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colums会長のコラム

会長のコラム 079

1. ミラノスカラ座 オペラ「アイーダ」ゲネプロ NHKホール
2. ミラノスカラ座 オペラ「ドン・カルロ」ゲネプロ 東京文化会館
3. ミラノスカラ座 オペラ「アイーダ」公演 NHKホール
4. ミラノスカラ座 オペラ「ドン・カルロ」公演 東京文化会館
5. ミラノスカラ座 特別演奏会 NHKホール
6. バルバラ・フリットリ ソプラノリサイタル オペラシティーホール
7. 徳永二男 バイオリンリサイタル 横浜みなとみらいホール

9月は、ミラノスカラ座の日本公演の観劇で、コンサートスケジュールが目いっぱい入ってしまい、「コラム79」の紙面もコンサート情報で一杯になってしまいました。
これは、私が自分で企画したスケジュールには違い無いのですが、コンサートスケジュールは私の自由になりませんで、仕方ないと言う事になります。ミラノスカラ座の来日公演は、全を9月に消化するスケジュールで、ヴェルディーのオペラ「アイーダ」、「ドン・カルロ」の2演目と夫々のゲネプロがあってそれで4演目となり、その他にスカラ座オーケストラと合唱団のコンサートそしてバルバラフリットのコンサートとスカラ座関係で6演目になります。この他には、徳永二男プロデュースのコンサートと神奈川フィルの定期演奏会が有りましたから、私には重いスケジュールの消化結果になってしまいました。特にミラノスカラ座関係の公演は全て都心のホールであるうえに、長時間ものですから余計に体に応えたのかも知れません。
公演の順として「アイーダ」からお話します。まず9/2のNHKホールでのゲネプロから始まります。そしてこの「アイーダ」の公演は全てNHKホールでありました。ゲネプロは全て本番と全く同じように進行する練習プログラムで、何も問題が無ければ本番を見るのと何ら違いはないのですが、歌手が本気で歌わないと言う事が時々あります。この時はアイーダ役のソプラノ ヴィオレッタ・ウルマーナが殆ど声を出していませんでした。これには色々理由はあるのでしょうが、同じ舞台上で相手役のテノールや合唱団が本気で歌っているのに、と思うとよほど偉い歌手か体調の保全とか理由はあるにせよ失礼ではないかと思ってしまいます。
指揮がバレンボイムで、普段は正装の姿で指揮しているのにここでは、ランニング姿でありましてあの偉い先生のイメージは有りません。当日は結構やり直しが多く、それも見ているとそれなりに面白く興味津々であります。さて1週間おいて本公演を観るのですが、この本公演、オケと舞台のアンサンブルがシックリしない上、ソプラノ歌手のウルマーナがピリとしません。ゲネプロの延長のような具合でどうなるか心配しましたが、それも間もなく調子が出てきましたてやがて、本領発揮流石と思わせる舞台として進行します。
どうも、このNHKホールは毎度の事ながら音が良くないです、私の席は11列のど真ん中ですから常識的には最高の席のはずです。音が散ってしまい乾いた音になってしまいます。この公演の後1日置いて東京文化会館での同じスカラによる「ドン・カルロ」を聴くのですが、ここでは、これが同じオーケストラかと思うぐらいに違うのですから、このホールの音の悪さは異常です。公演の出だしの悪さも出演者達の戸惑いから来るのではないでしょうか。そうだとすると「何とかしてくれー」と言いたくなりますね。また、悪い事にオーケストラが音を出し始めてから、観客がぞろぞろと入って来るではありませんか。これにはびっくりですよ。公共放送の習慣として視聴者にサービスをモットーにしている普段の習慣なのでしょうか。
何故にNHKホールを使うのか。業界の識者曰く、このホールは観客が沢山入れるから、そして、オペラ「アイーダ」は舞台装置が豪華でカネが掛かるので、公演料を消化したいからと言うのですが、何となく納得です、寒い話ですね。NHKホールでの公演にはもう行きたくないが、だけど、行くしか術が無いのかも知れない。
次にオペラ「ドン・カルロ」です。この公演はゲネプロも本番も素晴らしかった。ゲネプロは修正も無く殆ど本番同様の進行でありましたから同じオペラを2度みる事になります。ゲネプロ開演の前に堀内修のプリトークが有りまして、彼流の面白い話を聞いて鑑賞に入るのですが、成る程、堀内先生のツボを得た面白い切り口での話しは参考になりました。
出口の無い陰鬱、過去のよき日に帰ることの出来ない、取り返しの付かない愚行の連続で、それをこの上ない芸術でこれでもかと言わんばかりに表現する、そのスカラ座オーケストラの凄さと言っていました。
