会長のコラム 233
2022年1月のコラムです、おめでとうの賀詞時期を過ぎましたが、今年もこのコラムへのお目通しのこと宜しくお願い致し、みな様の幸運を祈念致しております。
コロナ禍が、昨年に続き2年も続くとは思ってもいなかった。些か我慢も限界か、昨年春に打ったワクチンは既に抗体は消滅、一応陰性は証明されたというのが、秋の定期健診時のPCRの結果でした。ワクチンの抗体がこれ程短いとは、知らなかったが、インフルエンザの抗体も春には消えますから、当然というものなのでしょう。しかしコロナに付いては何か割り切れませんね ! 老体もそろそろ限界ですよ。もっとも、この歳で現役ヅラして「生臭の渦中」に居ると言うのも異常なのかも知れません。オーディオの楽しさ故に、暫くはご免! 宜しくお付き合いのことお願いする次第です。
さて、先月232号にてお約束したチャンネル・アンプシステムに付いて、商品化へ向けた作業も「ジ・エンド」を目指すべくレポートします。
チャンネル・デバイダーのフィルターの入力端は、交流理論の原則から言って、信号の供給側は、ゼロ・インピーダンス、そして出力終端は∞インピーダンスに向けてと言う、有り得ない条件で成り立つ式です。このあり得ない条件を限りなく追い求めるのが、我々技術者の仕事で、ここを克服することで、既存の商品に無い優れた独自商品を仕上げるべく、日々邁進しているのが、当社技術陣の仕事であります。
通常のプリアンプ出力のインピーダンスは、大体1kΩ近辺であり、交流理論でいう「ゼロ」には程遠いのです。これを更に下げる手段としてトランス結合があります。そして、フィルター出力端の∞値を求める手段として、トランス受け終端の採用となります。この技術志向に依ってデジタル方式の欠点を補う、優れたチャンネル・デバイダーの商品化実現へと導きます。
当初の商品企画では、入力端子にトランス式ATT の設置を考えましたが、プリアンプを経由するのが現状のオーディオ再生の常識である事から、本来無用であるプリアンプの存在を考え、敢えて本チャンデバでの入力端にはトランスに依る低インピーダンス化を図る事のみにしました。しかし、当社のトランス式ATTを使用されるお客様のご事情を考えると、この点は余計な出費となり、その点の配慮も考えての商品企画にも開発期間を費やしてしまいました。
ということで、トランスの使い込みに長けた、当社技術陣の腕の見せ所にご期待頂きつつ、半導体であろうと、真空管であろうと交流理論の条件をクリアーすること、これがアナログ・オーディオの原点であり、デジタル式のA/D D/A を繰り返す複雑さから、シンプル・イズ・ベストへの具現化手法として取り入れ、アナログ・オーディオの醍醐味を実現する手段として商品化します。
本チャンデバは、一部のオーディオ・マニアの方、そして一部のオーディオコンサルタントの方々のご意見を拝聴しつつ、永い期間を掛けています。それだけに自信を持っての発売となりましょう。それ何時だ ? と問われるならいま暫く、であります。
スピーカーユニットも複数台を設置しますから、お互いの位相ずれが生じます。この点にも配慮した、スピーカーユニットの設置方法を考案し、次回コラムには写真を添えて解決策をご披露しますのでご期待下さい。
今月のコンサート・ライフです。コロナ禍の再発で、ご苦労が続くコンサート主催関係の方々に感謝しつつ2つのコンサートに行って来ました。
1月16日 日曜に黒木岩寿プロデュースによる「ラ・ストラヴァガンツァ東京」のコンサートに浜離宮朝日ホールに行ってきました。
黒木岩寿さんは、東京フィルハーモニーのコントラバス首席奏者ですが、東京芸大の大学院を卒業され音楽学を極められた方で、以前より解説やコンサートの企画をされ、定評を得ている方です。メンバーは、コンサート・マスターが松野弘明、バイオリンに横溝耕一他5名の計6人、ヴィオラ1名、チェロ1名、リュート、チェンバロ、そしてコントラバス黒木岩寿、の10名編成で、ヴィヴァルディの協奏曲集「ラ・ストラヴァガンツァ」からとった名称の演奏家集団です。ヴィヴァルディの残した膨大な数の協奏曲の内、知られざる傑作の発掘に力を注いでいるメンバー達の演奏でした。
コロナ禍での難しいテーマを掲げたコンサートでしたが、なかなかの盛況で黒木さんの定評あるレクチャーと演奏にすっかり魅せられ、音楽の聴き方への新たな視点と楽しさを見つけた、楽しく意義深いコンサートでした。
1月22日土曜 神奈川フィル定期演奏会音楽堂シリーズに15時開演で行って来ました。当日の指揮が、当フィルハーモニーの常任指揮者で川瀬賢太郎、フルートがパリ国立高等音楽院を首席で卒業した上野星矢、そしてピアノがエリザベート王妃国際音楽コンクールのファイナリストを務めた岡田奏。加えて当日の神奈川フィルは、第一コンマスの石田とソロ・コンマスの崎谷の二人揃っての出演でありました。
この日の鑑賞には、コロナ禍の下でのコンサートに気を使いましたが、久しぶりの神奈川フィルの演奏を堪能し、心の癒しは代えがたい糧となりました。
当日の演奏曲が、武満徹/波の盆、プッツ/フルート協奏曲、そして後ステージがモーツァルト/ピアノ協奏曲21番と言う具合で、バランス良く選ばれた曲目の演奏に大満足、終演が17.00で、行き慣れたすし屋で久しぶりの食事、言う事無しのストレス解消はルンルン気分でした。