Phasemation フェーズメーション

colums会長のコラム

会長のコラム 240

9月も神奈川フィル定期演奏会、新国立劇場、共に公演は有りませんので、音楽ライフは休ませて頂きます。
我々機器メーカーにとって、年末を控えた雑誌社の新商品評価企画は大切なイベントで、対応に多大の労力を要し、コンサートの無いことは寂しいものの、身軽さの状況はハッピーであります。
当コラムにて再三に渡り記事に挙げて来たチャンネル・デバイダーも、私の思いを乗せていよいよ商品化に踏み切ることになります。商品の特殊性から専門店経由で売って代金回収して終わるという一般的な商品とは異なり、ご使用になるお客様の設置条件に合わせた、音響測定を伴う設置作業までも含め、ご要望にお応えする体制が求められる事となり、その覚悟を含めた販売活動を準備しております。過去にない新しい販売体制を同時にスタートさせ、お客様のご満足が得られるよう、長い目で続ける覚悟は、必ずやオーディオ事業の将来に沿った体制となる筈、心して取り組む所存であります。
この商品は、私の音楽鑑賞体験から得た「オーディオ機器は斯くあらねばならぬ」との思いを実現したもので、その趣旨は過去のコラムから読み取ってご理解頂いていると思いますが、ここで改めてご確認させて頂き、我々の決意を表明させて頂きます。
我々のポリシーとして「音楽有ってのオーディオ機器である事」、「コンサートホールを俺の部屋に。俺の部屋のコンサートホール」を目指すものです。
そこに要する技術要素は「縦方向、横方向の位相リニアーは、音場定位の確保に絶対条件であること。そして、風のような低音の再生を目指す」、これに尽きると考えます。物理特性は「良い音創り」から来る結果であり、一義的に求めるものではないと言う事、当社の起業マインドはここに尽きるのであります。
従来のマルチ・アンプシステムでは、音場定位、音質共に不満あり、低音再生もしかりでした。当社方式による商品概要は下記の様になりますが、「そんな手法は、やってみたが駄目だった」と言うマニアの方、プロの評論家の中にも陰口を言う方が居られました。オーディオ装置への当社の実績を鑑みつつ「俺のコンサートホール」実現に向けてご理解賜りたく思う次第です。

チャンネル・アンプ・システムの概要

1. 全パッシブ方式による4チャンネル・デバイダー部

高入力インピーダンスのトランス式入力端。
チャンネル毎のローインピーダンス・トランス式音量調節器に依る出力端。
カットオフ周波数設定用に差し替え式定数基板の採用
カットオフ周波数のロールは、全て6dB/oct で、全帯域フェーズ・リニアー構成となります。DA/AD の繰り返しによる音質劣化は皆無であり、アナログ音質の特徴を損なうことは無く、その極みが体験出来ます。

2. 超低音の再生部(別売り商品として計画します)

L、R Ch 加算による3D 方式と、L、R 単独2Chの2方式を選択出来る2Ch D クラス100Wパワーアンプを2系統内蔵する計画です。試作は済んでいるものの不要輻射問題をクリアーする工程が残っています。
以上、チャンネル・デバイダーの商品概要であります。新商品紹介の記事に、お問い合わせの多いと思われる事項について、私情を込めて述べさせて頂きました。

追記 : 私の思う低音再生
一般的なジャズ演奏における低音は「ストン」と言う様な切れの良いバス・ドラム音が求められ、一方、クラシック演奏では風の様な切れない低音が求められます。一般的にクラシック型の低音再生は難しく、特に最近のトールボーイ型のスピーカーでは尚更その傾向にあります。しかし、我々の装置では、ジャズ演奏における切れの良い低音も確り再生出来る優れた性能を目標に計画しています。

鈴木信行 :すずき のぶゆき

昭和45年勤務先のアイワ株式会社をスピンアウトして独立。

磁気記録に関る計測機器の製造販売の事業を開始し、その後カーエレクトロニクスの受託設計の事業を始める。

何れの事業も順調に発展したが、会長の永年の思いであった、ハイエンドオーディオの自社ブランドを立ち上げ、現在はカーエレクトロニクスの事業を主とし、協同電子エンジニアリング(株)として運営している。

現在、協同電子エンジニアリング(株)の取締役会長として、趣味のオーディオを健全に発展させたいと真摯に研究し、開発に勤めている。

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