Phasemation フェーズメーション

colums会長のコラム

会長のコラム 250

最近のスピーカーに付いて、その優れた性能を引き出す事、極めて重要と考え、当コラム250号もそこから述べさせて頂きます。
オーディオを趣味とする方にとって、聞いてみなければ分からない、と言う文言は都合の良い事で、ここを極めるには、半端な投資資金では収まらないからです。私は、プロとしての立場から、この問題の整理を試みることとし、今月のコラム250号もここから始める事になります。
前号コラム249号は、当社のパワーアンプMA-2000(WE社1988年製300B)パラシングルと211シングルアンプ(開発途上の試作機)の視聴結果に付いて考察しました。そして、本コラム250号では、近日発売予定の211パラシングル(予定機種名MA-5000)との比較試聴に付いて述べさせて頂きます。
試聴して先ずは、予想を超える性能に驚きました。211パラシングルアンプは、シングルアンプの音とは次元の違う「音」であります。最近のトールボーイ型スピーカーは、言葉は悪いが大飯食らい、出てくる音はシングルアンプとは次元の違う「音」で、その分解能の素晴らしさを表現は難しいが、一言で言うなら女性歌手の口元の締まりが違う、ダラシナク大きな口が、締まって小さい上品な口元、そこから来る音像定位は抜群です。「F特が如何とか」「ノイズが如何とか」性能表現の言葉に窮する、次元の違いを感じるのです。
試聴したSPは、最近評判の国産メーカーのもので、スピーカーの技術者もその特性を期待して設計したので在ろう事が容易に理解出来る結果でした。この現象は、我々「アンプ屋」にとって、何か恐ろしさを感じ、「アンプ屋よ! もたもたするな」の仰せに危機を感じました。
しかし、考えてみると真空管アンプは、電圧増幅で。半導体アンプは、電流増幅です。スピーカーは電力を消費するデバイスである事を考えると、半導体アンプが有利な事は当然ですが、これは効率の面での理論であり、音質面では通用しない理論であります。
要は、半道体アンプが圧倒的に多い現状を考えると、スピーカーは大電力で駆動する方が理に叶って居り、益々その方向に進むわけです。
ならば、真空管アンプもその方向へと向かう訳で、大電力の真空管アンプが求められる、この事実を考えると私の実験も理解出来るわけで、当たり前の事実の検証と言うことだったのです。それにしても、効率の良いスピーカーを開発する気配は市場に見えない、それでも「スピーカーに手を出すな」との天の声が再度聞こえて来るのです。

コンサートライフです。
6月30日新国立劇場に14:00開演でオペラ「プッチーニ/ラ・ボエーム」に行ってきました。本来6月のコラムに掲載するところですが、コラムのアップが遅くなるので、今月本号に掲載することにしました。
このオペラ「ラ・ボエーム」は、オペラ入門時に誰でも鑑賞して涙を流し、オペラの素晴らしさを体験する作品と言えます。斯く言う私もそうですが「イタリア・オペラ」が日本に親善公演に連続して来日した時、多くの人が徹夜で並びチケットを購入していました。
私はその時期、サラリーマンを卒業しソニーのUマチックVTRに関わる仕事をしており、自由に使用出来る立場に居たことから、貴重なアーカイブが得られました。
さて、今回の新国立劇場に於けるオペラ「ラ・ボエーム」です。家内が逝去し1年が経過した時期です。オペラ開幕と同時に「私の名はミミ」のアリアが歌われます。このアリアを聴くと同時に、不意に目頭が熱くなり、止めどなく涙が出てくる、ストーリーの先を良く知っているからと思いきや、家内の逝去の現実とクロスするではないですか、我ながら狼狽するのです。しかも隣に当社のオーディオ開発部長がいるので、知られてはならないと思うと、余計に熱くなる。それ程までに、演奏といい、歌唱といい、パーフェクトだったことに加えて、プッチーニ節に打ちのめされた感じが永く続くのでした。
と言う事で、オペラと言う芸術の凄さに改めて感じ入る次第で、何度も鑑賞歴のあるオペラにも関わらず。この体たらくは、オペラの生演奏の威力であり、新国立劇場の企画運営に改めて感服いや感激でありました。

当日の演奏とキャスト

オーケストラ 東京フィルハーモニー
指揮 大野和士
コンマス 依田真宣
ミミ アレッサンドラ・マリアネッリイタリア人で今売れっ子のソプラノ歌手、「素晴らしい」の一言、新国立劇場初登場。またの登場を願いたい。
ロドルフォ アスティーヴン・コステロアメリカ生まれ、メトロポリタン歌劇場でデビュー。イタリアオペラを得意とする歌手で新国立劇場初登場
ムゼッタ ヴァレンティーナ・マストランジェロイタリア人でイタリアオペラを得意とする歌手、新国立劇場初登場
コッリーネ フランチェスコ・レオーネ(バス)イタリアオペラを得意とする歌手、新国立劇場初登場

以下、全て日本人歌手で、適材適所を吟味した足跡が良く判る。

7月15日土曜 神奈川フィル定期演奏会にみなとみらいホールに行ってきました。
当日の演奏曲目が、ベートーベン交響曲8番。後ステージがブラームス交響曲4番でした。当日の指揮が小泉和裕そして、ゲスト・コンマスが松浦奈々
ヨーロッパ名門オーケストラを指揮し、絶大なる評価をえている指揮者で神奈川フィルの特別客演指揮者としてシーズン中に必ず数度に指揮台に立つ人です。
「素晴らしかった」の一言、所持するレコードからは聞く事の出来ない名演でした。

鈴木信行 :すずき のぶゆき

昭和45年勤務先のアイワ株式会社をスピンアウトして独立。

磁気記録に関る計測機器の製造販売の事業を開始し、その後カーエレクトロニクスの受託設計の事業を始める。

何れの事業も順調に発展したが、会長の永年の思いであった、ハイエンドオーディオの自社ブランドを立ち上げ、現在はカーエレクトロニクスの事業を主とし、協同電子エンジニアリング(株)として運営している。

現在、協同電子エンジニアリング(株)の取締役会長として、趣味のオーディオを健全に発展させたいと真摯に研究し、開発に勤めている。

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