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colums会長のコラム

会長のコラム 109

今年最後のコラムです。年が変わる前にアップしなければと思い少し早目に原稿締め切りとし、年末の事象は年初めに書くことにしました。
拙宅の3チャンネルスピーカーシステムもリアルサウンド社のデジタルイコライザーを導入し、その結果がMJ誌1月号の柴崎功氏の9ページに渡る記事にて記載される事により、これで一応当初目的とした作業を終了するのですが、これにて満足した結果が得られた訳では決して有りませんで、幾つかの課題が残っています。
今回導入したリアルサウンド社のデジタルイコライザー コネックが業務用の為に、入力レベルが+4dBであり、コンシューマ機器からの出力レベルではフルビットに振らす事が出来ずに不本意ながら、ラインレベルアンプを挿入しなければなりませんでした。来年には、コンシューマ仕様のものが、同社から発売されるとのことですが、結果を急ぐ私には待つ我慢が出来ないことにありました。
この事と関連すると思われる問題として、デジタルオーディオに有り勝ちな、締まり過ぎ感が付きまとう音に仕上がっています。私の好みとして、多少音像が大きくなってもアナログ特有の色気が欲しく、今回仕上がった音が良いと言う人たちと意見が異なります。
この異なりこそ音楽を理解する感性の問題であり、その感性こそその人の音楽を理解する心であり、人生感の違いであると思うのです。
今回の3チャンネルスピーカーシステムの完成も結局この問題に立ち至りましたが、この点を解決すべく、以後のコラムのテーマとして検討したいと思います。今後に「ご期待下さい」と大きな事を言える心境ではありませんが、期待して頂きつつ来年も宜しくお願い致します。

12月のサマリー
1. 新国立劇場 ヨハン・シュトラウス/オペラ「こうもり」
2. 神奈川フィル定期演奏会
3. 紀尾井ホール ウイーン室内合奏団
4. 神奈川フィル木管五重奏 チャリティーコンサート
5. 玉川学園のライブハウスでの村上敏明テノールコンサート
6. 神奈川フィル第九演奏会

1.新国立劇場 ヨハン・シュトラウス/オペラ「こうもり」
12月1日木曜 PM:6:30開演の新国立劇場での J・シュトラウス/オペラ「こうもり」を観劇して来ました。
このオペラは、理屈抜きで何度観ても楽しいオペラです。ストーリーは、ばかばかしいものですが、考えてみると良くもまあこれだけ日常生活とかけ離れた楽しくもあり、ばかばかしくもあるストーリーを考えたと改めて思ってしまいます。そのストーリーと音楽が実に素晴らしくもあり、優れた作品である事がこのオペラの価値を高めていると思います。
当日のオーケストラが東京フィル、指揮がダン・エッティンガーでした。このひとは、新国立劇場で「リング」「ファルスタッフ」「コジ・ファン・トゥッテ」などを振って好評を博し、お馴染みであります。そして、ベルリン歌劇場主席指揮者を勤めており、ウイーン国立歌劇場、英国ロイアルオペ、パリ・オペラ座などにて振っている人で、オペラ指揮者として定評のある人です。
この人は、東京フィルの常勤指揮者をも務めている関係で、この人が振るとオーケストラもウイーン風になってしまうから、余計にこの公演が生きてきたものと思います。キャストですが、このオペラは登場人物が多く日本人歌手も重要なパートを担っており、その役をしっかりこなしていたと思います。しかし、外人歌手との声量の差、容姿の差は如何ともなし難いものがありましたが、それでも舞台の出来栄えに瑕疵を及ぼすものではありませんでした。
当日の終演が、10時近くになってしまい、この日はウッカリ食事の事を考えておりませんでした。仕方なく劇場に付属するイタリアレストランの「マエストロ」に行ったのですが、相変わらず気分の悪い対応と美味しくないパスタで後悔するのですが、終演と同時に纏まって客が押し寄せるのですから、仕方ないと言えばそれまでですが、オペラ鑑賞の感激の後ですから残念といわざるを得ないでしょう。

