会長のコラム 043
今回は、神奈川県立音楽堂での神奈川フィル演奏会のレポートです。
神奈川フィルハーモニー管弦楽団の演奏会は、定期演奏会の他に特別演奏会として、「シュナイト音楽堂シリーズ」と言うのがあります、音楽監督のシュナイトさんの指揮による神奈川フィルオーケストラの演奏によるもので、横浜もみじ坂の木のホール音楽堂でのコンサートです。
シュナイトさんは、現在「神奈フィル」の音楽監督であり、東京芸大の客員教授でもありますが、何と言っても現代ドイツ音楽界の重鎮の一人です。神奈フィルの主席奏者を主体とした、小編成の音楽堂でのコンサートは、常に話題と共に我々の興味をそそるものであります。
4月14日に催されたこのシリーズは、「フィルハーモニーの原点」と称するコンサートで、モーツアルトの「グランパルティータ」とヴィバルディーの協奏曲集「四季」でした。いずれの曲も、名演奏揃いのCD盤が山積揃い、しかも「四季」に至っては決定版的存在も在って、良くぞ選曲したものだと思う傍ら、その自信の片鱗を覗うものを感じていました。
当日の演奏ですが、「四季」に於ける「神奈フィル」のソロコンサートマスターの石田康尚のバイオリンは流石で、何時もの美しい音色がこの響きの良いホールで至福の演奏を奏でます。加えて、黒木岩寿のコントラバス、主席セロ奏者の斉藤雄介、この組み合わせは普段からオーケストラでの共演の結果と思うが、抜群のアンサンブルを造りあげていたのが印象深く記憶に留めています。
ソロコンサートマスターの石田は、国立音大学在学中からその才能に将来を嘱望され、主席での卒業と同時に22歳の若さで新星日本交響楽団の副コンサートマスターに就任しています、「神奈フィル」の常任指揮者、現田茂夫が就任の時にソロコンサートマスターとして招聘されたと云われております。また、黒木岩寿はサイトウキネンオーケストラのメンバーも勤めており、神奈川フィルの主席コントラバス奏者であります。
彼らは、普段から「神奈フィル」のメンバーとして共演しており、「神奈フィル」の音創りの中心的存在でありますから、にわか造りのコンビとは次元が違います、そのアンサンブルは素晴らしいく、かけがいの無いアートであると思っています。
当日は、彼らの創りだす音、名盤CDの「イ・ムジチ」とは一味二味も違う独自の世界に酔いしれていました。