会長のコラム 030
この6月は、海外からのオペラ座引越し公演のラッシュだ。イタリアボローニャのコムナーレ劇場とニューヨークメトロポリタンオペラ劇場である。夫々、話題満載で魅力溢れる公演ばかり、全部に行く事は経済的に無理であるし、席の確保にも問題である。
今回は、コムナーレ劇場のオペラドニゼッティー作曲の「連帯の娘」とメトロポリタンの「ワルキューレ」にしぼって切符を手に入れた。まず、「連帯の娘」であるが、現在テノール歌手人№1のファン・デェゴ・フローレスが出演している事が話題になっており、散々CDで聞きなれた歌手であるが、生を聞くのは初めてであり、恥ずかしながら私も、この歌手を目当てにチケットを手配したようなものである。
私は、6/6のオーチャードホールでの公演に行ったのであるが、前評判通り素晴らしい出来栄えであった。あの有名なアリア「友よ今日は何て楽しい日」では熱狂的な観客の拍手に応えてオペラ進行中にも関らず超難局のこのアリアをアンコールに答えて歌ったのには感激してしまった。
私は、このコムナーレ劇場には昨年の秋にイタリア旅行の際訪れている。その時は「椿姫」を観劇し当コラムに第一バイオリン群の乱れを記載したのも記憶に新しい。その良くない印象が残っており多少の不安が有ったが、今回の演奏はまるで別のオーケストラと思える様な良い出来であった。ボローニャのコムナーレ劇場は、典型的な馬蹄形劇場で、その平土間の席であったが、今回はオーチャードホールの貴賓席近辺でオーケストラの音がちょうど上に上がって来る頃合の処であるから、音響条件もかなり良かったと思う。その影響も有ろうがとにかく5万5千円のチケット代は高価でなかった。私は、演奏技術に付いて論評は出来ないが、現地で経験した違和感が無く今回は、すばらしい演奏であった。
さて、次回はメトロポリタンオペラの「ワルキューレ」をレポートしたい。