Phasemation フェーズメーション

colums会長のコラム

会長のコラム 098

2月のサマリー
2月は、街の人出も少なくレストランや道路がすいていて気分がよかったです。「にっぱち」現象ですね。しかし、音楽会のスケジュールは前から決まっていた事であり、それなりに予定は詰まっていた事にあいまって、昨年暮れに発売した新商品のプレゼンテーションの仕事が、この時期に佳境を向かえ、加えて、自宅の試聴室のリフォーム工事に手間がかかり、結構忙しいスケジュールをこなす結果でありました。

1.クラシック音楽を聴く会・植村攻さんのこと
2.新商品の順調な滑り出し
3.マリンスキー・オペラ 日本公演
4.新国立劇場 オペラ「夕鶴」、オペラ「椿姫」
5.天満敦子コンサート
6.神奈川フィル定期演奏会
追記 拙宅の試聴室工事、新車アウディー S5

1.クラシック音楽を聴く会・植村攻さんのこと
毎月第4土曜に「玉川まちづくりハウス」の主催で「クラシック音楽を聴く会」と言う音楽会が、田園調布にお住まいの植村攻さんのお宅で開催されています。
毎回、40名ほどのクラシック音楽ファンが集まり、植村さんの海外駐在体験からなる体験話と解説、そして氏の蒐集されたレコード音楽の再生、更に集まったファン同士の音楽談議に花がさきます。
会の企画は、ほとんど植村さんお一人でやられています。植村さんは、元都市銀行の専務を勤められ、現役時代のフルブライト留学生であられた時、海外勤務時代に米国やヨーロッパで当地の一流音楽会に行かれたご経験があり、ご本人は大の音楽ファンでいらっしゃいます。
植村さんのお人柄は、氏の著書「巨匠たちの音、巨匠たちの姿」(東京創元社、黒田恭一氏の序文)に良く現れています。氏の文章は読みやすくその場に自分が関与しているような気分になって、とても素晴らしい書でありますが、何と言っても音楽ファンであれば、あの幻の大家が目の前に居るような錯覚を覚えるものを感じます。それも植村さんの文章の上手さによるものであります。
私は、ここのオーディオシステムのお世話をさせて頂いています。以前より浅見秀治さんと言う方が面倒を見ておられましたが、世間で良いと言われる機器は、大変高価であり、ボランティア活動で使用するには限りがあります。とは言うものの、レベルの高い音楽ファンの集まりですから、水準以上の音を出す必要があり、私はオーディオメーカーのオーナーとして、又回路技術者としての誇りも有るので、それなりの工夫が必要です。そこで、当社の試作品や技術部で用済みの機器を貸与して、浅見さんの腕によってグレードアップを図っています。
今月からは、今まで使用していたA社のプリアンプ 270 を当社の新商品CM-3に入れ替えたところ、音が劇的に改善され会員の皆様も、私もこの激変にはビックリした次第です。私がこの様に言うと、自我自賛となりますが、この会の方々の多くの方がこのコラムを見てくださっているので自信を持って言っているわけです。確かに、出荷時に商品に添付する愛用者カードにもその事が多くの人から寄せられていて、私が今頃体験したと言うのも変ですが、それは発売以前よりCM-3の原型に接していた事から来る認識不足であったと思っています。
この会は、月に1度開催されますが、地域の街づくり有志の方々の援助によって毎回40名ものクラシックファンがお集まりになると言う素晴らしい会でありまます。私も皆様の貴重な時間をより有効にお過ごし頂かなければならないとの使命を感じ、ボランティアとして支援しています。

