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colums会長のコラム

会長のコラム 167

今年は、8月の夏休みシーズンに「山の日」が休日に加わり、理由はともかく休日が増えるのは歓迎、お陰で今年の夏休暇は大変ビッグなものになりました。
この間、銀行などの公共機関は、通常通り業務を行っていたので、5月に亡くなった母親の相続手続を済ませるのに大変助かりました。と言うものの相続の手続きは大変です、金融機関によって扱いが違い、郵貯銀行関係は面倒でいまだに処理出来ていません。過去の名残でしょうか、親方日の丸根性が抜けない非効率企業ぶりに参っています。
暑い盛りの8月です。コンサートの開催も気候の良い場所でと言う楽界共通の思いで有りましょう、ザルツブルグ、ルッツェルンなどの歴史的フェスティバルに習ったのかどうか分かりませんが、恒例の「サイトウキネンフェスティバル」に行ってきました。このフェスティバルも呼称が変わりまして「セイジ・オザワ松本フェスティバル」と言いますが、引き換えて、都心での8月コンサートの開催は、控えめで助かります。

フェスティバルには、8月21日PM4:00開演のオーケストラBプロ、22日PM7:00開演のオーケストラAプロ、に行ってきました。
8/21開催のオーケストラBプロは、マーラー/交響曲第2番 指揮がファビオ・ルイージ、コンサートマスターが矢部達哉、神奈川フィル首席の山本裕康が出ていました。
当日の公演は、休憩無しで年寄の限界でありましたが、流石に素晴らしい演奏でした。ご存じのようにファビオ・ルイージはニューヨーク・メトロポリタンの首席指揮者で、小澤の薫陶を受けたオペラ指揮者として定評があります。当日のマーラーは私にとって「鳥肌」ものでした。素晴らしい演奏は、スリリングで鳥肌の立ち通し、やはり一流は違うとの印象を新たにし、旅のつかれもわすれてしまいました。
翌日のオーケストラAプロは、PM7:00開演でオネゲル/交響曲第3番「典礼風」指揮がファビオ・ルイージ、コンサートマスター豊島康嗣でこれが前ステージでした。これも見事な演奏で有り、前日同様に実況録画が行われていました。そして、後ステージは同じオーケストラメンバーでの小澤の指揮によるベートーヴェン/交響曲第7番でした。本来、ここではブラームス/交響曲4番が演奏される筈でしたが、小澤の体調不良との事で急きょ変更になり、真に残念でしたが仕方ありません。小澤は、楽章ごとに指揮台を降りて、用意された椅子に腰を下ろしビオラ首席奏者の女性が飲み物の面倒を見ていました。見るからに体調は悪いようで、コンサートマスターの豊島の隣にはソロコンサートマスターの矢部が座っていることなど普通ではありません。小澤の真正面にはチェロ首席の山本が座っている、と言うように信頼できる手勢を近くに寄せて、体力の消耗を抑えているように見受けました。
ここ松本の会場は、このフェスティバル初期の時点からの場所で、交通インフラが悪く、今回私は松本駅前の高級ホテル(松本における)をとったのですが、時間になってもタクシーがキャッチ出来ない。焦りました。運よく到着した車を拾うことが出来て間一髪開演に間に合いましたが、運転手の話では駅のタクシー乗り場にはコンサートホール行きの客が大勢いたと言っていました。
最近、この地でもホテルの資本系列が変わって、いつも利用するホテルの性格が変わってしまい、地元の知人も私をアテンド出来ずに、独自行動を強いられました。話に聞いていましたが、これほど大変な状況である事を初めて経験しました。
このところ、私はテロ事件が心配で海外旅行を控えています。欲求不満が募り松本に行ったついでに上高地に足を延ばし、不満解消に努めてきました。昨年、松本の知人に河童橋ふもとの五千尺ホテルを紹介され、この地では帝国ホテルしか知らない私が虜にされたので再び行ってきました。
ホテル1Fのカフェー、ここのケーキは絶品であります。特にアップルパイはすごい。何がと問われても言いようが無い。チーズケーキも素晴らしい。お土産にテイクアウトと思いましたが、これはご法度、鮮度が落ちるからとの事ですからよほど自信があるのでしょう。
似たものが隣のお土産店にあると言いますが、これは別物であります。加えるに、夕食のステーキです。これまた拘りの絶品で昼に出てくるシチュウも話題多き絶品ですが、その上を行っているのです。写真を撮れば良かったのですが、沢渡で車を乗り換えるときに車中に忘れて来たと言う「ドジ」ぶり(愛用のオリンパス一眼18~180 レンズ付き。ニコン、キャノンでないのが自慢) ウソでは無いのでお試しあれ。

