Phasemation フェーズメーション

colums会長のコラム

会長のコラム 106

9月冒頭に中国旅行でした。その旅行記を105号に記したために104号に続いて2回続きの旅行記となってしまいました。中国からの帰国後も暑い日が続き、台風被害のおまけまで付いた9月でありました。そして、大物キャストのキャンセル続きで、ぼろぼろになりかけたボローニア歌劇場の日本公演も予定通りに終了の運びとなりました。
この時期は、例年ですと気候が良くなり芸術の秋とか云って、音楽祭ラッシュとなります。私も、オペラ公演や演奏会など例年以上に目白押しの9月でありました。加えてゴルフやパーティーの企画も多く、始めから過密スケジュールを組まざるを得ず、久し振りの体力勝負に挑んでしまいました。満腹状態の9月音楽ライフに加えて、年のせいもあると思いますが、もともと気管支炎と胃腸障害の気があるところに、それを併発してしまい、大変な月でもありました。
一方、2ヶ月ぶりの神奈川フィル定期演奏会は、盛り沢山な企画のコンサートで、意欲的な演奏会でしたが、紙面も大きくなるので、リポートは省略させて頂きます。

1.ボローニア歌劇場
 1-1.ビゼー/オペラ カルメン
 1-2.ベッリーニ/オペラ 清教徒
 1-3.ヴェルディー/オペラ エルナーニ
2.バイエルン国立オペラ劇場
 2-1ドニゼッティ/オペラ ロベルト・デヴェリュー
 2-2.ワグナー/ローエングリーン
3.秋刀魚パーティー
4.拙宅のチャンネル アンプ システム

1.ボローニア歌劇場
今回の日本公演では、ビゼー/カルメン、ベッリーニ/清教徒、ヴェルディー/エルニーナ の3演目が予定されていました。そして、出演者も豪華なキャストが予定されており、現在望みうる最高の歌手陣に期待していました。
しかし、期待されたキャストの大所が次々とキャンセルとなり、公演が成り立つのかとの思う情況に至るわけですが、オペラ公演に於けるキャスト変更はつき物とは云え、今回の変更は死者まで出てのキャンセルでしたから、ただ事では無かったようです。

1-1.ビゼー/オペラ カルメン
この公演は、主役が全てキャンセルで入替えとなりました。特にドン・ホセ役のヨナス・カウフマンのキャンセルはガッカリでした。それに、カルメン役、ミカエラ役も入替えで、これだけ主役が入れ替わるのも極々珍しいケースです。
しかし公演は、流石ボローニャ歌劇場であります。演出、舞台、オーケストラの出来栄えは言う事なし。カウフマンは聞けませんでしたが、何か肩に力が入っている日本のオーケストラ演奏や舞台進行とは違い、極ごく自然体と言うか余裕と言うか、見慣れているオペラ/カルメンでしたが、何か新鮮な面白さを感じました。

1-2.ベッリーニ/オペラ 清教徒
公演日が9/21日、上野の文化会館でした。丁度台風が東京を通過した日で大変な思いをしました。当日の観客は会場まで来る事が出来ずに、高額チケットを無駄にした人が多かったようです。正確な来場者は解りませんが、私の感では6割ぐらいの観客数ではなかったかと思います。私も、家内を横浜線の十日市場駅で拾う事に成っていましたが、その横浜線が運転見合わせになってしまい、家内を拾う事が出来ず私一人で行くしかありませんでした。途中、風と雨で見通しが悪く運転していても怖い思いで、苦労しつつやっとの思いで時間までに辿り着くことができました。しかし、主催者は観客の出足が悪いので開演を30分遅らせるとの事。急いで駆けつけた俺はとの思いが湧きます、お陰で帰り時間が更に遅くなります。
さて、当日の公演であります。この公演も呼び物の主役 ファン・ディゴ・フロレスがキャンセルとなります。バリトンのアルベルト・ガザーレもキャンセルですが、やはり、今、人気№1のフローレスのキャンセルは打撃でありました。
このベッリーニ/オペラ 清教徒は、ベルカントオペラの真骨頂でありまして、優れた歌手による公演が絶対条件であります。今回の公演では、その一翼を担うプリマドンナのデジレ・ランカトーレが健在であった事(キャンセルなしの本命キャスト)が救いであります。そして、フローレスの代役セルソ・アルベロが、その重責を果たした事にあります。
嵐のなかでの公演は終わってみてホッとするかたわら、家内のチケット代5.4万円は悔しく、何か疲労感が残るものでした。
後日、そのチケット代金を返金するとの通知が有ったが、そのとき既にチケットは始末してしまった後で、ダブルでの悔しさはこれまたたまらないのでありました。