2.神奈川フィル定期演奏会
今月の定期演奏会は、12月2日金曜夜7時開演のコンサートで、指揮が広上淳一、バイオリンが三浦文章でチャイコフスキーのバイオリン協奏曲でした。
この三浦文章と言う人は凄いです。話には聞いていましたがこれ程とは思いませんでした。先日の樫本大進の演奏会では、同じここみなとみらいホールでの演奏に感激しましたが、三浦文章も劣らずにすごいヴァイオリン奏者でした。16歳でハノーハァー国際コンクールに優勝し、史上最年少との事もさることながら、これ程優れた技術の持ち主も全く稀有と言って良いでしょう。それ程までに優れた技術に一目ぼれでありまして、偶々入館時に貰ったチラシに正月3日の東京文化会館でのコンサートを知り、その場でチケットを購入してしまいました。その日の演奏曲目がブルッフのバイオリン協奏曲ですからなおさらです。
さて、神奈川フィル当日の後半ステージが、ドヴォルザーク/交響曲第八番でした、ドヴォルザークの交響曲と言えば九番の新世界が特にポピュラーでありますが、私はクラシック音楽入門時より聞いており、些か手垢が付いた感じでして、今ではこの八番が私にとっての最高のご馳走です。広上の指揮による神奈川フィルの演奏は、期待とスリルに満ちた演奏でしたが、終わってみると「うーんそうか、神奈川フィルもやるもんだ」と言う何とも言えない充実感を味わいました。
金曜の夜の後味の良いコンサートでした、アンコールが有って終演が九時過ぎになり、毎度お馴染みのすし屋での夕食、今日一日の充実感に感謝でありました。

3.紀尾井ホール/ウイーン室内合奏団
このコンサートは、NBS日本舞台芸術振興会の主催するもので、来年以降に開催されるウイーン国立劇場、フォルクスオパー、などの一連の公演への一括予約支払いを済ませた人を対象に招待した特別プログラムでした。
ウイーン室内合奏団は、故ゲルハルト・ヘツェルがウイーンフィルのコンサートマスターに就任し、翌年の1970年に彼をリーダーとしてウイーンフィルのトップメンバーによって結成され、一つの時代を形成しましたが、リーダーのヘツェルが1992年に亡くなってからはメンバーが入れ替わり、結成当時の伝統を守り続けているとは言え、時代の変遷を感じないわけには行きません。とは言っても、今でもウイーンフィルのトップメンバーによる編成に代わり無く、その演奏力は注目にあたいするものであります。
12月3日土曜6:30開演で行ってきました。当日は家内の体の都合も有って車で行かざるを得ず、結局隣のニューオータニホテルに泊まることになりましたが、不自由ながらもコンサートに一緒に行けるまでに回復した事に感謝しつつ、終演後の遅い夕食にワインで乾杯、何やら小恥ずかしい思いでありました。

4.神奈川フィル木管五重奏 チャリティーコンサート
このチャリティーコンサートは、私の友人であります中込さんが主催するもので、毎年12月に新横浜のグレースホテルにて行われますが、今年で最後との事であります。
中込さんは、ご長男の幼い時期にご自分の目の前で、交通事故で亡くされ以後40年間この交通遺児のためのチャリティーコンサートを行っておられ、本当に頭の下がる行為に私も微力でありますがお手伝いして来ました、思い出の多いコンサートです。
この最後のコンサートは、神奈川フィルのトップメンバーによる木管五重奏でありました。
この神奈川フィルもバックを支える行政の予算不足で存続の危機が言われており、我々横浜の住民も支援に協力しております。当日もチャリティーコンサートの収益の一部を神奈川フィルに支援金として渡されるセレモニーがありました。
宴会場での演奏でありましたが、これはこれで、素晴らしい演奏でした。わずか5人による演奏ですが、その音量は迫力満点でありまして、プロの奏する音楽が尋常なものでは無いとの印象を会場の聴衆の方々に知らしめたと思います。