8月27日土曜 神奈川フィル定期演奏会に横浜みなとみらいホールに行ってきました。演奏曲目が、ブラームス/ピアノ協奏曲1番、後ステージがシューマン/交響曲4番の2曲で、指揮が小泉和裕、ピアノ独奏が若林 顕、そして神奈川フィルのコンサートマスターが石田泰尚でした。シューマン/交響曲第4番ではバイオリンソロが入り、ソロコンサートマスターの石田さん活躍でありました。
毎度のことながら定期演奏会は、あてがい扶持で希望選曲による鑑賞で無いところがミソであります。ブラームスの曲と言いシューマンの曲と言い、それぞれが、作曲家自身が長い年月を費やして、当初に思いめぐらした形ではないものに仕上がったところが共通しており、生みの苦しみの結果生まれた曲であるところが共通しています。私は、この2曲ともLPで所持していますが、普段積極的に聴くことは無く、時間に余裕のある時にじっくりと聞きたいと思いつつ過ごしてきた曲であり、生演奏を聴く機会に遭遇して、やはり素晴らしい曲と思った次第です。特にシューマンは癒される良い曲であり、小泉和裕と神奈川フィルの演奏にはスリリングな瞬間を何度も感じてしまいました。
ピアニストの若林 顕は、CD の発売もあり国際的に活躍している人ですが、今まで注目していなかった人です。この機会に聞きこんでみたいと思いCDを買ってみました。これも定期演奏会の出会いで有りましょう。
当日は、土曜日で横浜みなとみらい地区は混雑の極み、安価な市営駐車場から先に一杯になるのが常であります、仕方なく、高価なホテル駐車場にパーキングで、癒し環境に少し傷が付きました。

最後にオーディオの話を1つします。工業商品であるオーディオ機器ですから、優れた技術の投入によって、良い音の商品が出来ると一般的に考えられますが、確かにそのような側面もあります。しかし、毎度言うように音楽と言う芸術を表現する道具ですから。売る立場で言う「良い音です」という決定的な表現は、機器を選ぶ側としてこれは大変危険な表現で要注意なのです。
プロの楽器奏者や歌手の方々に、オーディオ機器に興味の無い人が多いのですが、ご自分の演奏についての録音には皆さん大きな関心を示します。それでも使用されている機器は、良いものとは言えないものを用いて居られるケースが多いのです。プロの音楽家にとって、オーディオ機器は重要なツールではないということのようで。その訳は、「生」音を自分の頭の中で創造し作ってしまうからのようです。
我々音楽愛好家は、自分の部屋でコンサートホールと同じ感動を得たいと思い、機器にこだわり、満足できずに深みに嵌るわけです。高価な機器も所詮は人間のなせる業であり、「生音楽」と同じものなど再生出来る筈はないのですが。それにも関わらず、「これは新しい技術を使った機器だ」と信頼する人が尤もらしく言うとそれがイコール良い音と思われがちで、世間を罷り通るのが良く有り勝ちなオーディオ機器の評価です。
音楽表現に優れた性能を持たせることが、オーディオ機器に重要でありそれ以外には無いと言っても言い過ぎではないでしょう。その音楽表現は、人によって違うのですが、我々開発に携わる技術者は、普段から数多くの機器と出会う機会に恵まれております。貯金が溜まって、オーディオ機器でも購入したいと思う人とは、「良い音」を聞き分ける基準が大きく異なります。
それでは、如何すれば良いのか、カタログの検証や雑誌の評論なども参考にしつつ、自ら比較試聴する事が大切で、一見よさそうな話や、見かけ、信頼できると思う人の言う話などに左右されない事です。それには、比較試聴を繰り返すことに尽きるのです。「有名メーカーだから」などの情報はダメです。「自分の感性で選ぶ」の一点で、しぶとく自ら比較試聴を繰り返すのが機器選びの必須手段です。

鈴木信行 :すずき のぶゆき

昭和45年勤務先のアイワ株式会社をスピンアウトして独立。

磁気記録に関る計測機器の製造販売の事業を開始し、その後カーエレクトロニクスの受託設計の事業を始める。

何れの事業も順調に発展したが、会長の永年の思いであった、ハイエンドオーディオの自社ブランドを立ち上げ、現在はカーエレクトロニクスの事業を主とし、協同電子エンジニアリング(株)として運営している。

現在、協同電子エンジニアリング(株)の取締役会長として、趣味のオーディオを健全に発展させたいと真摯に研究し、開発に勤めている。

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