会長のコラム 264
R6年9月のコラムです。
年末を控えて、今年も年度内発売の新商品への「優秀賞」の授与が雑誌社ごとに行われます。今年は、前月コラムにも述べた様に新商品のSA-1500は、エントリーをしない方向を一時考えましたが、評論家先生方に商品の性能を丁寧に説明し、我々の目指すオーディオ機器の有るべき形、「再生音はカバーを外すと音質に悪い影響を及ぼすので、試聴時はシャーシ・カバーを外さない様に」と丁寧にご説明し、ご理解頂く事が出来ました。
本件、今年の新商品「SA-1500」の実力をオーディオ愛好家の方々にも広くご理解頂きたく、試聴の度に筐体カバーを外す行為は不自然である事、従来の常識を覆す発想にご理解が得られ、エントリー辞退は勿体ないとのアドバイスも受け、自信を以てエントリーする事にしました。
本商品SA-1500は、「プリメイン・アンプ」のカテゴリーとなり、必然的に音量調節用のVRを経由して再生音が出力されます。私が毎度申し述べて居ります「VRは音質劣化につながるデバイスと考える」に付いてです。本器では、このVRをスルーする端子を設け、当社製の別売りパッシブ・ATTを接続する事が出来ます。VRによる音量調節とは別次元の音質を体験でき、この点、オーディオ・ファンの方々からのご賛同も得られる筈、後のお楽しみとし、本件を思い起こして頂きたいです。
本器は、発売以来、海外市場の要求に追い付かず、国内出荷が遅れて居り、ご試聴に支障を来たしている、との営業担当からの苦情を受けており、国内出荷はもう暫くお待ち頂く事をお願いする次第で、然るに、本コラムの発行が先行してしまいました。お詫び申し上げます。
今月の音楽ライフです。
暑い季節も過ぎた、と言いたいのですが、この暑さはやはり地球は病んでいるのか。
神奈川フィル定期演奏会は、オーケストラの夏休みが過ぎ、9月28日土曜に待望の横浜みなとみらいホールに行ってきました。
当日のタイトルが「世界の巨匠、三島由紀夫を振る」でした。
私の苦手とする現代音楽でしたが、意外や意外、得るモノの多い、現代音楽の神髄のようなものに触れた、そんな気がするコンサートでした。
当日の指揮: | デニス・ラッセル・デイヴィス |
ビアノ: | 滑川 真希 |
前ステージが、ドヴォルジャーク/交響曲7番
後ステージが、黛 敏郎/饗宴
そしてフィリップ・グラス、マイケル・リースマン編曲/ピアノとオーケストラの為の協奏曲”Mishima”でした。
以上のような内容のコンサートで、神奈川フィルとして稀に見る気合を感じる不思議な心境、しかも、一見「何だ・これ!」としか感じ取れない現代音楽のタイトルでした。
私は、音楽好きの電子工学技術者であり、企業経営を司る者で、音楽は素人愛好家ですが、会場に赴き、コンサート案内の冊子「ソノリテ」に目を通していると、何か当日の企画がただならぬ気合を感じたのです。
指揮者のデニス・ラッセル・デイヴィスは、私初めて聞く名前でしたが、解説書によるとヨーロッパの主要オケの音楽監督を務める、極めて重要なポジションの方との印象の人です。
ピアノ奏者の滑川真希は、初めて聞く奏者で、フィリップ・グラスのピアノ曲解釈の第一人者との事、一聴してその凄さを理解出来ました。
さて、当日の演奏曲です。
前ステージがドヴォルジャーク交響曲7番、この曲は私初めて聞く曲でした。8番の「交響曲 新世界」とはまるで違う趣向であります。新世界はドヴォルジャークが心機一転し、米国に渡った時の曲である事を考えると当然な事なのでしょう。趣味の感性で聞く音楽愛好家の私です、これ以上の解説はご勘弁下さい。
そして後ステージが2曲、 黛敏郎/饗宴、そして、フィリップ・グラス/ピアノとオーケストラの為の協奏曲”Mishima”
この曲は「ミシマ:人生の4章」と言う映画音楽だそうで、私はまったく知らないタイトルの映画です、日本で公演されたのか如何かも知りません。この中で演奏された音楽をピアノ協奏曲に編曲したものとのことです。
それ程の曲がある事も、映画の存在すらも知りませんでした。バックグラウンドを無視して、ピアノ協奏曲として聞いていると、なかなか聞きごたえのする曲で、ピアノ奏法も現代音楽そのものでありますが、私でさえ「すごい」との印象を受ける曲で、神奈川フィルの演奏も聴きごたえのある凄さを感じるものでした。
「現代音楽に少し耳を傾けてみようか」と、その気になりましたが、「さて?」であります。