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colums会長のコラム

会長のコラム 230

10月のコラムです。今年の新商品紹介シーズンとなり、既に当社商品を優秀商品として決定した出版社も有ります。他紙も順次に発表の準備が整う事でしょう。音元出版社は、当社のEA-1200 を金賞に推してくれました。
当社の企業規模は、大企業に属するものでは在りません。従って、商品カテゴリーも多くはなく、各オーディオ誌に於ける記事への出番は決して多いとは言えません。業界的には2軍3軍のレベルで有りましょう。その当社の商品EA-1200 が何と「金賞」に輝いたのです。
そこには、惜しげも無く物量投入した昨年のEA-2000 の技術ノウハウを徹底昇華し、技術陣に依るコスト設計、部品購買に依るコストダウンが、EA-1000の後継機としてデビューを可能にしました。そこには先行するEA-2000 の音を「ザ・イコライザー」として、広く音楽ファンに広めた成果が、更に昇華した輝きを生み出したものと考えます。そして、これから順に他誌も発表するでありましょう、既に我々その評価を聴き及んでおります。
何れ、改めてそのノウハウなるものを解説したいと思っています。EA-2000とEA-1200 の音を一聴してその違いを感じて頂ける筈です。そこには「良い/悪い」の差では無く、音楽ソースに依って2台揃えたいとの欲に駆られる差であります。我々は、ここを狙って創り上げたのではありません。唯只、開発ポリシーに従って、EA-1000の後継機作りの作業を進めた結果なのです。この音の差、それはストラディバリウスにも個体差が有ります、これとて「良い/悪い」の範疇ではありません。人の手に依る作業から来る個体差とお考え下さい。物理特性を追っても「良い音」は作れません。この事の現れとお考え下さい。

久しぶりに今月の音楽ライフです。いよいよコロナ禍も収束の兆しでありましょうか。今月は、私の定番である新国立劇場での「チェネレントラ」と神奈川フィルの定期演奏会に行って来ました。
10/11(月)14:00開演で新国立劇場にてオペラ「ロッシーニ/チェネレントラ」に行って来ました。このオペラは、ロッシーニ活躍期間の中期の作品と言えましょう。ロッシーニは、生涯に39曲の歌劇を作曲し、本作品は20番目に相当します。そのロッシーニは、18歳でオペラ作曲家となり、37歳で筆を折るという天才作曲家で、多くの分野で話題の多い人だったようです。本オペラの題材は、シンデレラ物語から採ったもので、ストーリーは省略しますが、過去歴の多い世界に共通する物語であります。
このオペラは、ロッシーニ節の典型であるオペラ・ブッファで、出演歌手には均等に重要役柄が当てられ当日の外国人歌手は、テノール、バリトン、バスの3人でした。そして日本人歌手陣が大活躍で、アンジェリ―ナ役の脇園彩、クロリンダ役の高橋薫子、ティーズベ役の齊藤純子が重要な役柄を熟し、新国立劇場でなければ揃えられないであろうキャストに魅了され、久しぶりのオペラ鑑賞に癒されました。
当日のオーケストラは、東京フィルハーモニー、指揮が城谷正博でした。指揮者の城谷は、東京芸大作曲科、同大学院指揮科を終了し、新国立劇場音楽スタッフとしてすべての公演に携わっている人です。そして、日本国内の主要オーケストラの指揮活動をしています。

10/23(土)14:00開演で川崎駅前のミューザ川崎シンフォニーホールに神奈川フィルハーモニー定期演奏会に行ってきました。今年は、当楽団のホームである、みなとみらいホールが工事中で、専らここミューザでの公演が主体となっています。このホールは、決して悪いホールではないのですが、何型と言うのか、最近はやりのベルリンフィル・ホールの様な、いわゆるシューボックス型ではないホールです。音は兎も角、目が回る視覚は頂けないし、ピアノ演奏では、聴く席に拠って音に差を感じてなりません。
さて、当日の演奏です。小泉和裕の指揮による、モーツァルト/交響曲40番、とチャイコフスキー/交響曲5番でした。
小泉和裕は、当神奈川フィルの特別客演指揮者です。氏の選曲は、何時もながら、名指揮者が必ず演奏しメディアに残す曲、つまり先人の手垢が付いた曲に挑戦します。過去の偉大なる指揮者に対峙すると言った方が上品ですよね。
これは、氏が膾炙した曲について「俺の演奏を聴いてみろ」と言わんばかりの自信のもとに選曲していると思えてなりません。この人は、カラヤン指揮者コンクールで優勝した経歴の持ち主であり、東京芸大で山田一雄に師事した世界に誇る指揮者です。
当日の演奏は、「素晴らしかった」の一言。どの指揮者とも違う音楽表現であり、聴衆に感銘を与え、緊張を強いる名演でした。モーツァルト/交響曲40番は、後期3大作品の真ん中、明るいモーツァルトにしては珍しい短調の曲であり、哀愁を帯びたメロディーは何時までも耳に残る、「モーツァルト」の短調とは、こういうものだと言う自身の解釈をぐいぐいと押し出す演奏でした。そして、後ステージがチャイコフスキーの交響曲5番です。これまたモーツァルト演奏以上にスリリングで緊張のし通し、何かに憑かれた感じ、すごさの残る言いようの無い演奏には、「俺の演奏を聴け」と言わんばかりの強烈さに感銘を受け、ああー疲れた、凄かった、の演奏でした。正しく、過去の名指揮者に挑戦状を送る演奏であったと言えましょう。
コロナ禍でのハッピーなひと時でした。

鈴木信行 :すずき のぶゆき

昭和45年勤務先のアイワ株式会社をスピンアウトして独立。

磁気記録に関る計測機器の製造販売の事業を開始し、その後カーエレクトロニクスの受託設計の事業を始める。

何れの事業も順調に発展したが、会長の永年の思いであった、ハイエンドオーディオの自社ブランドを立ち上げ、現在はカーエレクトロニクスの事業を主とし、協同電子エンジニアリング(株)として運営している。

現在、協同電子エンジニアリング(株)の取締役会長として、趣味のオーディオを健全に発展させたいと真摯に研究し、開発に勤めている。

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