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colums会長のコラム

会長のコラム 196

12月のコラムです。「あっ !」と言う間に年末を迎える、歳と共に指数関数的に「時」の経つのが早くなる。これは、日々健常であることの証でもあり、宿命でありましょう。
新商品発表のイベントが済んで一息なのですが、全て年内の発売を条件にしているので、出荷義務が有ります。営業、製造部門は大変で、技術担当まで駆り出しての大騒ぎ、クタビレ果てた私は見ない振りして休んでいますが、気が気で有りません。
時節の定番、忘年会が会社、業界、趣味の仲間そして所属グループごとに行われ、歳と共にこのグループなるものの数が自然増するから堪らない。最近は「ご免、歳だから」とは言うものの、実は行きたくて仕方ない、世情不安に加え他界する知人も多いので、今、会っておきたいとの思いが先行するのです。
新商品の表彰騒ぎが済んでその後記を少し。新商品のパッシブ・コントローラ CM-2000 は、従来のプリアンプに置き換わる実力を持つことから、当器で音楽を再生するとCD などの録音媒体の製作面の欠陥や視聴再生系のメインアンプに至る機器の欠陥が、従来オブラートに包まれて聞こえなかった部分を、あからさまに表現します。これ、本来あるべき姿に違いはないのですが、都合の悪い人達が存在すること、そして楽しんでいたCD が実は粗が見えて来た、満足していた機器に欠陥を見つけた、等々の現象が想定されるのです。その現象を嫌って当器を否定すると思われる空気を感じるのであります。

今月は、年末でも有り余裕が無いので、オーディオ技術の話は休ませて頂き、早速コンサートライフとします。この時期のコンサートは、ご承知のように「ベートーベン第九」一色、悪い事では有りませんが、普段音楽に接しない人も聴くチャンスやコーラスへの参加などに遭遇し歓迎すべき現象と考えます。
私の知るマニアの方は、発売されている第九はすべて購入しないと気が済まないと言う人もいますから、特別な曲と言えるのでしよう。
この特別な第九を鑑賞するに当たり、私なりの一言です。第四楽章では大太鼓が重要な役を演じるのですが、コンサートホールないし、席に拠っては大太鼓の音が本来のものと違って「コン・コン」としか聞えない、とても大地の響きとは思えない現象を感じるホールに遭遇します、何処とは言いませんが仕事柄により、興ざめを感じてしまいます。
第九に付いての思いをもう一つ、第四楽章はコマーシャルや類したケースに利用されることが多く誰でも知るパートです。しかし、第一、第二、第三楽章それぞれ素晴らしく、特に第三楽章は癒されます、それに続くこの第四楽章ですから、言いようの無い凄さを感じるわけで、ベートーベンが人類に宛てたメッセージは凄いと改めて思うのです。

12月1日土曜 みなとみらいホールにて、14時開演で神奈川フィル定期演奏会に行ってきました。曲目は、ジャック・イベール/交響組曲「寄港地」です。この曲は、交響曲と銘打っていますが、曲の姿から言ってビオラ協奏曲と称すべきと思いますが如何でしょう。
作曲者のイベールが、海軍士官として訪れた地の印象を題材にして、第一曲が「ローマ~パレルモ」で、ローマからシチリアのパレルモに航海し、港の朝の霧を彷彿とさせるメロディーが印象的と評されます。第2曲は、「チュニス~ネフタ」で北アフリカの砂漠横断の旅、そして第三曲が「バレンシア」スペインの港町をスケッチしたものと言われ、快活な舞踊曲であります。
イベールは、この曲によって34歳の作曲家としてパリにて一躍有名になったと言われ、ラベルの流れをくむ、フランスの作曲家です。聴く機会の少ない曲で、定期演奏会ならではの演奏に大いに癒されました。

