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colums会長のコラム

会長のコラム 107

10月を書くためのコラム107のアップが遅れてしまいまいた。家族に健康問題が発生したもので、私も人並みの生身なものでお許し下さい。
9月に来日した海外歌劇場公演も10月初旬まで続き、忙しさと興奮の尾を引く結果でありました。10月は、新国立劇場の新シーズンオープニングの月でありまして、10月2日が、新国立劇場の「トロバトーレ」、9日が「サロメ」と続きます。その間に8日がバイエルン国立歌劇場の最後の公演であるRシュトラウス「ナクソス島のアリアドネ」が文化会館にて開演され、そして、みなとみらいホールの神奈川フィルの定期公演が10月7日と言う具合に月の初めから忙しさが続く結果になってしまいました。その上、懸案の拙宅チャンネルアンプ方式のスピーカーシステムへの取り組みですが、前から関係業者の方にお願いしていた関係も有って、スケジュールの空きを見てご来宅頂き測定やらデモの実施などで、家内を巻き込んでの騒動でありました。この忙しさに、自分自身で何をやっているのかと反省仕切りの月でありました。

10月のサマリー
1.新国立劇場ヴェルディー/オペラ「トラバトーレ」、R・シュトラウス・オペラ「サロメ」
1-1.トラバトーレ
1-2.サロメ
2.バイエルン国立歌劇場公演 R・シュトラウス/オペラ「ナクソス島のアリアドネ」
3.神奈川フィル定期公演
4.ベルリン・バロック・ゾリステン with樫本大進 コンサート
5.拙宅におけるリアルサウンド社の音響パワーイコライザーのデモ、評論家柴崎功氏と共に立ち会う。

1-1.新国立劇場 ヴェルディー/オペラ「トラバトーレ」
オペラ作曲家として一番活躍したのは誰だろう、人によって異論は有るだろうが私はヴェルディーをあげたい。そのなかでも一番優れた曲は何だろう、それはこの「トラバトーレ」と、迷うことなくあげる事に私は躊躇しません。それは、多くのオペラファンにとってと言うよりも、特にヴェルディーファンにとって異論は無いことでしょう。
9月に海外オペラ劇場の公演を観た後だけに、新国立劇場の東京フィルの演奏に何かギコチ無さを感じたのですが、演奏が進むにつれてヴェルディーの音楽力に引き込まれ、その演奏も時間と共に白熱を帯びてくるのを感じ、舞台に集中する様になります。新国立劇場のシーズン初公演で出演者も肩に力が入っていたのかも知れません。舞台が進むにつれて演奏が良くなるから不思議です。
このオペラの筋書きは、少しグロテスクかも知れ無いが良く味わってみると、その音楽があまりにも優れているので、余計な事は考えずに済むと言うものであります。音楽評論家の加藤浩子さんは、音楽力と言っててられますが、その表現通りでありまして、随所に現れる名旋律は我々聴衆を虜にします。
この公演は、10/8日曜の3時からのマチネであり、久し振りの比較的のんびりしたオペラ観劇日和でありました。

1-2.新国立劇場 R・シュトラウス/オペラ「サロメ」
10月9日、日曜日午後3時開演の新国立劇場でのマチネでありました。このオペラの公演時間は比較的短いのですが、内容が濃いと言うか兎に角凝縮されており、緊張の連続なのです。それだけに良い公演は難しいと思います。
今回の新国立劇場の公演は、本当に素晴らしかった。世界的名演と言っても良いのではないかと思います。プリマドンナのソプラノ歌手の知名度は私は存知ませんでしたが、素晴らしい歌手でありまして、つくづく、この世界にも人材が豊富であることを実感し、新国立劇場の実力に脱帽でありました。何しろ、ソプラノ歌手でありながら容姿の素晴らしさ、バレーの上手さ、そして踊りの見せ場では裸踊りまでやると言う、昔の名歌手と謂われる人達には考えられない役処をこなすこのプロ根性は、改めてオペラ「サロメ」の価値を高めるものでありました。
新国立劇場万歳、これからも宜しくと言いたい。少し寄付でもしますか。

2.バイエルン国立歌劇場公演 R・シュトラウス/オペラ「ナクソス島のアリアドネ」
今回の公演は、例によって現代風の演出でありまして、どうも納得のいかない公演でありました。何か、哲学を押し売りされているような感じ、面白くないと言うのが正直なところでありまして、以前に観劇したときのイメージとは全く別ものとの感であります。
R・シュトラウスの美しいメロディーに変わりは無いのですが、字幕を追っても面白くないオペラ観劇、初めての経験でした。

3.神奈川フィル定期公演
10月7日金曜、横浜みなとみらいホールにてPM7:00開演で行ってきました。当日の演目は、モーツアルト交響曲29番とレクイエムで、指揮は常任の金聖響でした。
モーツアルト/レクイエムはなかなかの豪華メンバーでして、ソプラノが 森 麻季、メゾ・ソプラノが 林 美智子 と言う日本人歌手の人気№1の歌手達で、素晴らしい演奏でした。森 麻季もプリマドンナ・オペラではあたりはずれ、いろいろありますが、宗教曲やバロックを歌うとなかなか良い歌手と思います。そして、合唱が神奈川フィル合唱団でしたが、オーケストラやソリストに比べてやや位負けと言うところでしょう。神奈川フィル当日のソロ・コンサートマスターは、石田康尚 でした。
神奈川フィルも財政難で大変なようですが、これだけ素晴らしい定期演奏会を催す事が出来ると言うのは、それなりに大変な事と思うのですが、永く続けられることを願ってやまない次第であります。

