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colums会長のコラム

会長のコラム 050

10月はオペララッシュで、このコラムのアップする間隔を狭めなければ成りません。
ベルリン国立歌劇劇場の来日公演の初日が、9/28上野文化会館でのオペラ「ドン・ジョバンニ」から始まります。今回の来日公演は、この「ドン・ジョバンニ」、「トリスタンとイゾルデ」そして、「モーゼとアロン」の3演目となりますが、私は10/2に「ドン・ジョバンニ」、10/15「モーゼとアロン」同じく上野文化会館、そして10/17「トリスタンとイゾルデ」これがNHKホールとなります。

私のコンサートライフは、10/2の「ドン・ジョバンニ」の後、10/7に石川雅子さん企画のパノハ弦楽四重奏団のコンサート、10/11に新国立劇場の「タンホイザー」10/12に神奈川フィルの定期演奏会、そして福島章恭さん企画指揮による「魂のモーツアルト」コンサートと続きます。このコラム50ではここまでを
レポートとし、11/15の「モーゼとアロン」は以後に続ける事とします。

ベルリン国立歌劇場の「ドン。ジョバンニ」は、ダニエル・バレンボイムの指揮によるものです。バレンボイムについてですが、9月のルッツェルン音楽祭でウイーンフィルを指揮しブルックナーの4番を聴いてきたばかりです。僅か1ヶ月もしないうちにお目にかかるのですから、売っ子指揮者も大変です。素人目にはこの「ドン・ジョバンニ」と言うオペラはモーツアルトの中でも大作の一つですから、短い期間にスイス、ドイツそして日本と回り歩いての公演ですから、一体どんな体力の持ち主なのだろうかと思ってしまいます。

演奏は、流石に素晴らしく、新国立劇場の東京フィルとは次元が違います。序曲の出だしからして一流オケは違います。配役は、ドン・ジョバンニがペーター・マツティー、ドンナ・アンナがアンナ・サムイル
エルビーラがアンネッテ・ダツシュと言う顔ぶれで、実力派歌手で固められています。
この様な世界一流のオペラが日本で観劇出来ると言うことは、私にとって大変大きな意義があります。何と言っても字幕が付くと言うことはオペラ観劇にとって重要な事で、ウイーンに行こうがミラノに行こうが絶対に体験出来ないことです。

オペラ観劇では、たとえ見慣れたオペラでも細かい言葉のやり取りと音楽の美妙な響きの呼吸は大切で、ここが理解出来ないと面白さや感激に大きな差が出ます。新国立劇場ではこの字幕が常識ですが何と言っても、あの「ベルリン国立歌劇場」です。飛行機に乗って時差に悩まされて見るオペラ、字幕の無いオペラ、この差は高価なチケットの価格に変えられないものがあります。

先を急ぎます。パノハ弦楽四重奏団はとても素晴らしかった、設立当時から変わらないメンバーで4人の息がぴったり合って、4人で作る小宇宙を思わせる演奏は聴く者をその世界に誘い出し、パッケージソフトからは味わえない経験をさせてくれました。
本当に石川さん有難うと改めて言いたいです。残念なことにこのホール(タワーホール船堀小ホール)音響がいまひとつで有ったことです、私の知る紀尾井ホール、神奈川のフィリアホール、杜のホールなどの優れた響きのホールで有ればさらによかったと思ったしだいです。

次に、新国立劇場の「タンホイザー」です。演奏は、フィリップ・オーギャン指揮による東京フィルハーモニーです、一流指揮者による演奏ですが、例によって聞き覚えのある序曲の出だしの締まりの悪さ、時間と共に冴えてくる情況は何時もと変わらずです。ベルリンオペラと比較するのも気の毒ですが、現田さん指揮による神奈川フィルにこのオーケストラピットで一度演奏させてみたい気がします。この劇場は税金で運営されているのに何故何時も東フィルと東響だけなのか、このくらいの融通は利かせてよいのではないかと思います。

このオペラ各所に聞き覚えのあるメロディーが出てきて、なかなか見ごたえのあるオペラですが、演奏機会の少ない部類のオペラでしょう、私は今回が始めての観劇です、DVDも多分発売されていないのではないかと思います。やはり、字幕のお陰で今回も楽しく鑑賞する事が出来ました。

次に、神奈川フィルハーモニーの定期演奏会です、ドイツ音楽界の重鎮シュナイトさんの指揮によるシューベルトの未完成、R・シュトラウスの「4つの最後の歌」と交響詩「死と変容」でした、今回特に感じたことですが、オーケストラの音が凄く良くなったことです

これで、神奈フィルの音として定着してくれるとハッピーです。来月の定期はサン・サーンスの交響曲3番「オルガン付」です、これは期待して価値あるものです、チケットをお持ちでない方是非お買い求めを、みなとみらいホールのオルガンが唸ります。

最後になりましたが、合唱指揮者であり音楽評論家の福島章恭さんが企画し指揮をされている「魂のモーツアルト」と題するコンサートに招待されました。演奏曲目が、ピアノ協奏曲20番、交響曲38、41番と重い選曲で、オーケストラもチャンバー規模とは言えこれは可也のチャレンジと観ました。なにせ、この選曲、名演奏のLP、CDの銀座通りです、夫々の巨匠の名作ソフトに不自由しないジャンルへのチャレンジは見事と言うか、チャレンジャブルなもので、今後の氏の活動がみものです。
素人の私に評価は無理ですが、ピアノはベーゼンドルファーを使ってほしかった。この響きの良いホールですから「せめて」との思いが募ります。

これでコラム50は、これで終わりとしますが、このあと今月のスケジュールはベルリン国立歌劇場が「モーゼとアロン」、「トリスタンとイゾルデ」と続き、新国立劇場の「フィガロの結婚」チェコ国立オペラ劇場の「椿姫」と続きます。その後ドイツ、オーストリア、チェコへの出張が入りますので、次回は出張前にコラム51がアップ出来るように頑張りたいと思っています。今後ともご高覧宜しくお願い致します。

鈴木信行 :すずき のぶゆき

昭和45年勤務先のアイワ株式会社をスピンアウトして独立。

磁気記録に関る計測機器の製造販売の事業を開始し、その後カーエレクトロニクスの受託設計の事業を始める。

何れの事業も順調に発展したが、会長の永年の思いであった、ハイエンドオーディオの自社ブランドを立ち上げ、現在はカーエレクトロニクスの事業を主とし、協同電子エンジニアリング(株)として運営している。

現在、協同電子エンジニアリング(株)の取締役会長として、趣味のオーディオを健全に発展させたいと真摯に研究し、開発に勤めている。

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