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colums会長のコラム

会長のコラム 175

コラム174で触れた「一般社団法人ミュージック・ペンクラブ・ジャパン」の表彰式に4月24日出席してきました。
この社団法人は、1966年の発足といいますから50年になろうとする音楽関係の文筆業の集まりであります。現在の会長は、鈴木道子さんで、今では音楽関係の業種も広がり160名の会員を擁しているとのことです。その中に「オーディオ部門音楽賞」があり、この部門で今回私は功労賞を頂きました。この賞の他に「クラシック部門音楽賞」「ポピュラー部門音楽賞」と言うのが有って、オーディオ関係のライターも会員として参加されています。今回の受賞者には、中村紘子さん、舘野 泉さん、宇野功芳さん等が居られ、オーディオ関係では富田 勲さん、優秀録音作品のオクタヴィア・レコード社などが受賞されました。賞の性格としては、オーディオ雑誌社が主催するものとは趣を異にしており、音楽表現と言う切り口から評価され、私がオーディオ機器のメーカー指導者として、日々思い巡らしている方向が認められたと言うことは、この受賞に光栄に思うものであり、私にとって価値ある受賞でありました。

4月8日土曜 神奈川フィル定期演奏会みなとみらいホールにて14:00開演で行ってきました。今シーズンの初日で、オーケストラメンバーも首席奏者が全て揃った演奏会でした。演奏曲目は、マーラー/交響曲1番「巨人」で、指揮が常任の川瀬賢太郎、コンマスがソロコンの石田泰尚、第一コンマスの崎谷直人も同席し、首席クラスが総出演と言う力の入れようです。しかも曲が、マーラーの交響曲1番、これは私がオーディオ レクチャーのときに使用する、ショルティー指揮のシカゴ響ロンドンレーベルのレコードと同じ曲であります。この曲の第三楽章の冒頭部分、オーケストラの強奏で始まる部分が注目であります、生演奏との比較再確認が出来ると言う興味津々のコンサートだったのです。演奏は、新シーズンの初日に相応しいもので、主催者も聴衆も気合いが入ったコンサートは大変参考になり緊張の1時間でありました。
終演後は、県知事の黒岩さんが、公務の合間に駆けつけ新年度開幕の乾杯に参加するなど、益々冴えわたった神奈川フィルの名演、聴衆に乗り移った興奮に包まれつつの帰路となりました。

4月9日日曜 新国立劇場にて ヴェルディ オペラ/オテロ に14:00開演で行ってきました。当日のプログラムに評論家の加藤浩子さんが作品解説を書いて居られ、そのバッサリ切り込む解説は何時もながら見事でした。ヴェルディのオペラと言えば「椿姫」「アイーダ」等有名オペラが揃いますが、この「オテロ」に付いて「一瞬のうちに襟首を掴まれドラマの中に投げ込まれる快感」と言う快活明快な表現をされています。ヴェルディの作品の中でも最も充実した時期に完成したオペラ史上最高の作品で有り、過去に日本の二期会が公演した時などは、「日本人に出来るものでは無い、これは名作品の冒涜行為だ」とまで、イタリアの評論家に言われた経緯の作品です。私は、加藤浩子さんのオペラツアーに何度か同行させて貰い、その「心」を熟知しているものですから、公演が難しく公演機会の少ないオペラ「オテロ」を堪能するに充分な解説だと理解し、公演時間が短いながらも充実した鑑賞に快い疲れを感じました。
当日のキャストですが、主役を演じるオテロ、デズデモーナ、イアーゴの三人は外国人歌手であり、続く役柄のロドヴィーコには国立劇場のお馴染み、日本人エース妻屋秀和、そして、ロデリーゴに日本人のベテラン村上敏明が歌っていました。3人の外国人歌手達は、ヨーロッパを中心にメトロポリタンなどの世界的劇場で活躍する旬の歌手の人達で、とても日本人歌手の及ぶ芸域ではありません。ここまで揃えられるのも税金運営による新国立劇場ならではと言う事になりましょう。指揮者が、パオロ・カリニャーニ この人はオペラ以外にもコンサート指揮者として活躍しており、日本にも何度か客演指揮者として訪れ、新国立劇場への出演も数回あります。ちなみに、本公演は、5回演じられる事になっていて、やはり貴重な公演と言う事のようです。

