会長のコラム 159
12月のコラムです。
12月12日土曜16:30開演で、鈴木雅明指揮によるバッハ・コレギウム・ジャパンのコンサートが八ヶ岳高原音楽堂にて行われ、行ってきました。
このホールで演奏される古楽器使用の教会音楽コンサートは、初めての経験でとても素晴らしかったです。このホールにはパイプオルガンの設備は無いのですが、移動型の小型のパイプオルガンによる演奏でした。この手のオルガンは、ヨーロッパの博物館などで、よく見かけるものですが、今回の様な本格的なコンサートで聴くのは初めてで、バロック教会音楽の演奏にはとても良くマッチしていました。響きの良い小ぶりな空間に向いていて、チェンバロとの相性がとても素晴らしかったです。しかも、当日使用されたチェンバロは、オランダのクルスベルゲンで、現在は製造されていない貴重な楽器でした。
指揮者の鈴木雅明は、指揮をしながらチェンバロを弾いたり、このオルガンを弾いたりしていました、鈴木雅明がオルガンを弾くときは、オルガン奏者の女性は譜めくりに回り、響きの良いここ高原ホールでの鈴木雅明のチェンバロ生音は、パイプオルガンとの相性が素晴らしかったです。加えて、女性4人男性4人のコーラスと弦楽器の伴奏が伴う演奏は、なんとも贅沢なコンサートでした。
当日の演奏曲目は、クリスマスと言うことで、下記に記しますが、私としては比較的馴染みの曲ですが、一般的には馴染みがない曲かも知れません。
J.S.バッハ | パストラーレBWV590 |
いざ来ませ、異邦人の救い主 BWV559 | |
H.シュッツ | 異邦人の救い主、来たりたまえ |
神はそのひとり子を賜ったほどに、この世を愛された | |
ひとりのみどり子が、われわれのために生まれた | |
J.S.バッハ | コラール いと高きところでは神にのみ栄光あれ BWV664 |
H.シュッツ | わたしの魂よ、主をたたえよ |
以上が前半のステージで、後半の演奏曲目もこの調子で続きますので、省略させて頂きます。
ここ音楽堂のコンサートに行くときは、高原ロッジの宿泊パックを利用するのが常であります。宿泊客向けのサービスで、四半期ごとのスタンプ・ラリーと言うのが有って、たまたま11月内にスタンプが入ると、12月にこの鈴木雅明のコンサートが予定されていましたから、私の実績がフルスタンプ(4シーズン・スタンプ)となる予定でした。それで、ギリギリの11月29日の日曜に宿泊半額サービス券を持ってコンサートなしの宿泊のためにわざわざ訪れたのですが、幸運にもこのサービス券を利用することで一回分の宿泊扱いの特典が得られ、スタンプ1個余計に貰えて、この場でフルスタンプになったのです。当日は使用出来ませんが、1年間有効の無料宿泊券を貰ってご機嫌でありました。
このホテルには、もう一つの魅力が有ります。メイン・バーに大きな薪ストーブが有って、ここのバーテンがロック・グラスに合う大きさの丸い氷を削り出してくれるのです。
そして、イベリコ豚の脛がそのままハムになったものを削いで、つまみに出してくれるのですが、これが実に美味くウイスキー・ロックに良く合うのです。良い雰囲気のなか、素晴らしいコンサート後のひと時が過ごせます。ことによると、当日の出演者も現れることもあると言う素晴らしい環境なのです。
12月3日木曜19:00開演でヴェルディー/オペラ「ファルスタッフ」が新国立劇場にて初日公演が開催されて行ってきました。
指揮:イヴ・アベル、オーケストラ:東京フィル、出演者:ファルスタッフ役にゲオルグ・ガグニーゼ、フォード役にマッシモ・カヴァレッティー、そしてピストーラ役に妻屋秀和、他日本人キャストが大勢出演していました。このオペラの主役は、ファルスタッフなのですが、出演者それぞれが重要な役回りが必要で、大勢の実力者を必要とするオペラです。日本人歌手もそれなりに必要と言う事かも知れませんが、当日の日本人歌手の方々は、妻屋をはじめとして皆良かった。素晴らしい出来栄えだったと思います。
