書かれており、所謂ヴィルトーゾ協奏曲と言われるソリストの技巧を強調するロマン派のものとは一線を画すものであります。しかし、ブラームスは独奏バイオリンの輝かしい表現を抑圧しようとしたものではなく、華麗な技巧や動きがふくまれており、演奏家の優れた技量を求める内容になっています。
交響曲第二番は、制作に15年も費やした一番の大成功に気をよくして、まるで肩の力がすっと抜けたように、わずか数ヶ月で書き上げてしまい、その流れるような筆の運びが音楽の動きに映し出されているといわれています。
この同じような環境で完成した曲をシュナイトさんは選んでおり、「シュナイト音楽監督就任記念公演」と名を打った演奏会に相応しい選曲、そしてシュナイトさん得意のレパトリーは、観客の鳴り止まない拍手で終演することになりました。