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colums会長のコラム

会長のコラム 135

今年、初めてのコラムです。書いている時は新年「あけましておめでとう」と言う事なのですが、毎号、月末にその月の出来事を書いているので、この辺りの時節の揺れはご勘弁下さい。
咋年末と新年は、昨年と同じ新宿の「京王プラザホテル」で過ごしました。このホテルは、新国立劇場の観劇の際に帰宅が遅くなるので、私の定宿としていますから、正月情報などがいち早く入り、即座に決めてしまいました。
今年のカウントダウン・セレモニーは、デュークエイセス、翌1日のコンサートが昨年同様に山本益博の司会とワイン談義のお話しによるオペラガラコンサート、そして夜の催しが綾戸智恵のコンサ―トでした。
演歌コンサートの多いこの手の催しとしては、どちらかと言うと私好みの催しで、昨年と同じ傾向だったので選びました。
そして、このホテルの正月企画は、「ガキ」を対象にしていない事と大人を意識したイベントである事が特徴でしょう。都内の一流ホテルの正月宿泊プランは、孫を連れた金持ち爺さん達のオンパレードであります。
引退すると「カネ」は有って孫にしか目が無い、現役時代はサラリーマン重役だったのかも知れません。私も大企業とは言わないまでもサラリーマン生活を経験しましたが、この社会は、「ごますり」、と「志」無き社会に嫌気をさした経験から、察しがつきます。都内の一流ホテルの正月宿泊プランが、それを良く表しています。

1月の日経新聞「私の履歴書」は、小澤征爾でして正月らしい読み応えのある記事であります。これが1月いっぱい続きますから、音楽に興味の無い方でも是非お読み頂く事をお勧めします。
世界に通じる実績を残す人は、才能も有り、行動もダイナミックであり、やはりと思わせるものが有って、全ての人に参考になるし、何と言っても面白いのであります。

1月は、私がアウディーS5購入から3年目で車検を迎えます。昨年秋に脊柱管狭窄症と診断されてからどうもこのアウディーのシートがすっきりしないので、この機会に入れ替える事にしました。考えてみると、やはり、国産車が使い勝手が良いです、外車は見かけが良いが、使い勝手が悪いと言うのが結論。
良く足回りハンドリングは外車に一日の長ありと言いますが、レクサスのスポーツバージョンなどは、この点遜色無いと思います。
と言うことで、レクサスLS600HのFバージョンを選びました。この車は、国産車の中では高い部類ですが、ドイツ車と比べると性能比較でもかなり安いです。何と言ってもエアサスペンションは、今頃ではこの価格では買えませんし、細部にわたる気使いと信頼性は外車に求めることは出来ません。
走行中にナビゲーションが真っ暗になったり、バックカメラが動作したりしなかったり、修理に出すと電気系を入れ替えましたとデーラーは言う。しかし、症状は以前と同じ、悪いところが解からない、私も車の仕事をしているから大よその見当は付きます、要は故障では無いのです。
アウディーS5は、ハンドリング申し分なし、サスペンションのチューニング言う事なし、オーディオの音は国産車に無い私好みのチューニングと言う事で3年間使い30,000数千キロ乗りましたが、見切りを付けることにしました。

恒例のステレオサウンド社のグランプリ受賞記念パーティーが、代官山のレストランASOにて1月23日に行われました。当社の受賞商品は、昨年秋に発売したMA-1000が対象でして、既に本コラムで紹介済であります。
本機は、当社視聴室のJBLエベレストをろうろうと鳴らし、非力などと言われる謂れは全く有りませんが、それでも、何を根拠に非力と言うのか、今の時代に真空管アンプをまともに作れる国産メーカは少ないです。
この点、中国製が多いから要注意です。本機の音は、半導体アンプとは別次元であり、よほどの技術を駆使した半導体アンプで無い限り、その優位性をアピールする事は出来無いでしょう。

