会長のコラム 048
恒例のサイトウキネンフェスティバルをレポートします、今年はチャイコフスキーのオペラ「スペードの女王」を観劇しました。私は、本公演の初日の8月26日日曜のマチネの観劇でした。これだけの大作を初日で観劇するのは得策では無いと思いましたし、皆がその様に言っていましたが、この月31日からイタリアのフィレンツェを廻り、ルッツェルン音楽祭に出かけるので日程的に仕方が有りませんでした。
このオペラに付いてですが、過去の公演記録によると1910年にメトロポリタン歌劇場にてマーラーが指揮して以来、1965年のやはりメトロポリタン歌劇場での再演を待たなければならない程に演奏機会の少ない演目です。観劇した感想は、一口に言って完成度の高い良いオペラです。ロシア語による公演でしたが、字幕のお陰で全く違和感は有りません。
今回の公演はメトロポリタン歌劇場との共同製作との事で、主役のゲルマン役(テノール)のウラディミル・ガルージンとリーザ役(ソプラノ)のオルガ・グリャーコフはロシア人です。ゲルギエフの子飼のような存在ではないでしょうか、二人ともキーロフ劇場の一員であり、ゲルギエフのメトロポリタン歌劇場での公演にはよく共演しております。
私は始めて聞く歌手でしたが、大物歌手の風格があり暫くぶりで興奮を味会う素晴らしい歌手でした、舞台装置や衣装も流石が豪華その物で、その上、サイトウキネンのオケも素晴らしく、新国立劇場のオケを聞きなれた私としては興奮の一語に尽きるものでありました。
このオペラは何ゆえに公演機会が少ないのか疑問を感じます、音楽は作曲がチャイコフスキーで、当然の事ながら所謂チャイコフスキー節が利いています、ストリーもスリリングで何も欠点が有りません、ただ、イタリアやドイツのものとは一風変わった雰囲気が有ることは否定出来ませんが。
当日のコンサートマスターは矢部達也を期待していましたが、良く見えませんでしたが多分潮田益子ではなかったかと思います。また、コントラバスには黒木岩寿を期待したのですが入っていませんでした、何れにしても、これは大した問題では有りませんね。指揮は当然小沢征爾です。相変わらず表情豊かな指揮ぶりで健在ぶりはなによりです。
今回のようなレベルの高い公演が、松本で、いや日本で観られる事は松本の関係者や協賛されている企業の方々の貢献によるものと思います。オペラは、公演回数を増やせばそれだけ赤字が増えると言われています、我々製造業に携わる者には、一度出来てしまえば「n倍」と思えるのですが、そんな訳には行かないようです、自分は運が良いと思う反面、もっと多くのファンに観て貰いたい思いも空しく、残念でたまりません。
次回のコラムは、ルッツェルン音楽祭のレポートになるでしょう。