Phasemation フェーズメーション

colums会長のコラム

会長のコラム 247

4月のコラムです。
チャンネルデバイダーの発売を発表しましたが、出力端子の平衡型を市場から強く要望されています。半導体や真空管を使用すれば、簡単に平衡化は可能ですが、我々の主義主張に反するので、敢えてトランスを用いたパッシブ型に拘りました。開発時間はかかりましたが、完成してみると加工工程が増えるデメリットを挽回する価値に至り、市場の要求には改めて耳を傾けるべきと深く反省しています。
最近発売されるスピーカー・システムは、音場定位を確保するためにトール・ボーイ型となり、バッフル前面に平面を設けず、円弧状に仕上げます。そのスピーカーボックスは、各社とも同じ形状となってしまいますが、音場定位を求める音響工学の理論から、これ以外に方法は無く、各社申し合わせたような形状になるのは仕方ない事でしょう。
この形状から来る問題として、キャビネット内部のキャビティーが制限され、低音再生に必要な容積の確保が難しく、補うために低音共振用のポートを設けることで対応します。
しかし、このポートで再生する低音は、アンプからの再生音とは異質のもので、キャビネットのキャビティーとの共振で作られ、「所謂らしくない再生音」になりがちです。結果として、本来の音を歪曲して再生すると考えらえられます。各社各様に工夫していますが、音響工学上の理論を無視する事で、良い結果は期待出来ないと我々は考えます。
この現状から億円単位のスピーカーが現れるのは自然の結果と言えましょう。低音再生に充分なキャビティーの確保を得るために、これ程にカネをかける必要が有ったのですね。この数億円のスピーカーを自宅に持ち込む人は限られるでしょう。そこで、わが社が提案する方式が、チャンネル・アンプ・システムなのです。いくら頑張っても1億円はかかりませんよ。しかも音響理論に従う、極自然な低音再生が可能になります。
当社が進めるチャンネル・アンプ方式は、音場定位を求めることと、同時に余裕を持った豊かな低音再生を求める事、この相反する条件をクリアーすることにあるのです。

今月の音楽ライフです。
4月11日(火)14:00の開演で、新国立劇場にオペラ「ヴェルディー/アイーダ」に行ってきました。このオペラを日本で観劇する機会は初めてでしたが、イタリアのヴェローナ野外劇場では2度ほど観劇しています。この公演は、流石に新国立劇場の気合を感じる公演でした。そもそも、このオペラは、エジプト・ナイル運河の開通記念の為にヴェルディーが委嘱されて作曲したものと言われ、恋愛と悲劇のストーリーですが、荘厳さの表現をテーマにしたものとも思います。
この新国立劇場の公演は、その荘厳さを損なうことなく、恋愛悲劇を表現する目的にも充分な公演であり、オーケストラの演奏、歌手の歌唱も半端なものでは無く、コロナ禍のもとで良くもここ迄、と思う公演でした。新国立劇場のシーズン中の公演は、月1回の公演ですが、このレベルの公演を月当たり1回と言う贅沢は、何にも代えがたく感じます。
4月15日神奈川フィル定期演奏会の今シーズン初日の公演に当たり、みなとみらいホールに14:00開演で行って来ました。
曲目がショスタコービッチ/交響曲第7番「レニングラード」で初日に相応しい大曲でした。
この曲は、第2次世界大戦の独ソ戦「レニングラード包囲戦」の中で作曲され、モスクワ経由で移動しクイブイシェフで完成されたと言われている。この曲は、何を意味するか、独ソ戦の勝利を願うものか、スターリンの恐怖政治から解放される事を願うものか、複雑な社会環境の元で作曲され、諸説が言われるが、作曲者は何も語っていない。この曲を聞いてみるとどちらにも解釈できる。何れにしろ、自分流に考えて聞くと素晴らしい名曲である事に違いは無い、得難い名曲と言えましょう。
さて、当日はシーズン初日で、指揮者と楽団員と立食パーティーが行われました。しかし、このパーティーも昔は定期会員に限られ、ホールの特別室で行われ、もっと確りしたパーティーであったが、何ともイージーなパーティーに成り下がってしまったようです。神奈川フィルも一流に成長した証しなのでしょうか。

鈴木信行 :すずき のぶゆき

昭和45年勤務先のアイワ株式会社をスピンアウトして独立。

磁気記録に関る計測機器の製造販売の事業を開始し、その後カーエレクトロニクスの受託設計の事業を始める。

何れの事業も順調に発展したが、会長の永年の思いであった、ハイエンドオーディオの自社ブランドを立ち上げ、現在はカーエレクトロニクスの事業を主とし、協同電子エンジニアリング(株)として運営している。

現在、協同電子エンジニアリング(株)の取締役会長として、趣味のオーディオを健全に発展させたいと真摯に研究し、開発に勤めている。

インタビュー掲載

コラムアーカイブ