4月20日木曜 新国立劇場にて モーツァルト オペラ/フィガロの結婚 に16:30開演で行ってきました。このオペラは、観劇した回数に記憶がない程沢山みています、そして何度観ても常に新鮮さを感じる素晴らしいオペラです。オペラとは、そのようなものなのですが、フィガロの結婚は特にそうなのです。オペラに興味の無い方は是非お試しあれ、なのですが、初めての観賞には字幕スーパーは必須ですからご注意を。
当日のキャストですが、アルマヴィーヴァ伯爵、伯爵夫人、フィガロ、スザンナ、ケルビーノと云ったところが主役なのですが、何とスザンナ役に日本人の中村恵理が出ていました。この人は、新国立劇場研修所を終了後英国ロイヤルオペラに在籍し、アンナ・ネトレプコの代役を務めて成功したと言われる人で、日本人特有の華奢な体格で役どころとしては見栄えのする役どころでした、歌唱も声量に程ほどのボリュームがあって、不満を感じることは有りませんでしたが、容姿にマッチした役どころ以外に特に感じるものはなく、ヨーロッパでの活躍もスザンナ役などが多い様です。何れにしても利点を生かし、役どころを確保して行けば更にチャンスはあるのではないでしょうか。
当日の指揮がコンスタンティン・トリンクス、この人はバイロイト音楽祭、ウィーン国立歌劇場などのドイツで活躍している人で、新国立劇場にも何度か出演して居り、実力派の中堅と言う立ち位置でしょう。

4月22日土曜 恒例の高輪オペラの会に12:00開会で行ってきました。この会は、オペラコンサートと午餐会と称し、12時から午餐会となります。会場が、グランドプリンスホテル新高輪内の「イル・レオーネ」と言うイタリアレストランで行われます。ここグランドプリンスも最近大きく改修され、レストランも名前こそ前のままですが、料理の内容、サービスなどがすっかり変わって、高級感を感じるものになっています。しかし、何かサービスに冷たさを感じるのは何故なのか、以前の様なアット・ホームな感覚が薄れています。
オペラ当日の演目は、プッチーニ作曲オペラ/「トゥーランドット」でした。キャストは、トゥーランドットに山口安紀子、王子カラフに藤田卓也、ティムールに谷茂樹、リューに宮本彩音、そしてピアノがお馴染みの藤原藍子でした。
当日の会場は、超満員でこのような客席状況は滅多に経験したことのない状況でした。というのもトゥーランドットを演じる山口安紀子のファンか?、追っかけの方々が多かったように見受けました。
この山口安紀子と言う人を、私は何も知りませんでした。ヴェルディ音楽院卒業後、イタリア、ヨーロッパで活躍されている人のようです。当日、この人の歌い始めが、何と裏声ソプラノで素人によくある形に吃驚。しかし、徐々に本来の唱法に変わってきましたが、出だしとは言え、これは頂けません。しかし、他の出演者は藤田卓也が期待通り、いやそれ以上の出来でいよいよ本領発揮、近い将来が期待できるものでした。そして地味でありますが、リューを演じた宮本彩音は安定したソプラノ歌唱に私は大満足。そして谷 茂樹のバスバリトンは何も言う事なし安定した見事さでありました。この人は、音楽大学の教授を務める方ですから当然かも知れません。
この音楽会は、レストランが公演会場ですから、コンサート会場に比べると僅かな聴衆が相手となり、そこに、この豪華なキャストで運営の難しさを感じてしまいます。加えて、主催者の方々も年々お歳を感じるようになりました。昨年までは年に3回の開催でしたが、今年は2回になっています。この素晴らしい会が、長く続くことを願いつつ会場を後にしました。

鈴木信行 :すずき のぶゆき

昭和45年勤務先のアイワ株式会社をスピンアウトして独立。

磁気記録に関る計測機器の製造販売の事業を開始し、その後カーエレクトロニクスの受託設計の事業を始める。

何れの事業も順調に発展したが、会長の永年の思いであった、ハイエンドオーディオの自社ブランドを立ち上げ、現在はカーエレクトロニクスの事業を主とし、協同電子エンジニアリング(株)として運営している。

現在、協同電子エンジニアリング(株)の取締役会長として、趣味のオーディオを健全に発展させたいと真摯に研究し、開発に勤めている。

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