Phasemation フェーズメーション

colums会長のコラム

会長のコラム 231

11月のコラムです。
今年も年末近しとなりました。今年発売された新商品のオーディオ各誌による賞が決定し、お陰様で発売した3機種の全てが何らかの賞を獲得しました。中でもトップ賞を狙ったイコライザー・アンプのEA-1200 は、早々と各誌の話題となり、先のコラム230号にてお話させて頂きました。
当コラム231号では、今年発売の残りの2機種に付いてお話させて頂きます。一つは同じくイコライザー・アンプのEA-320 で、EA-300 のバージョンアップ機です。当社EAシリーズは、イコライザー・アンプを指し、続く3桁の型番商品は、半導体回路製品となります。因みに4桁の型番商品が真空管回路の商品となります。
旧型EA-300は、アナログ再生の中級を狙った商品で、多くのお客様に人気があり、販売実績の良い商品でありましたが、デザインが古くなっていたことに加え、使用部品のディスコンに伴い回路設計の変更を余儀なくされた結果ではありましたが、蓄積したノウハウを用いて、価格据え置きで性能アップを企画した機種で、EA-320として新発売します。
もう一つの新商品は、ステップアップトランスのT-320 です。本機は、T-300 のバージョンアップ商品で、蓄積されたノウハウの内、MM/MC切換SWを搭載し利便性を高め、費用対効果の大きい項目を選んで商品価格のアップを極力抑え、お買い得商品に仕上げました。
今年の新商品は、全てピックアップ・カートリッジの周辺機器となってしまいましたが、そこを意図した訳ではなく、結果であり恥ずかしながら、これがフェーズメーションのあるべき姿と言えましょう。
カートリッジの出力は、典型的な微弱信号であり、扱う上で交流理論がそのまま通用しないところに経験とノウハウの蓄積がものを言う世界です。トランスには、必ず漏洩磁束の現象が伴い、その漏洩磁束なるもの、トランスの性能では厄介ものです。交流理論からも当然触れられる現象ですが、理論は学問であり、物作りは技術の分野であり、そこにノウハウの存在する原点がある訳で、理論を元に試行錯誤を繰り返すことで成せる技が生まれると言うもの、ノウハウが特許技術に成り得ない所以とも考えます。
と言う事で、ここにはカネのかかる技術も有り、試行錯誤から掴み取ったカネの掛からない手法もある訳で、それを適宜、商品企画に利用し、作り込みに励んだ結果がEA-320、T-320です。

今月の音楽ライフです。
11月24日水曜 14:00開演で新国立劇場にワグナー/オペラ「ニュルンベルクのマイスタージンガー」のマチネ・コンサートに行ってきました。
その前にちっと余談をお許し下さい。オペラ観劇は、夜公演が定番でありますが、私も高齢者になってしまい夜の外出は体に応えるので、昼の公演マチネを選んでシーズン公演を年間一括購入します。ところが最近、家内の健康状態が悪く、毎回観劇するのが困難となり、代わりを誘う訳で、オペラの素晴らしさを若い人に体験して貰いたいとの思いから誘うのですが、若い人にとってマチネ・コンサートは当然の事ながら、仕事上抵抗が有ります。折角のチケットですから、誘われれば有給休暇を取って付き合うしか有りません。しかし、待てよ! 当社の物作りポリシーは「音楽有ってのオーディオ」ではなかったのか。明らかに矛盾するこの思いに今頃気が付くというのもお粗末ですが、企業人として難しい側面に対峙しています。

さてワグナー/オペラ「ニュルンベルクのマイスタージンガー」です。このオペラの公演時間は長く、PM2:00開演で終演が30分の休憩を2回入れてPM8:00 ですから尋常な時間ではありません。しかも、公演の難しい演目で、私も国内での鑑賞は初めてです。このオペラを海外で鑑賞した時は、ストーリーは理解していても、字幕を読むことができず理解度は半減以下でした。今回は、日本語の字幕ですから、このオペラの素晴らしさを充分に堪能し、ワグナーの素晴らしさを改めて感じ、残り人生の楽しみが増えた思いは極めてハッピーでした。
このオペラでの主役は誰か、一言で言うのは難しいのですが、ストーリーの中心に居るのは騎士のヴァルターと歌会主催者の娘エーファであり、ヴァルター役がテノールのドイツ人シュテファン・フィンケ、そしてエーファ役がソプラノの日本人、林正子。この人は、東京芸大大学院卒で二期会所属ながら海外で活躍する歌手で、ドイツ人テノール歌手に負けない声量とテクニックに吃驚、素晴らしい公演でした。
コロナ禍での公演ながら、流石は新国立劇場の成せる成果で有りましょう、後々迄残る感銘を受けました。

11月27日PM2:00開演でカルッツ川崎に神奈川フィル定期公演に行って来ました。演奏曲目が、ブラームス/ハイドンの主題による変奏曲、ブルッフ/スコットランド幻想曲、そして後ステージがブラームス/交響曲第4番でした。指揮が、次期音楽監督の沼尻竜典でした。
スコットランド幻想曲は、お馴染みブルッフのV協1番に続く第3番であり、ブルッフ節を聴くことができますが、第一番ほどの人気は今一つと言うところ。
ソリストは木嶋真優、この人は、ケルン音楽大学を首席で卒業し、国際音楽コンクールに優勝を重ね、ドイツの国家演奏家資格を取得、現在日本とヨーロッパに拠点を置き益々の活動が期待される人です。使用する楽器は、NPO法人イエロー・エンジェルより貸与されている、ストラディバリウス1699「Walner」です、神奈川フィルも大物演奏家を呼びつつ実績を積みつつあり期待が膨らむと言うものであります。

鈴木信行 :すずき のぶゆき

昭和45年勤務先のアイワ株式会社をスピンアウトして独立。

磁気記録に関る計測機器の製造販売の事業を開始し、その後カーエレクトロニクスの受託設計の事業を始める。

何れの事業も順調に発展したが、会長の永年の思いであった、ハイエンドオーディオの自社ブランドを立ち上げ、現在はカーエレクトロニクスの事業を主とし、協同電子エンジニアリング(株)として運営している。

現在、協同電子エンジニアリング(株)の取締役会長として、趣味のオーディオを健全に発展させたいと真摯に研究し、開発に勤めている。

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