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colums会長のコラム

会長のコラム 092

9月のサマリー
芸術の秋と言う事で、神奈川フィルの定期演奏会、新国立劇場の公演、そして英国ロイヤルオペラ劇場の公演と言う具合に、暑い8月に休んでいたコンサートが9月は一斉に開演されて一変コンサートラッシュ、しかも相変わらずの暑さには閉口でありました。
そのような中で、英国ロイヤルオペラ公演のハプニングと感激など盛り沢山の話題が有りましたが、かい摘んでお話することにします。一方、8月の暑さにやる気を削がれ、チャンネルアンプへの挑戦はあまり進んでおらず、報告するレベルに達しておりません。9月もその様な状況にて、殆ど進展なしでありましてアマチュアレベルの納期のストレス無し、と言うことでお許しを願い、これから先をご期待下さい。とは言うものの、10月は音楽評論家の加藤浩子さんの引率で「イタリア名門歌劇場めぐり」の旅に出ますので、やはり、本件の進展は期待薄であります。

1.英国ロイヤルオペラ劇場の日本公演、代役の代役でハプニング
2.神奈川フィルハーモニーの定期演奏会
3.三井住友銀行 東京営業部ロビーでのトワイライトコンサート
4.上高地帝国ホテル

1.英国ロイヤルオペラ劇場の日本公演
演目は、ヴェルディー/オペラ「椿姫」、マスネ/オペラ「マノン」の2演目でありました。
何と言っても最大の話題は、アンナ・ネトレプコが出演する「マノン」であります。ネトレプコが日本でオペラを歌うのは2度目であり前回はモーツアルトのオペラでしたが、私が彼女の舞台を見るのは今回が初めてであります。現在最も人気があり信頼されるソプラノ歌手として、ネトレプコへの期待は絶大でありました。
このオペラは、プッチーニも「マノン・レスコー」のタイトルで作曲しておりますが、今回はマスネ作曲のものであり、愛と享楽に揺れる女心を描いた傑作オペラ/マノンを観劇しました。流石に英国ロイヤルオペラのブランドに恥じない出来栄えでした、何と云っても初めて観劇するアンナ・ネトレプコに夢中でしたが、相手役のマッシュ・ポレンザーニが演じる騎士デ・グリューの安定感のある歌唱に加え、マノンに対し受動的な役柄を演出してマノンの奔放な生き方を浮き上がらせていたように感じ、その演技力に優れた歌手との思いと、ネトレプコとのコラボレーションが絶妙であったと言えます。そのほかの脇役もストーリーの進行にマッチした素晴らしい出来でありました。
私の観劇は、9月14日東京文化会館で、PM4時の開演でありPM9時前に終演でして、比較的早い時間の終演は、日本の観劇事情には大変有難い時間でした。

さて、もう一つの公演、ヴェルディー/椿姫であります。私の聴いた公演は、9月12日横浜公演で、この日は日本公演初日でした。始めに予定されていたヴィオレッタ役のアンジェラ・ゲオルギューは、事情で日本公演をキャンセルされていまして、代役としてエルモネラ・ヤオが出演することになっていました。その事だけでも聴衆にとっては大きなダメージで、当日は公演責任者が開演前に舞台に出てきてお詫びの挨拶をしていました。
そして、予定通り序曲が始まりヴィオレッタの登場となります。この代役も事前にプログラムにて紹介されており、椿姫ではネトレプコの代役も勤めたことがあると紹介されていました。それなりの経歴を持った一流のソプラノ歌手であり、私も期待しておりました。始めの内は何の不自然も無かったのですが、このオペラの第一幕はソプラノ歌手にはフォルテによる合唱との重唱場面が有ってキツイ場面が続きます。その第一幕終わり頃のフォルテ部分はどうも声の伸びが今一と感じるものがありました。
第二幕の始まり、オーケストラのチューニングが終り、いよいよと思っていると、何と先ほどの公演責任者がまた出てくるでは有りませんか。そして言うには、主役のエルモネラ・ヤオはアレルギー症状によって第二幕以後の出演が不可能になりましたとの事、会場は騒然、であります。代役に劇場に付き添って来日しているソプラノ歌手のアイリーン・ペレスに変わるとの事。このひとの名前は知りませんで、劇場付属の研修生程度に思っていました。しかし、中々の実力者で第二幕以後の可憐なヴィオレッタにマッチした役柄に好感が持てました。休憩時間に経歴書が配られましたが、この人大変な実力者でウイーン国立劇場での「椿姫」公演に出演したり、世界のおも立ってオペラ劇場に出演する気鋭のソプラノ歌手である事が判り、研修生などトンでもない思い違いに複雑な心境に至りました。さすが、英国ロイヤル劇場3番手までの代役を用意していると思うとこのチケットが高額である事も理解出来てしまうから不思議です。
このオペラの第二幕以後は、可憐なヴィオレッツタとして第一幕とは別の面を演出するのが特徴で、このアイリーン・ペレスのほうがこのシーンでは適役であったと思います。しかし、第一幕と第二幕で違った側面を一人の歌手が演出するところにこのオペラの見所が有るとすれば、ここで代役に変わることは面白みが半減と言うことにもなるわけです。後から考えてみると、始めからこの代役のアイリーン・ペレスであった方が見応えがあったのではないかと思ってしまいます。

