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colums会長のコラム

会長のコラム 134

天候不順の今年も残りわずかとなりました。12月のコンサートは、神奈川フィルのベートーベン第九コンサート以外には有りませんでしたが、人並みに忙しかったうえに、家内が帯状疱疹で急な入院などが有って、ただ、忙しかったとの思いが残る12月でした。
また、12月の中旬には、友人のユニパルス吉本社長が、銀座に和食の店を開店したとの案内を頂き、是非一番乗りと思っていたのに、それも行けず仕舞に年も暮れようとしています。
毎年、神奈川フィルの第九演奏会が12月に行われます。例年ですと神奈川県民ホールでの公演でしたが、今年は「みなとみらい大ホール」にて行われ、事前の期待通りの素晴らしい演奏会でした。
毎度、言っている事ですが、県民ホールの舞台上でのオーケストラ演奏は、音が良くないと言うか、とにかく、私好みでないので、第九コンサートも足が重かったのですが、今年は期待に沿った立派なコンサートでした。
第三楽章の第二バイオリンから始まるメロディーを第一バイオリンが引き継いで行く、あのメロディーの弦の響きはみなとみらいホールならではの響きでした。そして、マンネリ化して聞く第四楽章の合唱を聞いていると今まで気が付かなかった音の存在に接して、新鮮な第四楽章に変身した事を感じつつ、余韻の残るものでした。
鳴り止まない拍手の会場を後にして、いつもより少し早目の終演に何か豊かな余裕を感じつつ帰路につきました。

さて、「音」に付いての思いを少し語ってみたいと思います。神奈川フィルの音も日々進化しています。その変化は、指揮者や時々のメンバーによるアンサンブルによって変わります。我々ファンは、その揺れ動く変化を楽しみにしているのです。
その神奈川フィルも指揮者の影響を敏感に受けるオーケストラに進化しているとつくづく感じてしまうのです。この微妙な変化は、会場の影響なども受けて変化します。そして、その音の変化は音楽のニュアンスを理解しないと感じないものと私は理解しています。
機械による再生音、つまりオーディオの「音」は、一度決めると何時も同じ音です。しかし、機械の種類組み合わせにより、激しくかわります。部屋の環境も大きく影響します。この機械で音楽を聴いていると、機械による音の差などは如何でも良いと思ってしまう事もあるのですが、突然異種の機械の音を聞くと何か新鮮な音楽に接したような気がするのです。
つまり、言ってみると機械は音楽表現と言う道具であり、それがきわめて未熟であると言う事、或る特殊な場面で実にリアルな表現をしたり、モノによっては、その特殊な場面がたびたび有ったり、滅多にしかなかったりと言うこともあって、それが、全体として良い機械、良くない機械と言う事になると思うのです。
オーディオ雑誌などで、この機械の特徴などを評論していますが、これは、その人の感覚であって絶対値ではありません。私などは、機器の開発途上で、それらを聞き分けなければならないのですが、絶対値が無い訳ですから都度比較しながら、どのように改善されたかを聴き比べなければ判断できないのですが、以前に聞いたものを記憶して比較すると言うのは難しいです。
直前に聞かないと空気の様に消えてしまいます。オーディオ評論家などは、随分前に聞いた機器の音を覚えていて、「前のもと違うとか、良くなった」とかと言うことをいいますが、この人達はその道の専門家ですからそれが出来るのでしょう。とても私には真似の出来る事ではありません。
かくも、難しい「音」作りです。音楽に付いて「志」の無い技術者は次々と「同じ音」をつくり出してゆきます。如何でしょう、オーケストラも日々進化し努力しています。工業製品たるもの、それ以上に日々進化しないでも済むと言うのはあり得ません。
それが、ときとして、通用するのがオーディオ機器の業界と言う側面があるのは情けないことなのですが、市場がどうあれ良い文化を作るのが我々メーカーの任務と心得え今後も精進して行くつもりです。

これにて、今年のコラムを終了させて頂きます。皆様にも良い年を迎えて頂きまして、来年もこのコラムを続けて読んで頂くことを願いつつ、皆様のご多幸をお祈り致します。

鈴木信行 :すずき のぶゆき

昭和45年勤務先のアイワ株式会社をスピンアウトして独立。

磁気記録に関る計測機器の製造販売の事業を開始し、その後カーエレクトロニクスの受託設計の事業を始める。

何れの事業も順調に発展したが、会長の永年の思いであった、ハイエンドオーディオの自社ブランドを立ち上げ、現在はカーエレクトロニクスの事業を主とし、協同電子エンジニアリング(株)として運営している。

現在、協同電子エンジニアリング(株)の取締役会長として、趣味のオーディオを健全に発展させたいと真摯に研究し、開発に勤めている。

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