2.新商品の順調な滑り出し
昨年発売した新商品で注目を集めているのは、当社の始めてのカテゴリーになりますメインアンプのMA-1であり、各イベントでも最も注目を集めています。価格が高価なので右から左に売れる情況ではありませんが、「永年使用していたスピーカーが別の機種であるかのように鳴る」と試聴された方々から、その鳴りっぷりに感銘のお言葉を頂いております。発売後は時間の経過と共に買って頂ける手応えを感じています。
また、フォノアンプのEA-3Ⅱは大幅な物量投入による音質改善を伴うも旧型に対して価格を1万円アップに留め、そのコストパフォーマンスは多くの方々から強いご支持を頂いており、出荷が間に合わないと言うご迷惑をおかけしている状況で、この時期に有難い事と感謝致しております。
一方、当社独自の方式で特許取得したパッシブATTの普及版でありますCM-3は、これまた、お客様から待ちに待った待望の商品として受け入れられましたが、市場投入直後に部品の欠陥による商品トラブルに見舞われ、これまた別の意味で出荷が間に合わないと言うご迷惑をかけてしまいました。今年の2月は散々な事でありましたが、皆様のご理解のもとここに来て正常の流れを取り戻した次第でございます。

3.マリンスキー・オペラ 日本公演
この公演は、R・シュトラウス/「影の無い女」が文化会館、プッチーニ/「トゥーランドット」がNHKホール、のオペラ2演目とコンサート形式のオペラ、ベルリオーズ/「トロイアの人々」がサントリーホール、そのほかコンサートが2演目でした。
私は、このマリンスキー・オペラには「陰の無い女」のチケットしか購入していませんでした。と言うのも、今年は外来オペラ劇場のラッシュでありまして、3月はフィレンツェ、6月がメトロポリタン、9、10月がボローニアとバイエルン国立歌劇場と続きます。それらのチケットの発売が始まっていまして、流石の私も今年の出費の多さに参ったと言うのも理由の一つですが、やはり、マリンスキーの公演目には、どうもシックリ来ないものを感じていました。
それは、公演目の中にロシアものが無い事です。申し訳程度にコンサートとして「ロシア音楽の夕べ」と言うのはありますが、ロシアものでは集客に問題ありと判断したとしか思えません。今年の外来オペラ劇場がイタリア、ドイツ、アメリカと続くわけですから、当然ロシアに期待するものがあるわけで、日本のオペラファンを甘く見ているとしか思えないのです。
ロシア製「影の無い女」の観劇感です。昨年の新国立劇場の「影の無い女」の公演が素晴らしく、このオペラの魅力に堪能しました。それで、今回又観たいと思い、あえて出かけたのですが、その期待に反して理解しにくい演出、それに映像とPAを使うオペラの舞台、「芸術は爆発」ですから何が有っても良いのですが、カネと時間を費やすのはオペラ好きの観客です。誰が何と言おうとこの様なオペラは御免です。

4.新国立劇場 オペラ「夕鶴」、オペラ「椿姫」
団伊久磨作曲のオペラ「夕鶴」を2月4日新国立劇場で観て来ました。この純日本製オペラは、日本の誇りであり素晴らしいオペラと思います。ところどころにプッチーニの匂いを感じますが、日本の習慣、心情、美意識などに付いてこれ程端的に表現出来るのもオペラと言う優れた手法と思いつつ、やはり作曲家 団伊久磨氏の才能の素晴らしさでしょう。
このオペラは、もっと、世界に普及しても良い優れた作品と思いますし、日本での公演も多くないのが気になります。
当日の公演では、字幕スーパーが有りませんでした。歌詞によって内容を理解するのは難しく、日本語のオペラでも字幕は必要と思います。字幕を見るか見無いかは観客の好みでと言うことで。
さて、オペラ/「椿姫」です。ヴェルディーの傑作中の傑作であり入門者からベテランまであまねく楽しめるオペラであります。私は、2月14日新国立劇場初日公演を観てきました。主役のヴィオレッタが、ソプラノ パトリツィア・チョーフィ イタリア人です。そして、アルフレードがウーキュン・キム 韓国人です。ソプラノのチョーフィは歌唱力と言い容姿と言いヴィオレッタに適役でありました。彼女の経歴をみてもスカラ座、ウィン国立劇場、英国ロイヤルオペラ、等々での椿姫は当たり役との事でした。また、舞台装置も過去の国立劇場の実績を裏切らないもので、「椿姫」はかく有るべきと言う見本の様なものであったと思います。
一方のアルフレード役のウーキョン・キムは、韓国人と言う事もあって、その体形は日本人同様に短足胴長でこの舞台にはマッチしませんでした。この事をある評論家に話しましたら、最近これほどのテノール歌手は貴重だし、日本の歌手達に良い刺激になるのだから、私の論評は不適切とのご意見でありました。しかしどうでしょう、プロとしてのお立場の発言はその通りでしょうが、私達は貴重な時間と費用を負担して楽しみに観劇に来ているわけですから、プロの方とはスタンスが違うわけです。「マダムバタフライ」に大柄な外国女は似合いません。歌がうまくて容姿が舞台にマッチする事を私達は望んでいるので、歌手が日本人でも西洋人でも関係ないと思います。
次いでの事にもう一つ、プロの方々から良く耳にすることですが、新国立劇場にもっと日本人歌手を出せと言う意見を聞きますが、私は賛成できません。日本人歌手を育てるのも観客といいますが、アマチァの我々にそれを求めるのは違うのではないでしょうか。

