会長のコラム 004
平成14年10月25日発行の 音元出版社アナログレコード再生の本3 「analog」 に フェーズテックに関連する記事が三点記載されています。
先ず、「アナログ工房を訪ねる」シリーズでは柴崎功氏がレポーターとして我々の P-1 フォノカートリッジとステップアップトランスの製作工程を詳細にレポートしています。
次に、各社カートリッジの紹介ページで我々のものが良い評価で紹介されております。又、新製品のステップアップトランスが他社商品との聞き比べとして紹介されております。
この項では、掲載メーカー中の最高の評価点を得ています。是非この号をご購入頂きアナログレコード再生の参考にして頂きたいと願っています。
さて、趣味のオーディオを語るときの一つの切り口としてのお話をしましょう。音の良し悪しを語るとき、「音楽鑑賞の趣味が有ってこそ成り立つもので、音の良し悪しは音楽の表現を以って論じられる」と、独断と偏見で定義する事にしています。
生(ナマ)と同じ音をオーディオ機器から出そう、と思うとやがて技術の限界に直面し、荒唐無稽な論議が実しやかに論議され、終始の付かない結果になるのはしばしば経験する事です。
機械には限界が有るわけですから、いかに「それらしく」再生するかと言うことで割切って考えるべきでしょう。
では「それらしく」と云う「それ」は、何でしょう。
人によってオーケストラのアンサンブルであったり、ピアノでのアタックの減衰状況であったり、またシンバルの音でありベースのピッチカートの切れ具合であったり、人によって違いが千差万別です。
「それ」の違いは、その人の感性に左右されるもので、しかも、厄介な事に感性と言うのはその人の人生観によって磨かれる研き方によってグレードが異なります。
ですから、オーディオ機器の音の良し悪しの絶対値を云々と言うのは更に難しくなる訳です。
オーディオ評論家なる先生が存在する理由もこの辺りに有るのでは、と思いますが、取敢えず難しい話は置いて、この夏大変運の良い貴重な体験をしたのでお話します。
仕事でドイツに出張の折、折角の飛行機代ですからザルツブルグ音楽祭の開催されているザルツブルグに寄り道し、祝祭大劇場でプッチーニのオペラ「トゥーランドット」を聴いてきました。出演はウイーン国立オペラ劇場、演奏はウイーンフィル、指揮アーノンクール、現代可能な世界最高の出し物です。
このオペラ、プッチーニの女性関係を題材にしているだけに、本人はリューの死んだところ迄しか書けなかった訳で、続きを弟子が完成させたと言う事情も有って、ハッピーエンドに締めくくるには些か無理がある、締まらない感は免れないオペラですが、とにかく感動的なオペラです。