ファルスタッフを演じるゲオルグ・ガグニーゼは、新国立劇場初登場ですが、ミラノ・スカラ座、メトロポリタンなどの世界一流オペラ座でタイトロールを務める実力者で、他2人の外国人歌手も劣らぬ実力者であり、この人達に負けない声を聴かせてくれたのが、日本人歌手陣でありました。指揮者のイヴ・アベルは、北西ドイツ・フィルの首席を務めるドイツオペラ界の重鎮で、新国立劇場の常連であります。
このオペラは、ヴェルディー最後の作品で、彼の最大ライバル、ワグナーを強く意識した作品と言われています。確かに、全篇に渡り観客を飽きさせない素晴らしい音楽でありますが、此処にはヴェルディー節は無く、アリアも無いと言う事で、スルメの味では有りませんが鑑賞の回を重ねる程に良さが判ってくるから止められない価値ある作品です。
当日の公演は、19:00開演ですから終演は22:00です、終演後は京王プラザに宿泊し自宅からワインを持ち込んでルームサービスでの夕食でした。知人たちから羨ましがられましたが、私達は大いに反省であります。と言うのもオペラが終演し、良い気分で部屋に入ってからの持ち込みワインですから、医者から言われている酒量で済む訳がないです。私達は、世間並みに言われる、サンデー毎日の身分のはず、それがわけあって、未だに仕事持ちですから、翌日は、これはもう只事ではすみませんでした。
新国立劇場のシーズン初めには、粋がって全ての演目の初日を確保すべく申し込みますが、次シーズンは、全てマチネにすることに決めました。
12月21月曜 19:00開演でトヨタ・レクサス販売店の主催によるクリスマスコンサートがみなとみらいホールにて行われ、行ってきました。
私の車は、レクサスLS-600h F バージョンで高級車の部類でありますが、用意された席は自分でカネを出しては絶対に買わない席でありました。出演のオーケストラは神奈川フィルでコンマスは石田康尚、チェロ首席の山本裕康と主力の揃い踏み。指揮は、曽我大介と言う人で私は知らない人です。
演奏曲目が「ルスランとリュドミラ」序曲、「カバレリア・レスチカーナ」間奏曲などのアンコール・バージョンが主体で、不要な解説とトークの時間稼ぎがあって、全体的に内容の薄いものでした。折角の神奈川フィルの主力メンバーの出演です、クラシックコンサートと謳っているのですから、観客のベルを無視した企画は信用に値しません。オペラアリアも演奏されましたが、歌手は芸大出とのことですが、駆け出しの実力はである事は免れませんでした。
ただ一つ、私にとって大きな収穫がありました。此処みなとみらいホールのパイプオルガンは、1F平土間よりも2Fの響きが良かったと言う事実が分かったことです。それに、今月は、神奈川フィルの定期演奏会は休みですから、ハイ。
さて、当社のオーディオ事業所が新羽に移転しました。場所は、新横浜駅から市営地下鉄のブルーラインであざみ野方面に2駅行った「新羽駅」を降りて600m程歩いたところです。
11月末に試聴室の工事が完成しましたが、フラットエコーに悩まされ納得のいく「音」に至っていません。
試聴室は、例によって石井伸一郎さんの設計によるものですが、図面を書いて工事業者に渡したところで、石井さんが肺炎で入院してしまいました。吸音キャビティーが出来たところで、石井さんの中間検査が入るのですが、それが出来ないままに工事を進行せざるを得ずに、完成してしまいましたが、我々も石井さんの試聴室は3件目なので勝手知ったる何とかでしたが、結果は思わしく無く苦労しています。
我々も暫くは、安定した業務が出来ず不自由と思いますが、お近くにお越しの際はお寄り下さい。いずれ自信を持って、「音」出しが出来る様になれば、お披露目のご案内をと考えております。
今年は、之にて店仕舞とさせて頂きます。昨年MC形カートリッジの平衡受けトランスをいち早く提唱させて頂き、その後に続々とそれに倣った商品が出て来て、我々も驚いていますが、アナログ・オーディオの価値を知って頂いた事と業界の発展に多少なりと寄与したことは、喜びであります。
来年も他社に先駆けて、良い提案に努力致す所存で御座います。