会長のコラム 040
私にとって、1月のコンサートライフは大変充実したものでした。
神奈川フィルの定期演奏会は、私の年間スケジュールにブックされており、予定定例通りの行事です、「みなとみらいホール」にて、源田さんに変わってシュナイトさんの指揮によるブラームスのドイツレクイエムで、75分間全曲続けて演奏されます。
従って、この日は予定より早くの終演となり、次の予定のアルゼンチンタンゴの仲間の新年会に余裕を持って参加出来、余禄の楽しいときを過ごしました。
今月は、イタリアの中世城塞都市のベルガモオペラ劇場が「ラメンモールのルチア」と「アンナ・ボレーナ」の2演目を持っての引越し公演がありました。
このイタリアのベルガモと言う土地は、ミラノからヴェローナ、ヴェネチアに行く高速道路の途中でミラノから30分程のところです。
昨年、ヴェローナの野外オペラ観劇のときに、此処ドニゼッティーの生誕地ベルガモに寄って観光した折り、このオペラ劇場に思いを馳せた事から、今回の引越し公演は見逃す訳にはゆきませんでした。
ちょっと地図を見て頂けるとわかりますが、ミラノ、ベルガモ、ヴェローナ、ヴェネチア、と直線状の位置にこの地はあります、日本からの直行便到着地はミラノですからミラノから乗り換え無しのオペラ街道と言って良いロケーションで、これだけ見てもイタリアの音楽環境の良さの一端を覗い知るものであります。
さて、この引越し公演ですが、まず「ラメンモールのルチア」に付いてです。この劇中に「ルチア狂乱の場」と言うアリアが大変有名で、このオペラの中核をなしているのですが、兄の王から政略結婚を迫られ初夜に婿を殺害し狂乱すると言う単純なストーリーです。
考えてみると信長の妹「お市の方」は2度も政略結婚をさせられて、何れも立派に職務?を果たしているわけで、これしきの事で狂乱とは、西洋女の根性の無さを思い浮かべ、シラケテしまうのですが、全編に渡ってのドゼッティー節は大変魅力で、傑作オペラのひとつです。
主役のソプラノ歌手デジレ・ランカトーレは超高音を出せる歌手として実力が認められる人で、ヨーロッパの楽壇で活躍する人気の歌手の一人です、当日もなかなかの出来であったと思いますが、オーケストラを含めてその他の歌手の出来栄えは、イタリアの一流どころに一歩譲るものを感じました。しかし、日本の新国立劇場のものとは明らかに、そこに香の違いを感じるものです。
次に、「アンナボレーナ」で、私は初めて観るオペラです、事前に勉強と思いDVDソフトをさがしたのですが見つかりませんでした、このオペラは、それほどまでに公演される機会の少ないオペラです。
理由は、2人のソプラノ歌手に課せられる負荷が重く役者が揃わないと言う事のようです。
確かに、二人のソプラノには技量が要求されています、特にアンナボレーナ役には格別の技量が必要と素人目にも判ります。
このオペラ、終始暗いのでハッキリ言って楽しく有りません。なにしろ、ご存知の残虐王ヘンリー八世の実話にもとずく台本ですから、大方想像は付くものと思います。
そもそもオペラは、悲劇が多く「トスカ」や「椿姫」も悲劇に違いはないのですが、楽しく明るい場面も有ってドラマチックです、何度も見たい気になります。しかし、この「アンナ・ボレーナ」はオペラとして素晴らしい歌唱テクニックの聴かせ何処がふんだんにあるのですが、私だけでしょうか、また見たい気になりません。
一月は、この他にもステレオサウンド社の表彰式なども有って、休む間が無く重たいフランス料理を食べ続けた感じで終始しました。これから、少し休んで2月の下旬からイタリアのミラノ、パレルモとオペラ旅行に出ます。
3月には仕事でドイツ、オーストリアへの出張がブックされています、そのときは、ついでにオペラと思っていまいすから、またレポートしますので今後も宜しくご高覧下さい。