Phasemation フェーズメーション

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会長のコラム 263

R6年8月のコラム

新国立劇場の2023~24シーズンの公演は7月が最後となり、次シーズンの2024~25年シーズンの公演は2024年の9月~10月に渡って公演される「ベッリーニ/夢遊病の女」から始まります。一方の神奈川フィル定期演奏会は8月は夏休みと言う訳で、今月は音楽ライフのレポートは休みとなります。
今月のコラムです、今年の新商品開発状況に付いて触れる事にします。
真空管メインアンプの試聴を行うとき、セットのトップ・カバーケースを外して試聴するというのが、業界関係者間では常識的に行われています。音楽を聴く度毎にケースを外すという、この行為が、極めて不自然な行為とは思われていません。
今年度の新商品は、需要の多い300Bシングル・ステレオ・プリメインアンプを計画しました。このカテゴリーに相当するアンプは、当社の方針として、手を掛けないで来ました。しかし、当社の高級器商品で積み上げた高音質化への実績を、このカテゴリーに搭載し、オーディオ・ファンの方々に、広く音楽の真髄を堪能して頂きたく、高級器のノウハウをフルに搭載する事にしました。
更に、フレミングの左手の法則から考えられる理論を機構設計に取り入れる事で、他社には無い、アンプカバーを取り付けた状態で音が良くなる筐体を実現し、加えて上位機種にて実績を為したノウハウを惜しげなくここに搭載しました。
評論家先生方の本器の試聴に当たり、当社の試聴室では、カバーを外す等の余計な行動はしませんが、セットを貸し出して試聴をお願いすると、「フェーズメーションらしからぬ音」との評価が出てくるので、都度ごとにカバーは外さないで聞く事をお願いする始末。従来のアンプ制作の悪い点が如実に表れ、我々も愕然とし、改めて「カバーは外さずに、ご試聴下さい」と念押しする始末。改めて過去の悪癖を思う状況に至っています。その様な不自然な行為は、当社のハイエンド器の商品では、過去に遡っても、その様な事はやって居ませんでした。L・R 別筐体の高級器に特化しての商品創りだったからです。
今般、L・R を同一筐体に組み込み、ローコスト化を狙った高音質汎用器を開発し、過去の高級器の技術をフル活用し、業界常識を覆す結果に至ったこと、ここに改めて考えさせられる現実に至ったのであります。
アンプの音を良い音で聞かせるために、アンプのカバーを外してデモ試聴するのが一般的な常識だった過去においても、当社の高級器では、その様な行為は為すべからざる行為と考えての物づくりを徹底していました。
この技術をL・R 一体器に利用し300Bシングル・ステレオ・プリ/メインアンプとし、開発したのが、SA-1500 アンプです。
このSA-1500 アンプの試聴をお願いするために貸し出しすると、問答無用にカバーを外して試聴されるのには困りました。都度毎に試聴結果はフェーズメーションらしからぬ音との評価。くどいようですが、音楽を聴く度にカバーを外す等と言う不自然な行動、それがオーディオ・アンプに良い音を求める常識だったのです。
本器SA-1500のカテゴリーは、所謂プリメインアンプのカテゴリーに入るのです。その性能は、既成の商品を俊逸するものと自信を以てお勧め致します。
しかし、残念な事に、音量調節には汎用的なVRを組み込まざるを得ません。私、「事」ある度に、このVRの音質への悪影響をお話しています。この事を避ける為に、VR スルーの端子を設け、当社別売りのパッシブ・ATTの使用が容易に行えるようにしました。
先ず以て、本器の実力をお試し頂き、次に新たなる次元のグレードアップとして、パッシブATTの使用へと、従前の「常識を超える音」の体験をお楽しみに。近い将来、その体験を温存頂くお楽しみが待って居ります。
必ずや、ご期待に沿うこと、自信を以てお約束出来るものであります。

鈴木信行 :すずき のぶゆき

昭和45年勤務先のアイワ株式会社をスピンアウトして独立。

磁気記録に関る計測機器の製造販売の事業を開始し、その後カーエレクトロニクスの受託設計の事業を始める。

何れの事業も順調に発展したが、会長の永年の思いであった、ハイエンドオーディオの自社ブランドを立ち上げ、現在はカーエレクトロニクスの事業を主とし、協同電子エンジニアリング(株)として運営している。

現在、協同電子エンジニアリング(株)の取締役会長として、趣味のオーディオを健全に発展させたいと真摯に研究し、開発に勤めている。

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