会長のコラム 031
訂正とお詫び
当コラムの熱心な読者より私のコラム31に付いて「パバロッティー」は「プラシード ドミンゴ」の間違いではないか、とのご指摘を受けました。全くその通りで私のうっかりミスでした。
お詫びして訂正させて戴きます。(2006.8.24)
6月20日に当社 の新商品「EA-3」が発売されました。この商品はアナログレコード再生のためのイコライザーアンプで、先行発売されている「EA-1」の弟分に相当するものです。開発の趣旨は、「EA-1」の性能を維持しつつ購入しやすい価格設定に応えたもので、兄貴の面影を保ちつつ低価格を目標にしたものです。
好評な「EA-1」の音づくりに強く影響している要素として、真空管の使用とCR型無帰還回路にありました。今回の「EA-3」の音づくりに於いてもこの方式で進める事は必須でしたが、価格の点で真空管の使用は不可能でした。従って、アンプ部は半導体で構成する事になりますが、無帰還の半導体アンプ程難しいものは有りません。アマチュアレベルなら何でも出来ますが、我々プロの設計する商品はそうは行きません。無帰還回路CR型のしばりの中でどの様に実現したか、この辺りの技術情報はMJ誌の9月号に詳細に記載されていますし、他誌の評論家の先生方からも取材を受けていますので、それらを参考にして頂ければと思います。
発売された「EA-3」は、兄貴の良いところを完璧に引き継いでおり、半導体の締りの良さをも発揮し、「EA-1」には無い独特の音世界を表現しています。アナログファンの方々には是非ご試聴頂きたいと願っています。
6月は海外オペラ劇場の引越し公演のオンパレードでした、私が観劇したものは前回に述べたボローニァ コムナーレ劇場に始まり、メトロポリタンのオペラ「ワルキューレ」、ベッリーニ大劇場のオペラ「ノルマ」で、その間に国産とも外国産ともつかない、新国立劇場の「オペラ こうもり」でした。これ等の海外劇場の引越し公演の演目は、劇場ごとに3演目ずつありますから全部行くとなると、費用と時間は途轍もないものになります、私の選んだ4演目でもその費用と時間は大変なものでした。
メトロポリタンオペラの「ワルキューレ」は、パバロッティーの当たり役で今回の出演が最後になるのではないかと言われており、期待よりも記念のつもりでした。やはり声の衰え、容姿の衰えは隠しようが無く、パバロッティーが歌っていると言う事実が価値を生み出す素晴らしい役者でした。
私の悪い癖で当日のコンサートホールがNHKホールと言う事で、「音」のあら捜しに終始する始末、今回の席はこのホールにとってのベストポジションを確保出来ました。音の分解能が良く、良く出来たオーディオ装置そのもので、楽器のポジション歌手のポジションが目を瞑っていてもわかるようで、この現象がオペラハウスにとって良い事なのか、私は疑問をかんじざるを得ません、文化会館のオペラ演奏を支持します。
次に、ベッリーニ大劇場のオペラ「ノルマ」です。イタリアには、偉大な作曲家の名前を冠したオペラハウスが沢山ありますが、年間を通して活動している劇場はこのベッリーニ大劇場だけと聞いています。その劇場がベッリーニの最高傑作「ノルマ」の上演ですから私としては行かない訳には行きません。まして、私が地獄に落ちるとき1アイテムだけ持って行っても良いと言われたら、その時選ぶソフトはスリオティスのソプラノ、コソットのメゾソプラノ、そしてデル モナコのテナーと言うこの「ノルマ」のロンドン盤です、私にとってそれ程の思いが募った演目です。
今回の出演者は、このレコードほどの実力者ではありませんが、現代ヨーロッパでの第一人者たちですし、なにしろ上野文化会館での現地オペラハウスの引越し公演です。私にとってこの上無い至福のときを過ごした事は言うまでも有りません。