今月の音楽ライフです。

1.京王プラザホテルの年末年始のイベント
私は、学生時代に男性コーラスをやっていたので、デュークエイセス、ダークダックス、などは今でも熱中に近いファンです。男性合唱と言うのは、トップテナー、セカンドテナー、バリトン、バスの四部合唱が定番でして、創り出すハーモニーは独特の面白さを味わえます。
中でもバリトンのパートは難しくて、歌い甲斐のあるパートで、私の声はこのパートに向いていました。しかし、音楽的素養の無い私としては、難しい上に練習嫌いなので、メロディーの多いセカンドテナーのパートを無理して歌っていました。
そんな事から、暮のカウントダウンコンサートにデュークエイセスと言うのは、爺臭いかも知れませんが嬉しかったです。翌1日は、山本益博の司会によるワインの話とオペラコンサートで、ヴェルディーのオペラが中心で「蝶々夫人」、「ドン・カルロ」の中で歌われるアリアでした。
ソプラノが大山亜希子、メゾ・ソプラノが小林由佳、テノールが山本耕平、バリトンが上江隼人の4人でいずれも私は知らない人達でしたが、普段から日本人歌手にあまり興味が無い私ですから、私が知らないと言う事はさて置いて下さい。
それにしても、最近の日本人歌手は中々やるものだと改めて思いつつ、随分層が厚くなったと思います。この様なホテルのガラ・コンサートも充分に聴衆を沸かせることが出来る、このレベル向上は有難いことです。
そして1日の夜は、綾戸智絵コンサートでした。彼女の日本デビュー当時、日本人離れした歌唱に始めは興味がありましたが、ピアノの演奏と歌唱がワンパターンで、暫くすると興味が失せてしまい、自分から進んでコンサートに行く事は無くなりました。
今年、暫くぶりに、彼女のステージを聞きましたが、大阪弁のトークが以前にまして磨きが掛り、ジョークも中なかの出来でした。エンターテイナーとして進歩したと言えます、しかし内容は大衆臭さと言うか、おばさん好みの臭ささが気になりました。
ピアノのフレーズは以前と変わらずワンパターン、歌もワンパターンで心に残るもの無し、トークが増々冴えてきている、と言う事ですが、その内容は「おばさん好みの臭いトーク」これが受けて、まあ人気エンターテイナーなのでしょう。
私としては、演歌を聞かされるより増しと言うところだし、正月の催しですから難しい事は、言わずに、楽しかったと言う事にしましょう。

2.オペラ歌手岡村喬生の新年会
1月13日(月)、恒例の岡村さんが主宰する「みんなのオペラ」の会が主催の新年会、銀座ライオンにて行われました。岡村さんが引率したオペラツアーも行われなくなって久しいのですが、毎年行われる当会は、当時の参加メンバーが集い楽しい会であります。
今年は、オペラ音楽塾の先生をされている方々の出演で、ソプラノ:福田康子、メゾ・ソプラノ:山口克枝、テノール:勝又晃、と言う方々で、なかなかレベルの高いオペラのアリアを聞かせて貰いました。
また、岡村さんが良く利用される裏磐梯のホテルの運転手の方がこの音楽塾の生徒さんとの事で、飛び入りでマスカーニ「アヴェ・マリア」をバリトンで歌われましたが、あまりの上手さに、私も習ってみたい気になりました。

3.黒沼ユリ子のラストコンサート
1月17日(金)紀尾井ホールにて、黒沼ユリ子さんのラストコンサートが行われました。
黒沼ユリ子さんに付いては、このコラムにて何度かご紹介しましたので省略しますが、ご本人は、年をとると、左指の力が弱くなって思うように弦を抑える事が難しくなるとの事で、これを最後に引退するとの事、それでこのコンサートを開催したとの事ですが、我々素人にはそんな瑕疵を判別する事は出来ません。極めて残念な事であります。
当日は、天皇皇后両陛下がご臨席になり、お付の方々やSPの方々の席が急遽40席必要となると言うことで、私がお客様接待の為に用意したチケットを少し吐き出す事になりました。さすが、皇室の信頼厚き黒沼ユリ子さんであります。
私も皇太子ご夫妻がご臨席されたコンサートには数回めぐり会いましたが、両陛下のご臨席は初めてでありまして、それほど広くも無い紀尾井ホールでの両陛下ご臨席は、誠に感激の至りでありました。
当日、演奏された曲目は黒沼さんの思い出深き縁のあるものが選ばれまして、配られたプログラムには、その思いが曲ごとに記されておりました。それを読んでから曲を聞くと音楽の表見力の力強さを改めて理解出来事できます。
加えて、黒沼さんのトークが重なり、素晴らしいコンサートでありました。黒沼さんは、プラハ音楽芸術アカデミーで研鑽を積まれた事で、ボヘミア音楽の表現、そして、メキシコでの社会貢献から得た体験などから、その土地への思いが強いようです、それらの影響が「黒沼ユリ子の奏でる音楽」の原点で有りましょう、聞くものに強い印象を残すのでした。

4.新国立劇場 オペラ「カルメン」
1月19日(日)新国立劇場のシーズン定期オペラ「カルメン」14:00開演のマチネ公演に行ってきました。
「カルメン」と言うオペラは、その随所に現れる銘旋律が至るところで聞かされ、パチンコ屋の呼び込み、特売場の呼び込みなどで良く聞かされます。だから、そのメロディーは手垢が付いてしまい、オペラその物にも影響しているようで、私はあまり好きで無いのですが、生の舞台演奏に触れると決してその様な事は無く、素晴らしいオペラなのです。
当日の演奏は、東京交響楽団、指揮アイナルス・ルビキス、この人はグスタフ・マーラー国際指揮者コンクールで優勝し、注目の若手指揮者として脚光を浴びているとの事で、新国立劇場初登場。当日の演奏は、音の厚みにやや不満を感じました。相変わらずホルンによるフレーズの出だしは、日本人に有り勝ちな、今一の不満を感じざるを得ないものでした。
カルメン役のメゾ・ソプラノは ケテワン・ケモクリーゼ、そして ドン・ホセのテノールは、ガストン・リベロ、何れも新国立劇場初登場で若手であり今後が期待できる歌手との事です。対する、ミカエラのソプラノはベテランの浜田理恵で、主役3人のなかで一番冴えていました。
カルメンとドン・ホセは、敢えてこの二人の外人が必要だったのか、経費の都合なら日本人を使えば良いのにと疑問を感じるのですが、やはり、オペラは歌劇と言う劇でありますから、コンサート形式ならいざ知れず、舞台を支える役者が必要、見栄えが大事であるから仕方がない無いのでしょう。