この公演の呼び物は、何と言ってもバス歌手ルネ・パーペ(フイリッポ二世)、ソプラノ歌手のバルバラ・フリットリであります。そして、この二人が極めて好調であった事であります。全体の出来栄えから言うと、テノール歌手のラモン・バルガス(ドン・カルロ)の容姿が余りにもイメージに合わないのと彼の実力を発揮し切れていないことが惜しまれました。そして、オーケストラの演奏ですが、指揮者ダニエレ・ガッティーの意図からと思いますが、明るいイタリアの風光をイメージするような演奏は、深刻な情景描写と違和を感なくもありませんでしたが、オペラ公演でのパーフェクトと言うのはめったに有るものではなく、当日の高次元の演奏には大満足でありました。
次に、ミラノスカラ座オーケストラ・合唱団による特別演奏会であります。指揮がダニエレ・ガッティー演奏曲目がすべてヴェルディーであります。このダニエレ・ガッティーと言うひとは、ミラノ生まれの生粋のイタリア人で、スカラ座とは相性が良いのではないかと期待していました。
このコンサートもNHKホールでありました。そのためかどうか分かりませんが、当日も出だしが悪くどうなるのか心配する程でしたが、徐々に調子を上げて「ドン・カルロ」で演奏された合唱「喜びの日の夜が明けた」で、本領発揮でありまして音の悪さを忘れさせる見事な演奏を聞かせてくれました。休憩を挟んで後半のステージは、ヴェルディーのオペラ「ナブッコ」から世界一美しい合唱と言われる「行け、わが思いよ、金色の翼に乗って」からはじまります。いよいよ、スカラ座オーケストラと合唱団の本領発揮でこの辺りから益々調子が出てきます。この後、「アイーダ」からの合唱「エジプトの栄光」で幕となりますが、やっぱり来て良かったとの思いが募り、このNKHホールがナンダカンダと言われながらも存在する意義がこのあたりに有るのでしょう。
さて、ミラノスカラ座に関連するコンサートの最後として、バルバラ・フリットリ ソプラノ・リサイタルであります。このコンサートは東京オペラシティー コンサートホールで、バックを勤めるオーケストラがジュリアン・レイノルズの指揮による東京シティーフィルハーモニック管弦楽団でありました。この指揮者はロンドン生まれの若手中堅と言えますが、今、有名歌劇場で最も活躍している一人でしょう。そして、この東京シティー・フィルハーモニック管弦楽団ですが、近頃N響と神奈川フィルを主として聞いている私としては、大変新鮮な感触で聞き入りました、特色のある綺麗な弦の音が印象に残り、フリットの歌を盛り上げる働きを充分にこなしていましていました。
コンサートの第一部は、モーツアルトのレチタティーボを中心とした少し硬い曲が多く、彼女の芸を披露するものでありました。休憩の後の第2部は、お色直しも有ってお待ちかねオペラアリアに集中です。御馴染みの「アイーダ」から「勝ちて帰れ」、「ドン・カルロ」から「世の虚しさを知る神よ」などが続き最後に「道化師」からネッダのアリア「矢のように大空に放たれて飛ぶ」で幕となります。このコンサートは会場と言い、開演時間と言い、言う事なしの条件で、スカラ座最後のコンサートとしてリラックスさせてもらいました。
さて、来年はこのバルバラ・フリットが「ラ・ボーエム」で、そしてナタリー・デセイが「椿姫」を歌いに来日します。会場は東京文化会館と横浜の県民ホールの2箇所で、NHKホールの予定は有りません。
スカラ座関連の公演が終わって、9/19土曜は1.30開演とリラックス状態での徳永二男の「ストラディヴァリウスとガルネリ」と称するヴァイオリン リサイタルでありました。舞台にこの2台のヴァイオリンを置いて、徳永さんがレクチャーしながら弾き比べると言う贅沢なリサイタルでありました。前半は、ベートーベンの「クロイツェル」をメインとして比較的硬い曲を演奏し、休憩を挟んでサン・サーンス/序奏とロンド・カプリチオーソ最後にツィゴイネルワイゼンとポピュラーな曲の演奏でありましたが、この様なコンサートホールでのヴァイオリンの聴き比べは、私にとって大いに参考になりました。
徳永さんは、「ストラディヴァリウス」が好きで、「ガルネリ」は出番が少ないと言っていました。

鈴木信行 :すずき のぶゆき

昭和45年勤務先のアイワ株式会社をスピンアウトして独立。

磁気記録に関る計測機器の製造販売の事業を開始し、その後カーエレクトロニクスの受託設計の事業を始める。

何れの事業も順調に発展したが、会長の永年の思いであった、ハイエンドオーディオの自社ブランドを立ち上げ、現在はカーエレクトロニクスの事業を主とし、協同電子エンジニアリング(株)として運営している。

現在、協同電子エンジニアリング(株)の取締役会長として、趣味のオーディオを健全に発展させたいと真摯に研究し、開発に勤めている。

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