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colums会長のコラム

会長のコラム 038

12月の神奈川フィル定期公演は、久しぶりに県民ホールでの演奏でした。
この県民ホールはご承知のように、基本がオペラハウスとして設計されていますから舞台に対して横に広くなっていますし、 観客の収容人員も多く設計されています。 従って、コンサートホールとしての「みなとみらいホール」とは音がかなり違います。 それが、久しぶりとなるとその音の違いが思いのほかに感じるから不思議です。同じオーケストラと指揮者ですからなおさらです。

オーディオ機器の違いで音が変わるのは、不思議でも何でもありませんが、 生音楽がこれだけ変わるとなると、「生がリファレンス」などと、モットもらしく言っている御仁に聞いてみたくなります。 しかし、この様な御仁はおうおうにして「音」の本質が分かっていないケースが多いのではないかと思います。
私は常々思うのですが、演奏を観賞するということは、演奏者と聞き手が同じグランドレベルにある事が理想と言うか、 そうあるべきと考えています。だからコンサートホールはサントリーホールやみなとみらいホールの方がより良い構造ではないでしょうか。 しかし、これらのホールではコンサート形式でのオペラ演奏しかできません。

さて、当日の演奏曲目はチャイコフスキーの「悲愴」で指揮者 源田さんの入魂の作でした。 演奏前に源田さんがプリ公演を行いますが、そこでこの曲に対する源田さんの思いを述べていました。
そのなかでの印象として、第二楽章は5拍子のワルツと言っています。 5拍子のワルツという言葉は初めて聞きますが、その説明にウインナワルツは正確に3拍子と言えないと自分で曲をハミングしながら説明していましたが、流石、指揮者の説明は納得で、聴衆の方々も納得したようでした。
神奈川フィルの定期演奏会での演奏はいつも楽しさ一杯です。

10月の新国立劇場のモーツァルトのオペラ「イドメネオ」はアルゼンチンに行っていたために行けずじまいで、 切符を友人にあげてしまいました。私の場合、国立劇場の切符はシーズンを通して一括で買っています (これは良い席を確保するための手段です)ので、こんな残念なケースが起きてしまいます。

新国立劇場外観

12月の公演は、ロッシーニの「セビリアの理髪師」でした。大変素晴らしい公演で主役の アルマヴィーヴァ伯爵を演じるローレンス・ブラウンリーとロジーナを演じるダニエラ・バルチェッローナはロッシーニ歌いとして ミラノスカラ座やメトロポリタンのタイトロールが絶賛されている人達で、なかなかの出来ばえでした。 しかし、このアルマヴィーヴァ伯爵を演じたローレンス・ブラウンリーは黒人でしかも小柄でとても伯爵と言う容姿ではありません。
一方のロジーナを演じるダニエラ・バルチェッローナは申し分の無い大柄な容姿で素晴らしいメゾソプラノです。 歌に演技そして容姿と、オペラの公演はつくづく難しいものだと思います。これだけの出し物です。税金を投入しています。行かなければ損ですよ。

演奏は、新国立劇場定番の東京フィルです。演奏の良し悪しは舞台に見惚れていたので良く分かりませんが、 ロッシーニの澱み無いメロディーラインですから楽しかったと言っておきましょう。

鈴木信行 :すずき のぶゆき

昭和45年勤務先のアイワ株式会社をスピンアウトして独立。

磁気記録に関る計測機器の製造販売の事業を開始し、その後カーエレクトロニクスの受託設計の事業を始める。

何れの事業も順調に発展したが、会長の永年の思いであった、ハイエンドオーディオの自社ブランドを立ち上げ、現在はカーエレクトロニクスの事業を主とし、協同電子エンジニアリング(株)として運営している。

現在、協同電子エンジニアリング(株)の取締役会長として、趣味のオーディオを健全に発展させたいと真摯に研究し、開発に勤めている。

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