Phasemation フェーズメーション

colums会長のコラム

会長のコラム 269

2025年2月のコラムです。

米国のトランプが、大統領に就任し、世界平和状況に大きな異変が起きつつあるのではないか。何と言っても、世界一の実力を持つ米国だから、大統領の一言の重さが、世界の指導者に及ぼす影響は大きく、大統領の一方的な発言が、一歩間違えると世界大戦になるのでは?等と心配が走る昨今です。
我々のオーディオ事業などは、平和の社会でこそ、その需要が見込まれる商品です。ここから受ける影響は計り知れないものが有り、「気を引き締めねば」の心境に至っています。
この環境のなかで、今年5月にはミュンヘン・オーディオ・ショーの開催が予定されており、当社も出展予定で、開催の可否に不安が生じるのです。悪い状況を思い描かざるを得ない今の状況、改めて平和な時代を望みつつ、流される運命への転機が気になる。前向き志向の私は、何事も無いよう願いつつ、耐え難い心痛に至っています。

今月のコンサートライフ
先月末の新国立劇場定期コンサート観劇記を今月に延ばしました。寄って、本件から先にレポートします。
1月29日 PM2時開演で、新国立劇場にオペラ「ワーグナー/さまよえるオランダ人」に行ってきました。
久しぶりのワーグナー作品です。劇の進行に従って、一拍置いて考えさせられ、そこにオペラストーリーの面白さと言うか「コク」を感じさせる、毎度のことながらワーグナーのオペラは感銘を受けると共に、作品の重さを感じさせられる、何とも言えない重さを感じとる、ここがドイツ・オペラの魅力でもあります。
本公演で予定されていた出演者のオランダ人役「エフゲニー・ニキティン」が河野鉄平に代わって居り、それがなかなかの出来栄えで満足。この人、海外で活躍していた人ですが、小澤征爾の松本フェスティバルなどでも活躍していた人で、役の重さの責を熟した、見事な、新国立公演ならではの出来栄えでした。

2月4日 PM2時開演で、新国立劇場に「オペラ/フィレンツェの悲劇」、「ジャンニ・スキッキ」の2演目公演(2本立て公演)に行って来ました。先の公演「オランダ人」と数日違いとあって少し疲れました。
旅商人が旅から帰ると、自分の美人妻がフィレンツェ大公の息子とラブラブ中で、決闘となる。旅商人が大公の息子を殺す。美人妻は旦那の強さにほれ込んで決着と言う他愛ないストーリーですが、ベルカント・オペラの楽しさ満載、ドイツ・オペラの哲学的思考より、この方が私向きであります。
二本立てオペラ公演のもう一方がジャンニ・スキッキです。
こちらは、遺産相続問題のドダバタ劇、劇中のアリア「私のお父さん」は抜群の有名曲です、流石はプッチーニの作曲で、オペラの楽しさとメロディーの缶詰め、肩の凝らないベルカント・オペラの特徴です。先週のドイツ・オペラとは全く違う楽しさですが、オペラ鑑賞はそれ相応の価値を感じる。だからオペラ鑑賞は止められませんね。

2月15日 PM2時開演で、みなとみらいホールに、神奈川フィル定期演奏会に行って来ました。
演奏曲目が、ブラームス/ヴァイオリンとチェロの為の二重協奏曲、そして後のステージがショスタコーヴィッチ/交響曲第10番でした。
前ステージの「ブラームス/ヴァイオリンとチェロの為の二重協奏曲」
ブラームスは、親交の有ったヴァイオリン奏者のヨアヒムの美人妻アマーリエと不和になり、そこにブラームスがアマーリエに理解を示した事から気まずい状態になり、誤解を解くためにヴァイオリンとチェロの為の二重協奏曲を作曲し、ヨアヒムに助言を求めることで誤解を取り戻したと言われている。だからこの曲は、ヴァイオリンをアマーリエ、チェロをヨアヒムにと、夫婦の誤解を解く事を願いつつ作曲したと言われていて、その「和解」のイメージが音楽に投影されていると言われています。
二つの楽器は、親密な関係を紡ぎ出していく、そしてその曲想は、言われてみると、なるほどそうなのかと思うのであるが、楽器を奏する人はもっと強くその感じを読み取る事になるのでしょう。音楽鑑賞万歳であります。

当日の後ステージが、ショスタコーヴィチ/交響曲第10番でした。この曲はスターリンの死と時期が一致するので、その死を悼む曲と思われていたが、曲の草案が第9番以前に出来ていたことが、後日に解ったそうだ。しかしこの曲の曲想は激しく、その様に思われても仕方無いと思われる程に激しい曲で、神奈川フィルの方々ご苦労さんと言ってしまいそうな激しい曲想に些か疲れました。私、あまり聴かない曲で、レコードも持っていません。
しかし、兎に角、夢中になって聴いてしまう。今に至るまで買う気も有りませんでした。生演奏はすごい威力、生を聴かずして真髄を理解出来ない、気持ち良い疲れを感じる曲でした。

鈴木信行 :すずき のぶゆき

昭和45年勤務先のアイワ株式会社をスピンアウトして独立。

磁気記録に関る計測機器の製造販売の事業を開始し、その後カーエレクトロニクスの受託設計の事業を始める。

何れの事業も順調に発展したが、会長の永年の思いであった、ハイエンドオーディオの自社ブランドを立ち上げ、現在はカーエレクトロニクスの事業を主とし、協同電子エンジニアリング(株)として運営している。

現在、協同電子エンジニアリング(株)の取締役会長として、趣味のオーディオを健全に発展させたいと真摯に研究し、開発に勤めている。

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