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colums会長のコラム

会長のコラム 148

早いもので2月になってしまいました、と言いましてもこの原稿を書いているのは3月に成ろうとしているところです。
毎年、暮のお客様へのご挨拶に手帳のダイヤリーをお贈りしていましたが、今ではアイホンの普及であまり喜ばれないとの若手からの意見で、卓上カレンダーに変えたのですが、私の慣れ親しんだ手帳が無くなる事に寂しい思いは有ったものの、毎年、所属ゴルフ場、JAL,ANA,取引銀行などから、降って来る様に贈られて来るので、「まあいいか」とばかりに、「たか」を括っていました。いざ、使う段になって私好みの手帳が無いのです。ゴルフに「やる気を出すか」と思いゴルフ場のものを使い始めたところ、これが見掛けの割に、紙質が悪く鉛筆の走りも悪い、ボールペンのインクがにじむなどで、気が乗らない、2月の中旬になって、やっぱりと思い、わざわざ買い求めに行く始末、幸運にも未だ店頭に有りましたね。と言う事で2月中頃から手帳を変えたのです。それが原因で記載漏れやダブルブッキング、2月の行動は散々な目に会う結果でした。
神奈川フィルの定期演奏会と新国立劇場の公演は、年間通じてスケジュールが固定されて居り、スケジュールの見間違いなどある筈無いのですが、何故か記帳もれでその日に名古屋に出張が入っている。それと言うのも、今月は神奈川フィルの定期演奏会が県立音楽堂とみなとみらいホールと2回有り、みなとみらいホールのコンサートは黒沼ユリ子さんの音楽堂コンサートが後から入ってダブルブッキング、当然ユリ子さんのコンサートを優先し、神奈川フィルの定期演奏会は知人に差し上げましたので、神奈川フィルのコンサートは一件落着と思い込み、音楽堂シリーズの記載漏れに気が付かず、家内からは突然の同行の友達探しに奔走で散々言われ通し、自分では手帳の乗り換えだから事故だと言う事で納得し、加齢の惨めさ解消を図ると言うことで済ませました。そんな訳で、今月の音楽ライフは黒沼ユリ子さんの県立音楽堂ラストコンサートのみになりましたが、これが素晴らしく充実した音楽ライフでありました。
その音楽堂コンサートの前日、黒沼ユリ子さんは、ご主人さまとマネージャーを務められるお姉さまの俊子さんの3人で我が家(と言っても私の住む老人ホームのサンシティー)にお泊りになり、翌日に県立音楽堂に私がお送りしました。前夜は、家内を含めてオフィス・アミーチの西松さんと6人で会食し、ユリ子さんの豊富な経験話に楽しい時間を過ごしアッと言う間の時間経過でありました。まだまだ酒を酌み交わしたいところでしたが、コンサートの前夜は我々控えるのがマナーです、名残惜しく散会とし、翌朝朝食をご一緒して県立音楽堂へゲネプロに間に合うようお送りし、ついでに、私もゲネプロのご相伴に与かりました。
現役の日本人バイオリニストでは、黒沼さんは最長老ではないでしょうか、一昨年最後のコンサートと言うことで、紀尾井ホールにて両陛下のご臨席を賜り盛大にラストコンサートが行われました。その後、黒沼さんの県立音楽堂への思い出は、1956年日本音楽コンクールに優勝され、その時の優勝者演奏発表コンサートがこの音楽堂であった事から、思いが募りラストコンサート・イン・横浜の開催になったとのことでした。
私も、黒沼さんの若い時期の演奏会は知りませんで、LPレコードを聴くことで当時を知ることしか出来ません。当日の協演者である波多野せいさんと鈴木葉子さんの両氏は、黒沼さんが生涯に渡って活動し続けた、メキシコでの音楽教育の場「アカデミア・ユリコ・クロヌマ」で講師を務められた方々です。現在、両氏はそれぞれ別のグループで演奏活動をされており、素晴らしい演奏を披露してくれました。また、ピアノの伴奏は何時もの気の合ったラファエル・ゲーラさんでした。
やはり、最近の有名若手奏者とは一味二味違います。音楽の構成が確りしている上に、何よりもキャリアがものを言う上手さが格別であります。