5.玉川学園ライブハウスでの村上敏明テノールコンサート
驚きました。こう言う世界も有るのだと言うこと、私には初めての経験であり、熱心なオペラファンの存在を知ることが出来ました。
小田急線玉川学園の駅から歩いて5分程のところにあるサマータイムと言うライブハウスで村上敏明のライブコンサートです。それ程広くない会場に60名ほどが入り、立錐の余地が無い状況で、その上天井はそれ程高くなく窓が無いので穴倉そのものであります。
ここで、ピアノの伴奏によって村上敏明が歌うわけです。村上敏明と言えば今旬のテノール歌手でありまして、毎年恒例番組の正月三日放映のNHK Eテレのオペラガラコンサートに出演します。そして、私が贔屓の高輪オペラの会への常連出演者でもあります。その歌手がこの様な場違いと思える会場で60数名の満員の会場でオペラアリアを歌う事など私の想像を超える、それこそ、あり得ない世界でありました。
コンサートは、2度のステージに分けて8曲づつ計16曲の予定でしたが、アンコールに応じて21曲を歌いました、歌った曲はプッチーニのハイツェーを含むアリアやヴェルディーのリゴレット/「ほほの涙を」などの難曲から日本の歌曲と幅広いものでありましたが、ここに集まった熱狂的なファンへのサービスとも思える熱演には、新国立劇場では味わえない何かを感じたのであります。
チケット料金が、ドリンク付で3千円ですから仕方の無い事ですが、歌手も聞き手ももう少し良い環境でと思うのであります。それは、リッチな気分で、香り高く、とまでは言いませんが、狭い空間特有の反響から受けるかぶり現象の無い空間で聞きたい、せめて代々木上原のムジカーザあたりで鑑賞したいと思いました。
私が企画してみようか、とも思ってしまいますがそれはどうですか、本業に励めと言われそうで怖いです。

6.神奈川フィル ベートーベン/交響曲第九番
年末恒例の第九演奏会です、これ又恒例の神奈川県民ホールでの演奏会であります。神奈川フィルの事務局スタッフが満席のためにロビーでモニターを見ながらの鑑賞との事で、大変お気の毒とおもいました。加えて、神奈川フィルのブルーダル基金への募金活動などが有ってスタッフは総出のようです。
毎年のことですが、このコンサートは満席です。私としては県民ホールでの舞台上での演奏は音が悪いので御免でありますが、暮れに第九と言うのは特別な意義でありますから仕方の無いことです。毎度の事ながら、これ程悪い音であってもこれ以上のオーディオ装置は無いと考えると贅沢な不満であります。とにかく、オーケストラが一生懸命に演奏しても、弦楽器などはこすってもこすっても空振りに見えて、聞こえるのですから、気の毒という感じですね。
当日の演奏は、指揮が金聖響、ソプラノが森麻季、メゾソプラノが押見朋子、テノールが岡田尚之、バリトンが黒田博、そしてオーケストラが神奈川フィルでした。
森麻季の細い声、押見朋子の太い声、これが第九の声楽陣に何か微妙な陰影を醸すから不思議です、その森麻季は人気のあるソプラノ歌手であり、客寄せパンダの効果も大でありますが、私は嫌いです。「何が、ですか?」、それはいろいろです。大勢の聴衆の方が満足し、満席状態ですから、これ以上余計な事は言うべきでないでしょう。

鈴木信行 :すずき のぶゆき

昭和45年勤務先のアイワ株式会社をスピンアウトして独立。

磁気記録に関る計測機器の製造販売の事業を開始し、その後カーエレクトロニクスの受託設計の事業を始める。

何れの事業も順調に発展したが、会長の永年の思いであった、ハイエンドオーディオの自社ブランドを立ち上げ、現在はカーエレクトロニクスの事業を主とし、協同電子エンジニアリング(株)として運営している。

現在、協同電子エンジニアリング(株)の取締役会長として、趣味のオーディオを健全に発展させたいと真摯に研究し、開発に勤めている。

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