Phasemation フェーズメーション

colums会長のコラム

会長のコラム 112

チャンネルアンプの続き作業です。
コラム111にて3っの問題を想定しましたが、そのうち中音部のWE-22AのドライバーWE-555の左側を修理しました。こちら側のユニットは、オリジナルのまま動作していたので、修理に手を入れるのに何か抵抗を感じ、右側のみ修理した経過がありましたが、どうしても左右の音質差は気になり、今回の修理に至ったわけです。
この修理は正解でありました、音が見違えるようにすっきりしました。
そして、もう一つの気になる問題だった、ウーファーのアルテック416の特性で、200から300Hzの間に大きな谷がある事に付いてです。これは、アルテック416のエッジのビスコロイドが変質しているためとも考え、TAD-1601に変えてみました。しかし、F特は全く同じでありましてユニットに問題は無いと判断せざるを得ません。
どうも箱に問題があるのでは、300ℓの箱容積では38cmのユニットには大き過ぎです。だとすれば、この箱の処分と言う大きな問題が残りますから、もう少し検討することで先送りです。
残るもう一つの問題は、音場定位が今ひとつスッキしない点であります。
私のコラムを見て下さっていた、石井伸一郎さんがユニット間の位相合わせに良いソフトがあるから、今度、東京方面に行くとき私のシステムを見てあげるとの有難い電話を頂き、有難くお受けすることにしました。どうやら、この点の解決が私の装置の完成かと期待しているところです。
ところで、ウファーユニットのアルテック416をTAD-1601aに変えてみて、特性は全く同じ様に谷が現れるのですが、この問題解決の前に、音質的にどう変わったか興味深い結果があります。やはり、アルテック416の音は素晴らしいです、ユニットの出来栄えはTADの方が遥かに質感的に優れています。しかし、出てくる音は、416が優れていると言うしかないでしょう、好き嫌いを抜きにして416に軍配をあげざるを得ません。

今月のサマリー
1. 新国立劇場 ワグナー/オペラ「さまよえるオランダ人」
2. 神奈川フィル定期演奏会 ベートーベン交響曲5番「運命」
3. 高輪会オペラコンサート

1.新国立劇場 ワグナー/オペラ「さまよえるオランダ人」
3月8日PM6:30開演で、指揮トマーシュ・ネトピル、オーケストラが東京交響楽団、コンサート・マスターが高木和弘で行ってきました。
例によって、主役3人は外国人で、バスがディオゲネス・ランデス、この人はバイロイトの常連出演者ですが、ミラノスカラ座などにも出演している実力派中堅で新国立劇場初登場ながら、当日は素晴らしい歌唱を聞かせてくれました。
ソプラノがジェニファー・ウィルソン、アメリカ・バージニア州生まれながら米国、ヨーロッパで活躍しており新国立劇場初登場です。フィレンツェ歌劇場、バイエルン歌劇場などでタイトロールを演じており、歌唱は流石と言うものでありました。
それにしても、毎度の事ながらこの素晴らしい舞台と出演者でこの料金は安い、音楽に興味のある人であれば、騙されたと思って足を運んで貰いたいと思うのであります。新国立劇場は税金で運営する劇場です、もっと日本人歌手を登場させろと言う声が大きいとの事ですが、何と言っても容姿と歌唱は絶対に適いません。もし、そのような事になれば、例え料金が安くなっても私は行きませんね。

2.神奈川フィル定期演奏会
3月10日土曜PM2:00開演のマチネでありました。指揮が金聖響、コンサート・マスターが石田康尚、曲がベートーベン序曲「コリオラン」、交響曲第8番、交響曲第5番「運命」でした。
「運命」と言う曲は、クラシック音楽入門時の中学生当時から聴いており、些か手垢が付いたと言えば生意気ですが、そんな思いでいたわけです。しかし、思い返してみるとこの曲を「生」で聴いた事が無かったと言うのも不謹慎この上無い事なので、いざ「生演奏」を聞いて思いを新たにしたと言うお粗末な話であります。
例えば、今までメロディーの流れとして聞いていたものが、第一ホルン第二ホルンの分担などが理解出来ると曲のニュアンスまでが、「こう言う事だったのか」と理解出来ます、すると新たなる感動が沸いてきて「運命」と言う曲、そしてベートーベンの偉大さを再認識したりして、「生」音楽の素晴らしさを改めて認識した次第です。
此れにて、神奈川フィルの今シーズンは終わる事になります。そして、4月からは新しいシーズンとなる訳で、私の座席も少し良い席へと移動してもらえたり、演奏曲目のリストなどが発表されて、恥ずかしながら、新学期を迎える学生のようなウキウキした気分であります。

3.高輪会オペラコンサート
3月17日PM12:00からグランドプリンスホテル新高輪ホテル内のイタリア料理イルレオーネにて開催され、出し物は「ラメンモールのルチア」で行ってきました。
出演者は、ソプラノの斉田正子、テノールの加藤康之そしてピアノが今回は河原忠之さんから仲田淳也さんに換わりました。
ソプラノの斉田正子と言えば日本のオペラ界の重鎮でもありますし、今は大学の教授を務めておられ現役ソプラノ歌手と言うイメージは有りませんでしたが、斉田さんがこのドラマティクオペラの最右翼的存在のルチアを歌われると言うことで、期待と不安が入り混じった複雑な気持ちでした。
当日の斉田さんは、よくも頑張って歌い通したと思います、ソプラノ歌手の宿命であります声の衰えは隠しようも無く、主催者への義理とも思える出演で、ある種の同情を感じ得ませんでした。
テノールの加藤康之、この人に付いては全く知り得ません。歌唱力は、修行がたりないとしか言いようが有りません。地声でテノールの音域をこなす力量、オペラ/ルチアの主要部を暗譜で歌い通す力量ですから、歌手としての才能はお持ちのようです、研鑽は積んでいるのでしょうが、聴くものにとってベルカントの味を聴かせてもらえなかったとの思いが残ります。
ピアノ伴奏は、永いこと河原忠之さんでした、ピアニストが変わってみると会場の雰囲気まで変わるから不思議です。今回の仲田淳也さんは、ロマンチックなタッチのピアニストで、斉田さんとのアンサンブルは見事でした。
さて、次回は6月30日でありまして、今ヨーロッパで活躍するテノールの水口聡さんの登場です。だしものが、ジョルダーノ/アンドレア・シェニエで今から大いに期待が膨らむと言うものであります。

鈴木信行 :すずき のぶゆき

昭和45年勤務先のアイワ株式会社をスピンアウトして独立。

磁気記録に関る計測機器の製造販売の事業を開始し、その後カーエレクトロニクスの受託設計の事業を始める。

何れの事業も順調に発展したが、会長の永年の思いであった、ハイエンドオーディオの自社ブランドを立ち上げ、現在はカーエレクトロニクスの事業を主とし、協同電子エンジニアリング(株)として運営している。

現在、協同電子エンジニアリング(株)の取締役会長として、趣味のオーディオを健全に発展させたいと真摯に研究し、開発に勤めている。

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