4.ベルリン・バロック・ゾリステン with樫本大進 コンサート
10月26日水曜、横浜みなとみらいホールにてPM7:00より開催され、行ってきました。ウイークデーの公演と言うことで、仕事を持った方々にはPM7:00時以前の早い開演は無理と思いますが、この時間の開演ですとコンサート終演後の食事もラストオーダーの時間が気になって、折角の良い気分も壊れてしまうのは残念です。
私が、樫本大進について、多くを語る必要は有りませんが、何と云っても1979年生まれの若さにして、2010年12月からベルリンフィルのコンサートマスターに就任したことは大変な事であります。氏がコンサートマスターに就任してからのコンサートを聴くのは初めてであり、しかも、ベルリン・バロック・ソリステンとの共演ですから見逃すわけには行きません。当日の演目もバッハを中心とした極めてポピュラーなものであり、彼がこの分野での録音実績が有りませんので、余計に興味をそそられました。曲がポピュラーなだけに、大物ソリストが綺羅星の如くにCDを出している分野です。樫本の演奏は、何と云っても音がとても綺麗である事、技術が飛びぬけて優れていること、そして、その感性が素晴らしい事であります。私が、このジャンルで最近良く聴くCDとして、レイチェル・ボッチャー、ヒラリー・ハーン、カルミニョーラなどが奏者するCDがあります。これ等のCDは人気を博しておりますが、樫本もまたこのジャンルで別の世界を作り出しておりました。もし、CDが発売されるとすれば必ずや相当の評価が出てくるものと期待するものであります。

5.拙宅におけるリアルサウンド社の音響パワーイコライザーのデモ、
評論家柴崎功氏と共に立ち会う。
拙宅の3チャンネル スピーカーシステムの縦チャンネル間の位相を合わせる作業が懸案でありましたが、今回はその作業のためにデジタルイコライザーを使って、レベル、位相の調整を行います。使用するデジタルイコライザーが音響パワー測定と言う新しい方式のために、評論家の柴崎功氏に立ち会ってもらったわけです。
デジタルイコライザーは国産の数社のメーカーから発売されていますが、いずれも、伝統的なワンポイント定位置に於ける音場測定方式でありまして、過去この方式では、上手く行かなかったことをさんざん経験しています。それは、部屋の中で反射や定在波が混在しているためで、測定位置が少しでも変わると測定値が変わってしまい、理論通りに事は運ばないことにありました。
そこで、着目したのが、今回実験したリトアニアのメーカーであります、リアルサウンド社の音響パワーイコライザーであります。これは、スピーカーから発する音を音圧として捕らえるのではなく、音響パワーとして捕らえる計測方法です。
音響パワーとして捕らえるために、測定マイクロホンを手に持ってスピーカーの前1m近辺りをペンキを塗るようにマイクを移動しつつ測定します。その間スピーカーからはワンショットパルスが連続して発せられます。
ワンショットパルスには、全ての周波数成分と位相情報が含まれており、理想的な測定用信号であることは以前より理論的に証明されています。その信号をスピーカーの前面部分からデーターとして採り込んで、信号処理するのですから、この測定方は理想的な測定方式と言えます。その測定した情報にもとずいて、システムの周波数特性を作図することが出来ます。そして、本器はそのデーターを元に自動的にアンプゲインを補正して、リスナーが希望する特性に補正し、位相を揃えます。
この自動的に補正する機能は、国産メーカーのものも備えていますが、マイクロホンによるデーター採取の方法が大きく違い、ここがリアルサウンド社の特徴であります。
さて、その結果出てくる音はどうかです。このイコライザーを通すことによって、AD、DAをくり返すわけですから、デジタルくさい音になってしまうのですが、流石に音場定位はは確保され、私が求めている奥行き間のあるステレオ再生に近づいています。しかし、6dB/octフィルターを用いたチャンネルデバイダーと比較すると音の鮮度は明らかに失われています。この失われた鮮度と音場定位のどちらをとるかの判断は難しいのですが、このデジタルイコライザーを通した音をリファレンスにして、アナログ式6dB/octのチャンネルデバイダーの音場定位を得ることは出来ないか、と考えが及ぶわけです。次なる課題が浮かび上がると言うものです。

鈴木信行 :すずき のぶゆき

昭和45年勤務先のアイワ株式会社をスピンアウトして独立。

磁気記録に関る計測機器の製造販売の事業を開始し、その後カーエレクトロニクスの受託設計の事業を始める。

何れの事業も順調に発展したが、会長の永年の思いであった、ハイエンドオーディオの自社ブランドを立ち上げ、現在はカーエレクトロニクスの事業を主とし、協同電子エンジニアリング(株)として運営している。

現在、協同電子エンジニアリング(株)の取締役会長として、趣味のオーディオを健全に発展させたいと真摯に研究し、開発に勤めている。

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