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colums会長のコラム

会長のコラム 086

3月は、南イタリア旅行記の記述に時間を費やしてしまい、何時もの調子でのコラムを書けずじまいになってしまいました。その旅行記も遅ればせながらアップしましたので御笑覧いただけますようお願い致します。
4月も下旬と成ってしまいましたが、早くペースを取り戻すべく頑張りますので続けてのご高覧をお願い致します。

コラム86のサマリー
1. 岡村喬生さんを高輪オペラの会にご紹介
2. 新国立劇場 ワグナー/楽劇「神々の黄昏」
3. オーディオ評論家 小原由夫様宅を訪問

1. 岡村喬生さんを高輪オペラの会にご紹介
日経新聞、朝日新聞などで可也大きなスペースで紹介されておりましたが、岡村喬生さんが来年2011の夏のプッチーニ生誕地トーレデルラードのプッチーニフェスティバルでの演目「マダムバタフライ」の演出を行います。
「マダムバタフライ」は、長崎を舞台にしたプッチーニの代表作でありますが、我々日本人からみると日本の習慣を無視した舞台に何時も不快感を覚えるのは私だけではないと思います。それが、音楽の専門家から見ると我々以上にその間違い箇所を許せない思いに至るのでしょう。岡村喬生さんは、その間違いを修正したものをプッチーニの生誕地で公演することに意義を感じて、この年のフェスティバル公演を演出されるとの事です。
その公演に当たり出演者などもご自分のセンスに合った人を選びたいとの事で、オーディションを行いますが、その応募者をより優れた多くの人を集めるお手伝いのために、私が何時も参加している高輪オペラの会にお連れしました。
流石に日本オペラ界の重鎮だけに、出演者の方々とも面識が御ありでしたし、聴衆の方々の中に知らない人は居られなかったようで、司会者の紹介では大きな拍手でした。自分は鈴木の役をやりたいのでとお席にご挨拶に来られる方も居りまして、当初の目的も充分に達せられたと思っています。
5月の末には、その合格者によるコンサートが予定されておりますし、来年のフェスティバルには鑑賞ツアーも予定されており、これから楽しみであります。

2. 新国立劇場 ワグナー/楽劇「神々の黄昏」
新国立劇場のワグナー/楽劇ニーベルンの指輪の最終夜にあたる、第3夜「神々の黄昏」がこの3月に公演され4夜物語の最終回となります。
指揮者エッティンガー率いる東京フィルが益々好調でありまして感銘の残る公演でありました。この最終夜は演奏も長いし内容も濃いのですが、やはりワグナーの充実振りが遺憾なく発揮された秀作との感を改めて思い起こされる作品であります。第2夜のジークフリートの長さは終幕近くの素晴らしいメロディーがこれでもかと永く続くものでしたが、この3夜は締めくくりとしてのストーリーの進行と音楽の完成度は素晴らしく、長時間の演奏にも関らず怠惰を誘う余地は全く有りませんで緊張と感嘆の連続、終焉の後は余韻覚めやらずの心境でありました。
CDやDVDを自宅で鑑賞していると、どうしても断片的な鑑賞になってしまい受ける感動は半減してしまいます。ですから、全編を通して鑑賞しようとすると、どうしても、見ようとする行動が削がれるのであります。
当日の公演は、開演が14.00で、間に40分の休憩が2回あって終演が20.30ですから、その長さたるや半端では有りません。食事も何時するのか、毎度迷ってしまいます。途中で満腹になったり、お酒を飲んだりすると眠くなったりトイレが心配になったりして、易々と口に出来ませんね。これ程の長時間に渡るコンサートは他に有りませんから、覚悟を決めて劇場に赴いているわけです。
しかし、緊張と感激の連続で「素晴らしかった」との思いは、精神衛生的に大きな栄養になっています。
オペラ人口がもっと増えてほしい、オペラの楽しい話ができる人がもつと欲しい、と常々思う次第であります。

3. オーディオ評論家 小原由夫様宅を訪問
私は、何故か最近DVDディスクによるオペラ鑑賞に嵌まっていまして、その再生技術に関して迷い続けており、AV関係のメディアでご活躍の小原由夫さんを友達として訪問してみたくなった次第です。それと言うのも、オーディオ機器の製造販売を生業としている者として、評論家の方々は客観的なご意見を伺う大切な存在であり、普段はオーディオ機器のご相談に伺うのが仕事でありますが、今回は仕事に縁の無い映像に付いて、見識の高さで評判の小原さん宅を我侭にも訪問させて頂きました。
以前にもこのコラムに書きましたが、映像と音の再生には相反する条件をクリアーしなければなりません。そのために、私はブラウン管による映像を楽しんでおりますが、今時、ブラウン管で映像を見ている評論家の方は居られません。小原さんの様に「音」への拘りを持って映像の評論をされている方は、一体「音」の扱いをどの様に処理しておられるのか、そして映像と音を最良の状態で再生するには如何したらよいのか。
小原さん宅の装置は、200インチの大スクリーンが、マルチチャンネル配置のフロント側3台の大型スピーカーをリスナーの前からすっぽりと覆い隠してしまいます。従って、音はスクリーンの後ろから出てくるわけですが、私も音を通すスクリーンの存在は知っていましたが、他人の意見ではそれでも音質に悪い影響があると聞いていました。しかし、小原さんのシステムでは全く音の劣化を感じさせないものでありまして、正しく目から鱗の体験でありました。これには使用しているスクリーンの材質も大きく関係していると思いますが、この大スクリーンにD-ILAの2台の映像を重ねて輝度を稼いで投影している、その迫力たるや正に圧倒されるとの表現以外に言い様は有りません。やはり視覚の影響も多く影響しているものと思いました。
当日は私が普段テストに使っているディスクを再生して貰いましたが、受ける感動は我が家のものとは大きく違い、流石大家の技術と大いに参考となりました。近々、我が家の装置もB管受像機はお払い箱となるでしょう。

鈴木信行 :すずき のぶゆき

昭和45年勤務先のアイワ株式会社をスピンアウトして独立。

磁気記録に関る計測機器の製造販売の事業を開始し、その後カーエレクトロニクスの受託設計の事業を始める。

何れの事業も順調に発展したが、会長の永年の思いであった、ハイエンドオーディオの自社ブランドを立ち上げ、現在はカーエレクトロニクスの事業を主とし、協同電子エンジニアリング(株)として運営している。

現在、協同電子エンジニアリング(株)の取締役会長として、趣味のオーディオを健全に発展させたいと真摯に研究し、開発に勤めている。

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