会長のコラム 222
’21年 令和3年2月のコラムです。
2月早々に緊急事態宣言が延長され、更なる緊張を感じつつも、その防衛にはマスクを外す状況を徹底管理することが必須のようです。
当社の昨年末の新商品発表以来、販売額が上昇し続け、出荷が追い付かない嬉しい状況が続いています。特にピックアップ・カートリッジの「PP-200」は、予想を上回る売れ行きで、製造が追いつかず、お客様にご迷惑をお掛けする事態に至っていて、この場を借りてお詫び申し上げる次第です。
この「PP-200」カートリッジのコストダウン対策は、音質に大きく影響するカンチレバーの材質(ボロン)を高級器と同じものを使用し、購入量の拡大に依ってコスト低減を計ったことが一つの要素です。この策が、「フェーズメーション・スメル」を商品に残す最大要素と考えます。その他のコストダウン要素として、上級器は筐体の分割振動を避けるための、DLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)処理を施していますが、これをアルマイト処理として、コスト低減を図りました。この処理により上級器との音色の違いを生み、これが音楽表現の違いとして現れることが、人気の一因として考えています。
その他、売り上げ増の要因として、EA-2000 の貢献も大きく存在します。本器の製造に掛かる手間は半端では有りませんが、海外商品に800万円と言う商品が有り、充分に戦える商品力を持つと、当初の企画を突っ走った経過があります。その手間のかかる原点は、理論的に優れた「L.R.C」型RIAAイコライザ回路の導入と、プリント基板を部品取り付け手段と考え、手配線を主導した事にあります。
価格が、300万円の高額商品にも拘わらず、試聴もせずに購入して頂ける海外のお客様の存在には、我々のブランド力もいよいよ本物に成長したか、との思いに繋がるのです。ご興味ある方は、お店でご試聴頂けますし、営業スタッフに申しつけ頂けますと、我々この上ない光栄で御座います。
今月の音楽ライフです。
2月7日(日)14:00開演で、新国立劇場に「オペラ/フィガロの結婚」公演 に行って来ました。当日は非常事態宣言の最中でしたが、劇場側の対策として、観客者数の制限、入場者の氏名と座席番号を連記した入館票の提出、ホワイエでの飲食禁止、当然売店も閉めており、中でも特に印象に残ったのが、休憩時間のホワイエでのスタッフのプラカード戦法でした。ここには、マスクの使用と、接近しての会話を禁止する絵があり、意外に厳しいインパクトが観客に伝わっていた様です。流石に国の施設のやる事は凄いと感じ入った次第です。感染拡大要素としては、言われているように、3密を避ける、マスクの装着、手洗い消毒、これに尽きるようです。
当日の演奏です。
指揮 | 沼尻竜典 |
公演曲目 | モーツァルト/オペラ「フィガロの結婚」 |
オーケストラ | 東京交響楽団 |
コンサートマスター | クレブ・ニキティン |
アルマヴィーヴァ伯爵 | ヴィート・プリアンテ |
伯爵夫人 | 大隅智佳子 |
フィガロ | ダリオ・ソラーリ |
スザンナ | 臼木あい |
フィガロ役のダリオ・ソラーリは、先月公演されたトスカでスカルピアに出演し、急遽コロナ禍の都合で連続出演となった人で、大役を2演目続けて出演し、見事な歌唱には流石というものでした。
伯爵夫人を演じた、大隅智佳子は東京藝術大学出身で、例の伯爵夫人のアリア2曲を見事な歌唱でこなし、外国人歌手に見劣りしない立派なものでした。
コロナ禍に関わらず、素晴らしい舞台を演じてもらい、新国立劇場には何物にも代えがたい元気を貰った気分でした。
2月13日(土) 横浜関内ホールに、13:00開演で神奈川フィル音楽堂シーズコンサートに行ってきました。本コンサートは、昨年2020年7月公演が延期されたもので、ホールも関内ホールに代わっての公演でした。ここ関内ホールでのクラシックコンサートは、私としては初めての経験で、思いの他、立派なホールでの小編成オーケストラには、音響と言い、交通の便と言い、申し分無いコンサートでした。ただ、開演時間の13:00は、効率の悪い時間帯で、ちょっと頂けない。終演時間が15:00少し前となり、「これから如何する」という状況には些か戸惑いでした。
当日の演奏です。
指揮 | 田中祐子 |
ピアノ | 小林愛実 |
ゲスト・コンマス | 三浦章宏 |
演奏曲目 | モーツァルト/交響曲31番「パリ」、ピアノ協奏曲15番 サン=サーンス/交響曲第2番 以上3曲 |
指揮者の田中祐子は、東京芸大卒後ヨーロッパに渡り、海外で活動した人です。国内では
N響首席指揮者のパーボ・ヤルヴィのアシスタント指揮者を務め、N響、日フィル、を振っている。2020年からアンサンブル金沢の指揮者、指揮者経歴は豊富なひとで、NHKとの関わりの多い人の様です。
サン=サーンスの交響曲と言えば3番と言うのが一般的ですが、この人の交響曲第1番はブラームスの交響曲第1番よりもずっと早く、フランス交響曲のパイオニアといわれる所以とのこと、全部で5曲の交響曲があるようですが、私は3番以外に聞いたことは無く、当日演奏された2番を聴くに及んで、なる程と思える立派な曲である事を理解しました。
2月20日(土) 神奈川音楽堂 14:00開演で神奈川フィル音楽堂シリーズコンサートに行って来ました。前月から続く音楽堂シリーズ「モーツァルト+(プラス)」と題するテーマのコンサートです。
当日の演奏曲目
指揮 | 阪 哲朗 |
演奏曲目 | ベリオ/ディベルトメントper モーツァルト モーツァルト/ディベルトメント1番 K.136 シュニトケ/MozArt a La Haydn |
そして 後ステージが
交響曲36番 K.425「リンツ」
指揮者の阪 哲朗 は、京都市立大学卒で海外での活動が多い人との事、現在新国立などで指揮活動しており、東京芸大の教授でもあります。
当日の演奏ですが、前ステージは、ご存知モーツァルトを象徴する、ディベルトメント1番
そして他の2曲は、前衛音楽そのものでした。この前衛作曲家は、モーツァルトをイメージして作曲されたと言われます。この2曲とK136を並べたことに企画者の意義があるようですが、この前衛曲、私は御免でした。
そしてK.136 は、お馴染みのディベルトメント1番です。この曲、 斎藤記念オーケストラが初めてザルツブルグ音楽祭に出演した時、アンコールに次ぐアンコールで用意した曲が無くなってしまい、斎藤英雄の門下生が徹底してシゴカレタこの曲を仕方なく演奏したところ、これがまた大反響であった、と小澤征爾が言っていた曲です。その曲と合わせるところが当日の憎い企画でした。
後ステージの交響曲36番(リンツ)は、モーツァルト27才1783年の作曲で、ここから始まる一連の成熟した交響曲の先陣をきる天才の気合を感じる曲です。音響効果抜群の音楽堂での演奏、神奈川フィルの気合を感じる演奏には、コロナ・ストレス解消に抜群の効果で、天気の良い土曜の午後、コロナ禍で何は無くとも、ルンルン気分の帰路でした。