2.神奈川フィルの定期演奏会
例によって、金曜夕刻PM7:00開演のみなとみらいホールにての公演、終演がPM9:00であります。そして終演後の食事は、なじみのすし屋、この時間なじみでもなければ良い顔して向かえくれる店は少ないのが日本のコンサート事情の欠点でありヨーロッパと大きく違うところです。寿司は待つ時間が短いし、この時間の食事は消化が良い事が必須で寿司は最高です。最近の回転すしに押されてカウンター式のすし屋の廃店が多いのに気がかりです。
神奈川フィルの今シーズンは、中々充実した演目が目白押しです。マーラー生誕にちなんでマーラー演奏のシーズンでありますが、今月はベートーベン/P協4番とR・シュトラウスの交響詩/ドンキホーテと言うどちらも愛好家好みの選曲で充実した演目に加え、ピアノが伊藤恵、ソロを演じるソロ・コンサートマスターが石田康尚で、両曲ともにソロ演奏に聞き応えのある充実したコンサートでありました。

3.三井住友銀行 東京営業部ロビーコンサート
前にも、本コラムにて紹介しましたが、毎月1回三井住友銀行の東京営業部のロビーにて行うトワイライトコンサートは中々のものであります。今月は、2周年記念と言う事で三井住友銀行の頭取がわざわざ挨拶にステージに立たれると言う熱の入れようには感服でありました。
この会場は、戦後の復興期を過ぎた銀行業の良き時代の建物で天井が高く大理石の壁とガラスの壁から成り、ヨーロッパの宮殿から装飾を外したような環境でありまして、この上ない絶好の音響効果をもたらしています。この建物も昨今の経済状態の影響から維持に掛かる経費が大きいようで、この先は、会場が変わると云っておりまして残念であります。
公演は、都響メンバーによる弦楽四重奏団とプラス同オーケストラの主席クラリネット奏者による、モーツアルト/弦楽四重奏「狩」、そしてモーツアルト/クラリネット五重奏でありました。両曲ともに音楽ファンにとっては異論の無い名曲の選曲でありまして、久し振りに若き日の思い出を都響メンバーによる最高の演奏、音響それに最良の座席ポジションで聞かせて貰い、その醸しだすアンサンブルは正しく小宇宙を形成すると思わせるもので、改めて弦楽四重奏の存在とその偉大さを認識し、至福のひと時をすごす事ができました。

4.上高地帝国ホテル
以前、松本に当社の設計分室が有った関係で、お客様接待としてこの上高地には何度となく訪れていました。家内から自分は、一度も行った事が無いと言われていたものですから今回思いきって出かけたと言うわけです。ここ上高地は、以前からシーズン中はマイカーでの進入が禁止されていましたが、いまでは、全てのシーズンで進入が禁じられています。然るに、釜トンネルは上下一車線づつの道路に改善され昔のトンネルとは大違いでありました。
今回訪れたのは、9月初旬で横浜は暑い盛りでありましたが、ここ上高地は15度前後で大変過ごしやすく、ウォーキングには最高の環境でありました。ご承知の方も多いと思いますが、上高地へは沢渡にて車を預けタクシーか乗り合いバスに乗り換えます。タクシーは往きに乗るとメーター無視で4千円、帰りはその運転手に迎えを頼むと3千円との事でした。タクシーが横付け出来る宿泊施設は帝国ホテルと大正池ホテルの2つで、あとの宿泊施設は全てパーキングセンターから徒歩にて宿泊施設に行かなければ成りません。
車で行く上高地も、結構不便と思っているのですが、これが鉄道で行くとなるとこれは大変です。鉄道は、沢渡の可也手前までしか行っていませんで、その先は乗り合いバスかタクシーになりますが、タクシーは可也高額なものになるでしょう。それを考えると、歳をとってからは中々行きにくくなると想定されます。

鈴木信行 :すずき のぶゆき

昭和45年勤務先のアイワ株式会社をスピンアウトして独立。

磁気記録に関る計測機器の製造販売の事業を開始し、その後カーエレクトロニクスの受託設計の事業を始める。

何れの事業も順調に発展したが、会長の永年の思いであった、ハイエンドオーディオの自社ブランドを立ち上げ、現在はカーエレクトロニクスの事業を主とし、協同電子エンジニアリング(株)として運営している。

現在、協同電子エンジニアリング(株)の取締役会長として、趣味のオーディオを健全に発展させたいと真摯に研究し、開発に勤めている。

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