12月6日木曜 新国立劇場にて7時開演でヴェルディー/オペラ「ファルスタッフ」に行ってきました。ヴェルディー最後のオペラであり、同じ時代のワグナーの才能に刺激を受けて一念発起した作品であります。このオペラには、ヴェルディーの特徴である素晴らしいメロディーやアリアなども無く、ヴェルディーらしからぬオペラで、一面、面白くないのかも知れません。しかし、味のある意味深い作品で、音楽の構成が流石にヴェルディーであり見事であって、聴き応えのあるオペラとして私は楽しく鑑賞しています。
当日の指揮がカルロ・リッツイ、新国立劇場の初出場で大物指揮者であります。イタリア生まれでイタリアオペラが得意、ザルツブルク音楽祭でアンナ・ネトレプコとロランド・ビリャソンが出演の「椿姫」を指揮し、ヒットしたあのDVD の指揮者であります。そして、オーケストラが東京フィルハーモニーで、素晴らしい演奏でした。指揮者に依ってオーケストラも大変身、改めて指揮者の影響力を認識しました。
当日のキャストです。このオペラの登場人物が多く、それぞれが重要な役柄を演じるので、キャスト選びに手抜きは出来ません。それでも主役は通常の3人の外国人でした。重要役柄のナンネッタが幸田浩子、フェントン役が村上公太、ピストーラ役が妻屋秀和で日本人歌手のベテラン揃い、それぞれ海外での評価の高い人達の出演であり、新国立劇場でなければ企画出来ないであろう「所属のシガラミ」事情を持つキャスト構成、新音楽監督に代わった結果か、何か新しさを感じる素晴らしいキャスト構成には、今後が楽しみであります。
当日の力の入った企画に感謝であり、感激した公演でしたが、それでもチケット代金の値上げは無く、従来通りでこれ流石と言うものであります。
税金投入のオペラ公演です、行かなければ損です。ヨーロッパのオペラ劇場は何処も財政難に見舞われ存続に疑問符が付いていると言われます。何れ、新国立劇場もその目に会うかも知れませんが、日本企業のサポートが力強いと聞き及び、頼もしい限りと期待しています。

12月26日 水曜 神奈川トヨタ(株)の企画公演で神奈川フィルハーモニーのコンサートに行って来ました。このコンサートは神奈川トヨタが主催するもので、お客様へのサービスではなく、神奈川フィルへの応援と地域文化向上への貢献と謳っています。本来は、はがきによる一般応募ですが、私は招待状で行ってきました。
演奏曲目は、チャイコフスキー/オペラ「エフゲニー・オネーギン」から”ポロネーズ”、ショパン/ピアノ協奏曲一番、そして後ステージが、チャイコフスキー/交響曲第四番でした。
ピアノ独奏が、津田裕也でこの人は東京芸大修士科卒業後ドイツに渡り、国家演奏家資格を取得し、ヨーロッパで実績を上げている人です。
そして、神奈川フィルのメンバーは首席クラスが揃った「力」の入ったもの。指揮が常任指揮者の川瀬賢太郎と言う定期演奏会並みのオーケストラ構成です。前ステージは、癒し系でありポピュラーな曲のソツのない出来具合で有りました。
後ステージのチャイコフスキー/交響曲第四番、この演奏は凄かった。若い時代に聞いたムラビンスキーの演奏が後々まで耳に残っていましたが、当日の演奏を聴いてやっとリセットされた思いに至るのです。最近のオーケストラの技量と指揮者の見識は、昔の名演のレベルを超えていると思います。昔のものは録音も悪いし、昨日の演奏は「生」ですからその差は当然ありますが、やはり昨日の演奏は凄かった。何事も後世の諸作は昔を超えると言うことではないでしょうか。
それにしても、神奈川トヨタさん、立派であります。トヨタ自動車のメセナコンサートもトヨタならではのものでありましたが、その経営姿勢を継いだ販売会社の神奈川トヨタに改めて感激したと言う、立派なコンサート体験でした。

鈴木信行 :すずき のぶゆき

昭和45年勤務先のアイワ株式会社をスピンアウトして独立。

磁気記録に関る計測機器の製造販売の事業を開始し、その後カーエレクトロニクスの受託設計の事業を始める。

何れの事業も順調に発展したが、会長の永年の思いであった、ハイエンドオーディオの自社ブランドを立ち上げ、現在はカーエレクトロニクスの事業を主とし、協同電子エンジニアリング(株)として運営している。

現在、協同電子エンジニアリング(株)の取締役会長として、趣味のオーディオを健全に発展させたいと真摯に研究し、開発に勤めている。

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