会長のコラム 009
9月になると芸術の秋の始まりで、素晴らしい出し物が目白押しになるのもこの季節です。今年は9月3日の松本でのサイトウキネンフェスティバルから始まりました。 今年のサイトウキネンフェスティバルの話題は、オペラ「ファルスタッフ」で、ベルディー最後の作品として、まとまりの良い完成度の高いオペラと言われております。相変わらずの指揮者小沢の執念による完成度の追求は流石でした。
この松本文化会館のオーケストラピットは床が比較的浅く、一階席からでも演奏者を見渡す事が容易です。 今年のコンサートマスターは矢部達也でした。サイトウキネンオーケストラの場合、誰がコンサートマスターの席に付くかが気になるのです。 誰が付いても大勢に影響ないのですが、それはこのオーケストラの場合、メンバーにコンサートマスターの実力を持った人が沢山いるからです。しかも、同門同士だけに、指揮者も自在に自己表現出来るわけで、世界的に貴重な存在と言えるでしょう。
その数日後、東京文化会館で、ミラノスカラ座のヴェルディーのオペラ「マクベス」を観劇しました。やはり、文化会館の響きはいいです。 ムーティー指揮のスカラ座管弦楽団、テノールにサルバトーレ・リチートラと、言うことなしの公演です。この場合、「サイトウキネンとどっちが良かったか」などと野暮な事は聞かないでほしいです。
それから数日後、NHKホールで、やはりミラノスカラ座ヴェルディーのオペラ「オテロ」でした。NHKホールは響きに癖があり、音が上に飛んでいくのです。 一階のいい席を取ったと思って喜んでいると、出来の良いオーディオ装置の音で聞こえますから要注意です。このホールは、席の取り方にノウハウが有ります。しかし、競争が激しくなるので、それは教えられません。
その他、9月は神奈川フィルハーモニーの定期演奏会、佐藤しのぶのリサイタル、工藤重則のコンサートなどで、どれもこれも印象に残る良い公演でした。工藤重則のバックを勤めたのが、矢部達也がコンマスを勤めるサイトウキネンメンバーを中心にした人達で、今月はなにかと縁が有ったグループでした。 (体が忙しかった。)
ところで、10月は当社の新製品発表を計画しています。フォノイコライザーアンプとCDトランスポートです。フォノイコライザーアンプには、当社のステップアップトランスの「T-1」が組み込まれています。回路構成は、整流管に至るまで全て厳選された真空管で構成され、筐体内部は完全な2チャンネル構成になっており、しかもアルミ無垢板を切削加工で仕上げると言う懲りようです。しかしそれも当社の振動解析の結果から選ばれた結果で、たんなる重厚趣味によるものでは有りません。
CDトランスポートは、日本ビクター(株)のハイエンドCDプレーヤー向けに開発されたメカを定盤にセットしました。定盤と言うのは、精密位置決めステージやスピンドルの振動を回避するために計測機器のシャーシーとして、測定器として使用するもので、この発想は当社の精密機器の設計ノウハウから生み出されたものです。 この定盤構造をCDトランスポートに使用することにより、過去経験した事の無いハイエンドのオーディオシーンを体験できます。今更、何故CDトランスポートなのかとの問いに対してですが、過去のCDソフト資産は人類の宝です。CDフォーマットに欠陥が有るとの事でSACDやDVDオーディオのフォーマットが開発されました。 しかし、我々の技術はCDに対して未だやり尽くしていません。 それにソフト資産の活用に使命を感じているから拘るのです。 尚、本トランスポートにマッチするDAC(D/A変換器)は、コンパック社のDAP-777がベストです、是非お試し下さい。
両モデルの詳細は10月15日の業界発表で公にします。 フェーズテックの名に恥じない出来栄えですので、是非とも御期待ください。