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colums会長のコラム

会長のコラム 075

5月の音楽ライフ
1. シュナイト音楽堂シリーズ
2. 新国立劇場のオペラ「ポッペアの載冠」

1.シュナイト音楽堂シリーズ
5月の神奈川フィル定期演奏会は休みで、代わりに神奈川フィル特別演奏会として「シュナイト音楽堂シリーズVol.17」が行われました。
この「シュナイト音楽堂シリーズ」も今回が最後のコンサートとなります。その最後のコンサートは、「シューマン・シリーズⅣ」でありまして、演奏曲目が楽劇「マンフレッド」序曲、ピアノ協奏曲イ短調、そして交響曲第4番二短調でありました。
シューマンのピアノ協奏曲は、クラシック音楽の入門当時より聴きなれた曲であり、名演奏家のソフトも数多く存在する名曲であります。今回は、シュナイトさんの息子さんがピアノを弾かれましたが、19歳の少年には荷が重すぎたようです。当日は、ブーイングが出ていましたが、有料コンサートですから当然かも知れませんが、シュナイトさんの最後の演奏会として、記念事業的な要素もあるのでブーイングは慎むべきではなかったと思います。
交響曲第4番は、神奈川フィル渾身の作ではなかったかと思うくらいに素晴らしく、弦の響きがこれ程素晴らしかったかと思わせるものでありました。横浜音楽堂の舞台が満杯になるフルオーケストラメンバーと言うのも珍しく、このホール独特の響きが奏でる交響曲に、観客は惜しみの無い拍手を送り続け、鳴り止まない声援に体調思わしく無いシュナイトさんが、最後は車椅子で出てくる場面など、本当に感激ものでありました。
シュナイトさんの日本に於ける最後のコンサートは、正確に言うと9月4日に行われる「ロ短調ミサ曲」のコンサートであります。こちらは、シュナイトさんの神奈川フィル以外の関係で、シュナイトバッハ合唱団が中心となり、東京フィルの演奏、東京オペラシティーホールで行われるもので、ドイツ音楽界の重鎮でありますシュナイトさんの演奏には興味があり、私も是非行ってみたい公演であります。

2. 新国立劇場オペラ「ポッペアの載冠」
5月の新国立劇場のオペラ公演は、モンテヴェルディ作曲のオペラ「ポッペアの載冠」でありました。
公演の劇場が、新国立劇場の中劇場、演奏がバッハコレギュウム・ジャバン、そして主役格が日本人のソプラノ集客力抜群の森麻紀と言う期待の多い公演でした。
このオペラは、バロックオペラでありまして初演が1643年と言いますから、ヴェルディの時代(1813-1901)の2.5世紀も前の作品である事に興味が湧きます。
先ず、この新国立劇場の中劇場ですが、ここでの観劇は私には始めての体験で、新国立劇場内にこの様なバロックオペラ専用と思える劇場が有ったなどとは全く思いもよらなかった事です。流石に国の設備は念が入っていると感心しきりでありました。
このホールは、観衆が1000名程度ではないでしょうか。オーケストラボックスも小さく近代のチャンバーオーケストラの収容も無理と思われるスペースです。音響効果は大変素晴らしいと思いました。演奏楽器は、チェンバロ、リュート、バイオリンなどの弦楽器、そしてオルガンが加わり管楽器は全く有りません。私の席からは(オーケストラボックスから5列目)でしたが、チェンバロの音が確り聞こえまして、バロック楽団のエキスを堪能することが出来ました。このバロック編成の楽器群とオーケストラボックスをカメラで撮ろうとしましたが、警備員に注意され残念でありました。
バロックオペラなるものを観劇するのは初めてで、ベルディーの時代とは違ったイタリアを感じ取れ、この世界の魅力に取り付かれそうになる、私の悪い癖が頭を過ぎりました。
当日配布された、作品解説が音楽評論家の加藤浩子さんに拠るもので豊富な資料にもとずいて丁寧に書かれており、馴染みの薄いバロックオペラの鑑賞をより楽しいものに導いてくれました。
さて、注目の森麻紀ですが、新国立劇場の演目で、日本人が主役を演じるケースは珍しい事です。やはり、森麻紀は現代日本人歌手として集客力は抜群でしょう。しかし、過去何回か拝聴した経験では、私にとって期待はずれの事の方が多かったのも事実です。今回の舞台はバロックオペラと言うこともあって、気合が入って居たのでしょう。大変素晴らしい出来であったと思います。とは言うものの、相手役のネローネを演ずる、同じソプラノのレイチェル・ニコルズとは、実力の差を感じてしまい、その点をプロの評論家の方に聞いて見ましたら、「相手はバロックオペラのベテランだから仕方ないし、役柄を良く演じていらっしゃいました」とプロのお立場で言っておられましたが、素人の私は「やっぱりオペラは外人でなくちゃ」です。

来月の新国立劇場の出し物は、ロシーニのオペラ「チェネレントラ」でカサロバに対する幸田浩子さんの出演です、私も幸田浩子さんのファンですし、何と言ってもカサロバとの共演は楽しみです。新国立劇場もこのところ益々頑張っています、また意地悪な目で観てきますのでお楽しみに。

鈴木信行 :すずき のぶゆき

昭和45年勤務先のアイワ株式会社をスピンアウトして独立。

磁気記録に関る計測機器の製造販売の事業を開始し、その後カーエレクトロニクスの受託設計の事業を始める。

何れの事業も順調に発展したが、会長の永年の思いであった、ハイエンドオーディオの自社ブランドを立ち上げ、現在はカーエレクトロニクスの事業を主とし、協同電子エンジニアリング(株)として運営している。

現在、協同電子エンジニアリング(株)の取締役会長として、趣味のオーディオを健全に発展させたいと真摯に研究し、開発に勤めている。

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