1-3.ヴェルディー/オペラ エルナーニ
ボローニャ歌劇場日本公演の最後の公演となりますエルナーニは、9/25日曜のマチネで午後3時開演でした。上野文化会館でのマチネと言うのは珍しくなく、過去に何度も経験しております。しかし、この日は上野近辺の観光客がものすごい数でありまして、駐車場が全て満杯で開演時間まで駐車出来るのか心配になり、家内を先に降ろして私は観劇出来ない事を覚悟しました。しかし、まあ幸いにして何とか間に合いましたが、こんな経験は初めてでした。
この公演も主役キャストのキャンセルでした。なんと、その主役キャストのサルバトーレ・リチートラは、交通事故で亡くなったとのことであります。このリチートラは、メトロポリタン歌劇場でドミンゴの代役を務めた後、たちまちブレイクして、今では世界的名テノール歌手のバリバリの旬の現役でありました。私は、彼の歌をCDで聴いている以外には生演奏を聴く機会が無く、今回が初めてでありまして、この日本公演中で最大の期待する歌手でありました。それが、キャンセルどころか彼の声を2度と聴くことが出来ないと言う事であり、言葉にならない無念の気持ちです。

主役キャストのキャンセル続きでぼろぼろになりかけたイタリア名門歌劇場の日本公演も何とかその面目を保って終わる事は、イタリア贔屓の私にとって大変嬉しいことであります。聴きなれた文化会館で観劇する本場オペラ公演に比べて、時差に悩まされながらの現地ボローニアでの鑑賞、この違いなども体験出来ました。そして、忙しい思いとキャンセルの悔しさを味わいつつも、有意義な時間を過しました。

2.バイエルン国立オペラ劇場
今回の日本公演は、ドニゼッティー/ロベルト・デベェリュー、ワグナー/ローエングリン、R・シュトラウス/ナクソス島のアリアドネ、の3公演であります。私は、9/23日の本公演初日となるロベルト・デベェリューニ、そして29日のローエングリンに行ってきました。最後の公演となるナクソス島のアリアドネは、10/8土曜の公演になりまして、この公演は10月のコラムになります。

2-1.ドニゼッティ/オペラ ロベルト・デヴェリュー
9/23秋分の日、横浜県民ホール3時からのマチネでした。やはり、主役キャストのロベルト・デベェリュー役ホセ・ブロスがキャンセルとなりました。しかし、このオペラはソプラノのエリザベッタ役であるエディタ・グルベローヴァが健在であれば、言う事なしであります。そのグルベローヴァは相変わらずの健在ぶりでありました。嘗てのような声の潤いに少し欠けますが、これは仕方無いでしよう。やはり、目の前でグルベローヴァが謳っていると言うことが、往年の名歌手時代を知る者の喜びでもあります。
演出は、現代風になっています。時代背景から「公爵」、「総督」、「王冠」などと言う言葉が頻繁に出てきます。なのに、舞台は現代でありコスチュームも当然現代でありまして、そこに王冠が出てきても違和感があります。演出家は、この違和感をいかに中和するかに注力しているような気がするのですが、もし、そうだとすると本末転倒もよいところで、演出家のための公演では納得行かないと言うものであります。
ここ横浜県民ホールでのオペラ公演は、本当に良い音と思います。前にも書きましたがオーケストラが舞台に上がると、どうしようも無い音なのですが、オーケストラピットに入ったオケの音は実に素晴らしいです。そして、オーケストラ、合唱団、ともにバイエルン国立歌劇場の専属であります。何が違うのか一言で言い表せませんが、素晴らしい歌手陣とで創り出す舞台は素晴らしいものでありました。

