会長のコラム 127
気候の良い季節になり、八ヶ岳高原に行きたくなった事もあって、音楽堂での国分弘子のコンサートに行く事にしました。
時間に余裕を持ってゆっくりと癒しの積もりでしたが、ついうっかり翌日新国立劇場のヴェルディー・オペラ「ナブッコ」の公演に気が付かず、結果として極めてタイトな行動になってしまいました。
当日は、早朝のニュースで中央高速の河口湖分岐点を頭に8k渋滞との情報でした。午前9時に横浜の自宅を出て、第三京浜川崎インターから玉川の神奈川県側の土手伝いに関戸橋まで行き国立インターから中央高速に乗りました。
八王子料金所の手前あたりから渋滞が始まりましたが、これは時間と共に渋滞区間が都心に近くなり、ピークが過ぎた兆候を示すものと感じとりました。やはり相模湖を過ぎると流れは順調になり、予定より早めに高原ロッジにチェックイン出来てホテルライフを楽しむ事が出来ました。
翌日の日曜は、新国立劇場の開演が午後2時ですから、結構忙しい思いをしましたが、予想に反してこの日も道路状況は良好で、余裕を持って新宿に到着し「ヨドバシカメラ」にて懸案の買い物が出来ました。
と言うことで、この土日は結果的に有意義に過ごすことができました。考えてみると、1泊2日と言う短い時間にこれだけの予定をこなす事が出来るのは、車の存在が有っての事と思い、色々不満はあるものの健康を含めて私に与えられた生活環境に改めて幸せを感じた次第です。
実験を重ねてきたマルチアンプシステムも理論的な裏付けも出来て、結果も上々と言うところに至り、実験用のバラック機器を組み立てのプロに依頼し準商品の形態にまとめました。
その事により一層「音」の纏まりが良くなり、音楽を楽しむ状況に至りましたが、私の立場上これからが本場で休む訳には行きません。
広く専門の方々の評価を仰ぎつつ、商品化へ向けて、技術担当に引き継がなければなりません。良い商品に仕上げて、新商品発表に繋げるのですが、如何いう事になるか、ご期待下さい。
1.八ヶ岳高原音楽堂 国分弘子 ジャズピアノとフルートの夕べ
5月18日(土)17:30開演で行ってきました。ここ八ヶ岳高原はこの季節大変気持ちの良い環境で、忙しさに喘ぐ日頃のリフレッシュに最適でした。
コンサートは、国分弘子の演奏とトークが主体でありまして、クラシック音楽の殿堂であるここ音楽堂には珍しいジャズのコンサートでした。国分弘子は国立音大出身のピアニストですが、ジャズピアニストとして活躍する人で、何処かクラシックの香りを讃えたところが、私の琴線に触れるのです。
私は、この人の演奏を銀座のジャズライブハウスによく聴きにゆきます。ライブハウスでの演奏では、始めのステージは新作とかややクラシックかかった演奏なのですが、第二ステージ以降は乗り乗りのジャズ演奏になり、これまた私の琴線にふれるのです。
この日、音楽堂でのコンサートは、ライブハウスと違う雰囲気を期待し、しかもフルートの赤木りえとのジョイントと言うことでこの点を大いに期待していました。
フルートの赤木りえは、東京芸大フルート科を卒業し、文化庁使節としてプエルトリコに滞在し、カザルス音楽院の教授を勤めています。フルートの大変な名手でありまして、カリビアンフルートの第一人者です。
当日の舞台は、ピアノの国分とフルートの赤木の二人だけで、さながら演奏テクニックの競演と言うものでありました。
しかし、観客は何時ものクラシックコンサートの半分程度で、観客の立場から言うと頗る居心地の良いコンサートでした。クラシックのファンには馴染みが無かったと言う事でしょう、この点残念であり寂しさを感じました。
2.新国立劇場 ヴェルディー・オペラ「ナブッコ」
5月19日(日)14:00開演で行ってきました。
オペラ「ナブッコ」は、ヴェルディー作品として初めて世に認められた作品です。ストーリーはオペラ進行上に都合よいご都合主義で単純ですが、それが返って解りにくくしています。
字幕の無い公演ですと解りにくく、私が最初に観劇したのがヴェローナの野外劇場でしたから、ストーリーか解らないままに、ベッリーニやドニゼッティーを思わせる、「ザ・イタリアオペラ」と言う感じを楽しみつつ観劇したものでした。
今回の新国立劇場の演出は、現代風の舞台でして、ショッピング・アウト・レットのエスカレータを背景にしたものでしたが、時代背景との違和感はどうしようも有りませんでした。しかし、東京フィルの演奏、歌手陣のレベル、そしてコーラスの素晴らしさは申し分の無いものだっただけに、私的には残念でありました。
このオペラは、言い様によっては古臭いと言う事になりますが、やはり、ベッリーニやドニゼッティーなどの伝統を引き継いだ「ザ・イタリアオペラ」と言うもので有りましょう、イタリア人には特に人気のオペラです。
ヴェルディーのオペラ作品の最後は、「ファルスタッフ」で、今年9月に来日するミラノオペラ座公演に予定されています。この最後のオペラ作品とナブッコの間には 「椿姫」や「トラバトーレ」などの名作がずらりと有りますが、この最初と最後の作品を比較するとその時代の差が音楽の差として歴然と現れております。
時代によりその進化の様を今聴くと、改めてヴェルディーの天才ぶりを感じます。音楽に限らず芸術家は常に創造の進化が無いと芸術家としての生命は有りません。今年は、ヴェルディー生誕200年です、これを期に視点を変えてさまざまな作品を聞くチャンスに恵まれますので、ここで改めてその作品群を聞き直して見たいと感じています。
3.神奈川フィルハーモニー定期演奏会
5月24日(金)19:00開演で行ってきました。演奏曲目は、ベートーベン/ヴァイオリン協奏曲とヴェルディー/オペラ管弦楽曲集でした。
指揮が現田茂夫、コンサートマスターが崎谷直人でした、休憩を挟んだ最初のステージがベートーベンで、ヴァイオリンのソロが三浦文章で神奈川フィルとの競演は2度目です。当日のベートーベンV協の演奏は、テンポが普通よりも遅かったと思いますが、やはりこの人の演奏は素晴らしいものでした。
プログラム・ノートによりますと最近では国際的に活躍しフィラデルフィア管などの世界的なオーケストラとの共演活動が多いと記されていました。当日は、鳴り止まない歓声に応えてバッハのソナタをアンコールに演奏していましたが、これまた素晴らしく更に聞きたい気にさせられました。
最初のステージは、この時点で既に8時でありました。20分の休憩を挟んで後半のステージでありますが、コンサート後に予約しているレストランとの関係が心配になってきます。
その後半のステージは、「アイーダ」序曲などヴェルディーのオペラ管弦楽曲集ですが、プログラムの予定演奏時間からして、終演予定の9時を過ぎてしまいます。レストランには終演時間の遅れを電話しますが、最近では歳のためか遅くなるのは体に堪えて辛いのです。
そして、その演奏ですが、何故か期待以上の感激を感じる事が出来ませんでした。
現田さんはオペラを度々振っていますが、私は現田さんのオペラ公演は経験していませんで、当日の演奏は、私が思い描くヴェルディーとは何かが違う気がしてなりませんでした。