5.神奈川フィル定期演奏会
1月25日(土)みなとみらいホールにて14:00開演のマチネコンサートに行ってきました。
指揮がサッシャ・ゲッツェル、この人はウィーンフィルのヴァイオリン奏者でしたが、指揮に転向しモスクワ交響楽団、北ドイツ交響楽団、N響などを指揮している人で、当日は神奈川フィルへの首席客演指揮者就任披露公演でした。
当日の演奏は、正月公演らしくソロ・コンサートマスターの石田、主席チェロ奏者の山本と神奈川フィルの顔とも言える二人の競演によるブラームス/ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲、後半のステージがワグナー/歌劇「タンホイザー」、R.シュトラウス/「バラの騎士」組曲と言う楽しめる組み合わせの曲が演奏されました。
終演が16:15でして、レストラン予約の5時までに少し時間が有ったので、ライブハウスの「バーバーバー」の出演者の確認に行ってみたところ、北村英治カルテットのサイドを務めるメンバーが出演する事になっていました。
それで、食事の後に行くことにしたのですが、酒を飲んでお腹が一杯になると、何やら億劫になり行くのを止めてしまいました。年をとるとこう言う事が常習になるのですよ、嫌ですね、若い時は考え付きませんでした。
北村英治は、昨年体調を悪くし復帰しましたが、それからはライブを聞いていないので、本人の名前が無いのは、また再発したのではと心配しています。思い違いである事を願っています。

6.新国立劇場オペラ「マダム・バタフライ」
1月30日(木)新国立劇場のシーズン定期オペラ「マダム・バタフライ」19:00開演で、行ってきました。
オーケストラが東京交響楽団、指揮がケリー=リン・ウィルソン、この人は女性ですがなかなかダイナミックな良い演奏をする人で、同じ東京交響楽団の演奏だった先日の「カルメン」とは違った印象でした。
バタフライは、ドラマチックではなく単純なストーリーで心理描写の内容なのですが、演奏を比較してみるとこの今回のバタフライの演奏の方が、切れが良く、ダイナミックでした。この人は、最近人気が有って世界の一流劇場への出番が多いのも理解できる気がします。
蝶々夫人役のアレクシア・ヴルガリドゥは、体調不良と言うことで、石上朋美が代役でしたが、この人も最近イタリアで人気が出ており、当日の出来も素晴らしいものでした。プログラムのキャリア紹介などを見ていても、この人が正解ではなかったかと思ってしまうほどでした。
このオペラに付いてですが、私が贔屓にしている岡村喬生さんが、このオペラを製作してプッチーニ・フェスティバルに持って行く程に熱心で、そのために、私も何遍となく「聞く、見る」の機会に恵まれています。そして、そのたびに、新たに理解する事や、新しい感動に接するのです。
考えてみると単純なストーリーに含まれる心理描写に深みが有って、見る度に感じ方や表現に違いがある事によるのではないかと思うのです。
このオペラのアリアは「ある晴れた日に」と言う超有名曲が1曲しか無いのですが、全編に渡るメロディーは素晴らしく、部分的に切り取る事が出来ないから、言ってみると全曲がアリアと言う構図の様な気がします。だから、「するめ」では有りませんが、噛めば噛むほど、と言う事であり、安直に切り出せないオペラなのです。
当日の終演は、公式には21:45と発表されていましたが、カーテンコールなどが終わっての終演は殆ど10時でした。ホテルの食事はルームサービス、コヒーハウス、バー、のいずれかしか選択の余地は有りませんで、これはもう、オペラの後の侘しさであります。
エレベーターの中で音楽評論家の堀内修と一緒になり、今日はまた新しい感動が得られましたと話かけたら、「うん、今海外で人気が出ている人達だからね」と言っていました。

鈴木信行 :すずき のぶゆき

昭和45年勤務先のアイワ株式会社をスピンアウトして独立。

磁気記録に関る計測機器の製造販売の事業を開始し、その後カーエレクトロニクスの受託設計の事業を始める。

何れの事業も順調に発展したが、会長の永年の思いであった、ハイエンドオーディオの自社ブランドを立ち上げ、現在はカーエレクトロニクスの事業を主とし、協同電子エンジニアリング(株)として運営している。

現在、協同電子エンジニアリング(株)の取締役会長として、趣味のオーディオを健全に発展させたいと真摯に研究し、開発に勤めている。

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