会長のコラム 017
コラム16号をアップしてから間がないのですが、このところオーディオに関わる記事を書いていない事に気が付き、急遽本号をアップしました。
最近、インターネット配信による音楽ソフトとそれに関わるグッズが、廉価で販売競争されております。
その影響で、私が嫌悪な印象を持っている、5.1CHや5万円ミニコンポも流石に真っ青の状況に至っています。
「オーディオは何処へ行く」の心境ですが、こうなったらもうマニアとしては、開き直り以外に無いのかも知れません。
私がたずさわる計測機器の業界は、客層が大学教授、研究所の所員、メーカーの研究者等で楽器演奏や、コンサート通いと言った音楽生活パターンの方々が結構多く居られます。
これ等の方々のオーディオ装置は、何とミニコンポの多い事に驚きます。
殆どの方々がメーカーの巧みな宣伝に乗せられて購入したもので、その結果としてパッケージ音楽のつまらなさを味わさせられ、苦情めいたお話を多く聞きます。
そんな現実を目の当たりにして義憤を感じた、と言えばカッコいいのですが、私が親しくしている方に2A3シングルステレオアンプを、手持ちの部品で作って差し上げたところ、大変な喜び様でご自分のお持ちのCDがこんなに素晴らしかったのか、また、録音によってCD毎にこんなに音が違うのか、と改めて感じ入られ、良いCDはどうやって選ぶのかなど等、「エッ」と思うような質問攻めで私も嬉しい悲鳴と新たな現実の世界を発見し、嬉々としている昨今です。
そんな事で、私も初心に帰り、2A3シングルアンプの復習をしている処です。
ご承知の様に2A3シングルアンプは上手く設計しても3.5Wが精々ですから、能率の良いスピーカーを選ぶ事が大切です。
特に最近の低インピーダンスのスピーカーユニットには、なかなか適当なものが少くて苦労しますが、この2A3シングルアンプにスピーカーをマッチングさせると、素晴らしいコンポになります。
皆さんの2ウェイ、3ウェイの豪壮なシステムから一歩引いて、ステレオの原点に返って見るのも一考で、これこそ「ザ・ステレオ」の世界が広がります。
毎度言うように、音場の中に音像が定位し、目の前にオーケストラが、そして歌手が、前後の位置関係を明確に表現する事をステレオといいます。
良質のフルレンジスピーカーと2A3シングルアンプの組み合わせたニアフィールド状態でのヒヤリングは、部屋のサイズ形による、スタンディングウーブ、ライブにデッドと言った部屋の条件は殆ど関係無しに、ステレオを実現出来ます。 このニアーフィールドシステムをレファレンスにして、等身大の豪壮システムを見直すと言う、当たり前の事ですが原点に帰ってみると反省材料が走馬灯の様に浮かび上がってきます。
この場合、くれぐれもご注意頂きたい事は、アンプには良質の部品を使う事です。
それと良質のシングルコーン、若しくはメカニカルダブルコーンのフルレンジスピーカーの使用が欠かせないでしょう。
スピーカーはフルレンジで無くても良いと思いますが、容易にステレオの完成度を求めるには、シングルフルレンジスピーカーが勝るようです。