さて話は変わって、拙宅のチャンネル・アンプシステムに付いてです。デジタル式チャンネル・デバイダーのDEQXは、1m以上の時間差調整は出来ないことが明確になり、DEQXによる私のWE-22Aホーンシステムは、未完に終わる事になります。マニアの中には、fc(カットオフ周波数)の低い大型のホーン例えばWE-15Aの様なものを使っている人が結構大勢居られます。亡くなられた池田圭さんなどはその典型でした。当時、その音を聞かせて頂き感動したものでしたが、当時の私には「ステージの見通し」と言うステレオの聴き方など関知する智恵はありませんでした。池田圭さんは、その事を知っていたかどうかは疑問ですが、低音再生にポリシーを持って居られたのが印象に残ります。しかし、今の時代になって、ステレオ再生に位相差(時間差)など気にしないとか、関係ないと言われる方は少し感覚を変えて音像、ステージ感に注力してもらうと、新鮮なオーディオの面白さを発見し、引いては人生の再生へと導いてくれる事請け合いであります。デジタル技術は我々が不可能と思える事を実現して呉れるのですが、「音」を理解しない技術者は理論に走り、デジタルは「音」を悪くすると言う面を作ってしまいます。その点、DEQX社はプロオーディオの世界で培った技術を持っており、私の求める1m以上の時間調整は想定外と言う事の様で、今後のスペックの拡張を求めるものであります。
と言う事で、今のところ私のシステムは、時間差の解決の為にスピーカーのセッティング位置で調整の出来る範囲のショートホーンに変えています。この点、リニア―PCMに依らない方法もアイディアとしてありますから、音道の長いホーンの使用に種が尽きたと言うことでは有りません。
オーディオの面白さは、L,R の2チャンネルで前方のステージがリアルに見通せる事を実現することに有り、録音技術者はそれを目指して良い録音メディアの製作に奔走しているのです。それを、必要無いと言ってしまえば、趣味のオーディオの面白さを否定するもので、特にホーンシステムを使用するマニアの方々に理解を求めたいところです。
今の拙宅のシステムは、低音にアルテック416+音研箱、ミッドレンジがエールのfc 500hzホーン+WE-555ユニット、そして高域がゴトーのベリリューム・ツイターと言う3チャンネル構成で、アナログ・パッシブ 6dB/oct のフィルターで構成しています。
ミッド・レンジにショートホーンしか使えないことには些か未練がありますが、私のプロ根性を一応満たした「音」に仕上げたと思っています。
L,R の2チャンネルでステージの見通し音場空間を再現するには、システム系とL,R間の位相差特性を厳密に合わせる必要があります。そして、この位相差を意識して音造りを目指すと不思議に音もクリアーに仕上がってきます、ですから、逆にクリアーな「音」を再生しない装置では、舞台の見通しの良い音は再生しないと言って良いでしょう。
それから、フィルターのロール(傾斜の俊緩)差別の観点から言うと、急俊なフィルターが必要と言うマニアの方もおられますが、私は6dB/oct 程度の緩いものを推薦します。その辺りのことは別の機会にお話しすることにします。

鈴木信行 :すずき のぶゆき

昭和45年勤務先のアイワ株式会社をスピンアウトして独立。

磁気記録に関る計測機器の製造販売の事業を開始し、その後カーエレクトロニクスの受託設計の事業を始める。

何れの事業も順調に発展したが、会長の永年の思いであった、ハイエンドオーディオの自社ブランドを立ち上げ、現在はカーエレクトロニクスの事業を主とし、協同電子エンジニアリング(株)として運営している。

現在、協同電子エンジニアリング(株)の取締役会長として、趣味のオーディオを健全に発展させたいと真摯に研究し、開発に勤めている。

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