2-2.ワグナー/ローエングリーン
9/28金曜 NHKホールにて午後4時開演で行ってきました。午後4時の開演で終演が9時ちょっと前ですから、休憩を入れて5時間の拘束であります。この間に35分の休憩が2回あり、一番永い幕が1時間20分ですから、年寄りのトイレ時間の限界ギリギリと言うところでしょう。開演時間と云い終演時間と云い何とも中途半端でありまして、オペラ鑑賞気分に浸った後の優雅な食事時間は期待出来ません。当日、私は近くのホテルに宿泊して多少なりとも優雅な時間の確保をと考えての観劇でありました。
この公演も主役のヨナス・カウフマンがキャンセルでヨハン・ボータに変更になっています。キャンゼルになったテノール歌手カウフマンは今人気№1の旬の歌手です。私は、彼の生演奏も始めて聴くと言うものでした。変わったセカンドキャストのヨハン・ボータも決して悪い歌手では有りませんで、ワグナー謳いとして定評があります。しかし、カウフマンだからと言う本公演の目玉もあるわけで、このキャンセルは、まことに持って残念でした。そして、その代役のボータですが、兎に角太っていましてローエングリンの騎士の理想像とはかけ離れています。テノール歌手としての実力は兎も角、この容姿ではローエングリン役は不適格と云わざるを得ないでしょう。
さて公演の内容です。演出は、現代風でありまして、国王とか、騎士とか、白鳥にされた弟とか、メルヘンチックなストーリーに全くイメージ出来ないこのコスチュームは「なにを考えているのだ」と云いたくなります。最近のドイツ公演のワグナーものは、ねずみが出て来る様で、それよりは増しと思いましたがこの手の演出が多く、これが極めて評判が悪いのはファンの中で定評であります。マンネリを警戒しての事ならお門違いと言うものでありましょう。特に私のようなマニアになりきれないファンが圧倒的に多い現状を考えて貰いたいものです。芸術表現の進化とか振興と言う事でしたら、我々は楽しむために高い料金を払っているのです、我々にそんなミッションを課すなどは、お門違いと言うものではないでしょうか。
しかし、流石バイエルン国立劇場です。ケント・ナガノの指揮によるワグナーの演奏は実に素晴らしいし、その歌手陣も凄い、専属合唱団なども何が良いのかと聞かれても即答出来ませんが、兎に角、進行がスムーズで肩に力みを感じない、見ていて実に気持ちが良いわけです。ワグナーのメロディーの美しさは、そのストーリーと相俟って、聴くものを夢の境地に、メルヘンの世界に導きます。

これで、ボローニアの3演目とバイエルンの3演目中の2演目が9月中に終了となります。
「あー、忙しかった」の9月音楽ライフでした。

3.秋刀魚パーティー
当社フェーズメーションの広報活動をお願いしているオフィス・アミーチの西松社長が毎年自分の事務所の屋上で秋刀魚を焼いて食べるパーティーを行っています。年々、その規模が大きくなって、今年などはホスト役がホストしきれなくなって、招かれた客が見るに見かねて手伝うと言う極めてルーズで気楽なパーティーでありますが、毎年業界の実力者や時間の空いたタレントなどが集って思わぬ出会いがあり、大いに盛り上がるのが定例であります。今年のパーティーもその思わぬ出会いに、話が弾んでいましたが詳細をお話すると個人情報やプライベートの侵害などにふれますからご勘弁願うこととします。
秋刀魚は、女川町から直接取り寄せての新鮮そのものを備長炭で焼くシンプルなものであり、秋刀魚はこの焼き方次第で味に大きな違いが出るから不思議です。この秋刀魚をロースターなどで焼くと全く美味しくない、備長炭で焼くのがベストであります。しかし、この方法で秋刀魚を焼くとなると、都会では無理でしょう。ご近所からクレームが来ること請け合いです。
だから、この味を経験すると何をさて於いても食べたい気がはやりまして、毎年のパーティーを楽しみにしている人たちが集まります。