5.天満敦子コンサート
2月7日に日本工業倶楽部のホールで行われたコンサートに行ってきました。このホールは正確な収容人員は判りませんが、見たところ、200人から300人の間ぐらいではないでしょうか。古い建物で、ヨーロッパの王宮に舞台を設えた感でして、大変響きの良いホールです。
主催が日墺文化協会で、主催者の性格上と思いますが、こじんまりした環境のコンサートで、天満さんの奏するストラディバリを心行くまで堪能する事が出来た事は私にとって最高でありました。
この人の演奏は、日本人離れした力強くのびのびした奏法が特徴で、私は大変好きなのですが、この人のコンサートは何時も演奏曲目にアンコールバージョンが多くなる傾向で、望郷のバラードなどもういいよとの思いが有ります。
この人、多分、音大の教授の仕事がメインのようにも思うのですが、サンサーンスのV協などをN響か都響の共演でやってくれませんかね。

6.神奈川フィル定期演奏会
神奈川フィル定期演奏会第269回を2月19日にみなとみらいホールにて聞いてきました。演奏曲目は、マーラー/交響曲第5番でした。
このマーラーの交響曲や幻想交響曲のようなオーケストラ編成の大きなものはレコードで聴くのと生演奏とでは格段の差があり、それはまさに、別物では無いかと感じてしまう差を感じます。昨年、ズビン・メータのイスラエルフィルを聞いて鳥肌が立ちましたが、今回の金聖響・神奈川フィルの演奏も部分的に難はあるものの、全体として良い演奏で、やはり鳥肌ものでありました。
この話を音楽仲間に話したところそれはイスラエルフィルの事だろうと言われました。しかし、私は胸を張って神奈川フィルの事だと言ってやりましたが、これ程までに生演奏は素晴らしく、聴きてとしてカネと時間を掛ける価値が有るとオーディオマニア諸氏に言いたいのです。生演奏を聴かずして、オーディオの「音」を理解出来るのか。オーディオの原点として、原音再生など機械に出来るはずが無い、さればこそ、生音楽の「らしさ」を求める事になると言うのが原点であったはず。「生音楽」を知らずして何が「らしさ」なのか、真の「らしさ」を語る事が出来るのか。

追記
我が家の試聴室リフォームは工事半ばであり、新車アウディ S5 は走行距離1000kmを超えました。3月のコラムには記事の題材山積であり、請うご期待であります。

鈴木信行 :すずき のぶゆき

昭和45年勤務先のアイワ株式会社をスピンアウトして独立。

磁気記録に関る計測機器の製造販売の事業を開始し、その後カーエレクトロニクスの受託設計の事業を始める。

何れの事業も順調に発展したが、会長の永年の思いであった、ハイエンドオーディオの自社ブランドを立ち上げ、現在はカーエレクトロニクスの事業を主とし、協同電子エンジニアリング(株)として運営している。

現在、協同電子エンジニアリング(株)の取締役会長として、趣味のオーディオを健全に発展させたいと真摯に研究し、開発に勤めている。

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