会長のコラム 016
先日、ハンガリーの田舎を2週間掛けて旅行してきました。
それと言うのは、私の所属するライオンズクラブが、毎年春にハンガリーのソルノック市に桜の苗木を贈ることにしており、苗木の根付き具合と来年の春に贈る苗木の植樹場所の下見が目的でしたが、現地の方々の好意でハンガリー国内旅行となったわけです。
ハンガリーは、リストやバルトークと言った偉大な音楽家を輩出している文化国家です。
この国の人々は、音楽が普段の生活の一部に組み込まれているのでしょう。 結婚式の披露宴に招待された時など、夜明けまでダンスで夜を過ごします。 そのダンスに興じる姿は、日本人には想像も出来ないパワーとその乗り様、我々日本人にはとても最後まで付き合えるものではありません。
私達は夜中の1時頃に失礼することにしたのですが、その帰り際の体裁の悪い事は今思い出しても恥ずかしい思いがします。
ハンガリーと言えば、指揮者の小林研一郎を思いおこします。
ハンガリー音楽コンクールで1位になり、ハンガリー国立オペラ劇場の常任指揮者となって、世界的に活躍したことは良く知られています。
このコンクールで同じ1位になった日本人指揮者に、井崎正浩が居ります。
彼が、このハンガリーのソムバトヘイ市のサバリア交響楽団の常任指揮者として在任中に、氏を追っかけてソムバトヘイ市に行ったことがあり、今回の旅行でもこの近くを通ったものですから、懐かしさのあまりに寄道し、往時の懐かしさに浸ったのですが、井崎正浩が「コバケン」こと小林研一郎ほどに出世をしていないのが残念に思えてなりません。
これも、ハンガリーに関わる私事です。
ハンガリー人は、日本人対して強い親近感を持っており、それはヨーロッパのどの国よりも深いものを感じるのは私だけではないでしょう。
お陰で、今回も実に気持ちの良い旅を味わえました。
帰国は、飛行機の都合でウイーンを経由するのですが、ウイーンに寄って黙って帰る手は有りません。
旅行社にムジクフェライン(ウイーン楽友協会)の切符を頼み、ニューイヤーコンサート以来2回目の訪問を企てました。
ここでの出し物は、日本にも来た事のある「ウイーン モーツアルト オーケストラ」の演奏でした。
会場で買ったプログラムに、なんと日本語が併記されているのには、流石に嬉しかったですねー。
以前ニューイヤーコンサートに来たこのホールで、モーツアルトを聞く機会に恵まれ興奮しました。
ニューイヤーコンサートの時は平土間の真ん中でしたが、今回は舞台と同じ床レベルのサイドで、しかも前寄り、ニューイヤーの時に一番TV写りの良い場所です。
このホールの響きは世界有数と言われていますから、その席による差はどうなのか。
音は上に上りますし、演奏者と聴衆が同じ床レベルと言うのが最高の条件ですから、この席は絶対に良い響きのはず、との思いで、演奏が始まるまでの興奮は尋常では有りませんでした。
演奏が始まるや、この思いは正しかったと思うほどに、素晴らしいものでしたが、絶対的な比較には自信が有りません。 逆にこのホールはいつでも何処でも良い響きなのかも知れません。
コンサートが終わって私達夫婦は地下鉄へと歩くのですが、何と玄関前には大型観光バスがズラリと並んでおり、客の殆どが観光客である事がわかります。
日本語の併記されたプログラムも些か興ざめで、侘しさを感じつつウイーンを後にしました。