4.拙宅のチャンネル アンプ システム
「忙しいから、出来ない」と言うのはプロの言う事では有りません。私もプロのはしくれとして、この禁句を言うことは出来ませんが、本件は何分私の趣味でありまして、プロとしての仕事では有りません。気の向くままに、プロの縛りが無いと言うのは実に楽しく、ストレス解消に繋がります。結果として、皆さんに気を持たせる事になるかも知れませんが、それはそれとし、面白さの側面とお考え下さり、ご理解を期待します。
このシステムに付いては、著名なオーディオ評論家先生も面白がって、オフとして助言頂いておりますが、その結果色々なことが解ってきました。
先ず、ゴトーのツイターですが、単品で聴いたところ何も問題無いのですが、どうも臭いと言う事で、ゴトーさんに調べて貰いましたら経時変化によるボイスコイルのレヤーショートで感度の減少と言う事でした。次に、WE-555についてですが某業者にて一度修理完了しているので全く疑っていませんでしたが、音場特性の測定中に特性がおかしいと言う事で、エール音響の遠藤さんにみてもらいました。遠藤さんとは昔からの知り合いでしたが、遠藤さんの商品でも無いものの修理を頼むのも変だし、出来ないかも知れないと、半信半疑で話してみると快く引き受けてくれました。考えてみると、遠藤さんは昔WEと縁浅からぬYLの社員でした。出来て当たり前と言う事に気が付かなかったわけで、怪しげな業者に修理を頼んだことに反省しきりと言う事でありました。この遠藤さんは、貴重な人材です、今は仙人のような風貌でホーンスピーカーとドライバの製作に専念し、私よりも数年若いので、頼もしい存在であります。これで、私のシステムに取り付けてみますと素晴らしい音に改善されていました。しかし、私の場合は、これで終了と言うわけには行きません、これからが大変です。ウーファー、ミッド、ツイターの3チャネル相互の位相を揃えなければ成りません。これをやらないと音場定位が実現しません。一般には、振動版の位置を揃えれば良いと言われていますが、WE-22Aホーンはカールしているので振動版の位置は合わせても全く意味が有りません。方法として、インパルス再生音をマイクで拾って、夫々の時間軸をメモリースコープに記録してやる方法、デジタルディレーを使って位置調整をする方法などがありますが、このカールホーンはどういう訳か、測定データーとし判断できる鮮明な計測結果が出ないのです。そこで、思いつくのがデジタルイコライザーなるものを使う事なのですが、A/D D/Aを繰り返す事にストレスを感じるわけで、使用に躊躇していましたが考えてみると、これは未知の世界を明らかにしてくれる神器ではないかと考えた訳です。
これ以後は、次号にてお話し出来る様に努力すると言うことで、本件ひとまず休憩と致します。

鈴木信行 :すずき のぶゆき

昭和45年勤務先のアイワ株式会社をスピンアウトして独立。

磁気記録に関る計測機器の製造販売の事業を開始し、その後カーエレクトロニクスの受託設計の事業を始める。

何れの事業も順調に発展したが、会長の永年の思いであった、ハイエンドオーディオの自社ブランドを立ち上げ、現在はカーエレクトロニクスの事業を主とし、協同電子エンジニアリング(株)として運営している。

現在、協同電子エンジニアリング(株)の取締役会長として、趣味のオーディオを健全に発展させたいと真摯に研究し、開発に勤めている。

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