Phasemation フェーズメーション

colums会長のコラム

会長のコラム 003

ステレオ誌 2002.9月号の ブランド ニューコンポの項でフェーズテック「P-1」カートリッジが名誉ある特選に選ばれました。 試聴ご希望の方は新宿のダイナミックオーディオ新宿・宮越店、文京区白山のマイクロファラッド店等にお越し下さい。 本品の貸し出しにも応じてくれる筈です。詳細は当社へお問い合わせ下さい。

アナログに拘るオーディオファイルが多い事は良く知られていますが、何故音が良いといわれるのはCDよりアナログディスクなのでしょうか、と言う事に付いて理論的な根拠を考えみる事にします。

人間の音に対する感覚は、コオロギの羽音のような静かな小さい音と爆発音のようなバカデカイ音では耳の感度が違います。これは、人間が生きていく上での保身能力と考えられます。アンプの入出力特性を表すのに半対数グラフ用紙を使うのもこの理由からです。

一方、周波数に付いてですが、44.1kHzのサンプリングでデジタル変換する訳ですから低音と高音では一サイクル当りのサンプリングポイントの数が、低音では多く、高音では少なく成ります。最高音部の20kHzに於いては僅かに2ポイントと言う状態です。

さて、CDの録音では、アナログ信号を16Bitでデジタル変換しますが、これは一番大きな音をフルビットとし小さな音を最小ビットとして当分に割り振るわけです。従って、人間の感覚を無視して大きい音も小さい音も同じ重み付けでビットが配分されます。言い換えると、感覚の鈍い大きな音にも感覚の鋭い微小音にも同じ重みでビットを割り付けますから微小音は不利です。

周波数に付いても同じ事が云えます。低音に有利で高音に不利です。音楽のニュアンスは、潤いとか雰囲気と言う微小音や倍音の高音部に頼る要素が多く、端的な例として、CDでのピアノ音で一音一音の消え行く音を聞いてみて下さい。音の消え方が早く余韻の乏しさに気付くと思います。

最近のCD録音では、この欠点を補うために色々な技術が使われています。例えばビクターのK2スパーコーディングなどがそうです。また、CD再生時にもプレーヤーに同じような技術が搭載されているものもあります。

この欠点を補うべく開発されたのが、最近のSACDとかDVDオーディオなどです。これらはやがてアナログディスクの音質に肉薄してくるでしょう。しかし過去の膨大なアナログディスク、この人類の遺産はどうするのか。新譜の発売は殆ど有りませんが我々がアナログ再生に掛ける本当の理由はここにあります。

鈴木信行 :すずき のぶゆき

昭和45年勤務先のアイワ株式会社をスピンアウトして独立。

磁気記録に関る計測機器の製造販売の事業を開始し、その後カーエレクトロニクスの受託設計の事業を始める。

何れの事業も順調に発展したが、会長の永年の思いであった、ハイエンドオーディオの自社ブランドを立ち上げ、現在はカーエレクトロニクスの事業を主とし、協同電子エンジニアリング(株)として運営している。

現在、協同電子エンジニアリング(株)の取締役会長として、趣味のオーディオを健全に発展させたいと真摯に研究し、開発に勤めている。

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