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colums会長のコラム

会長のコラム 029

「東京のオペラの森」と言うイベントをご存知でしょうか。昨年の春から開催されているもので、小沢征爾が音楽監督で東京の春の訪れを祝う音楽祭を立ち上げたいと言う壮大な趣旨で東京都を始め、海外の著名人達が企画に参加しています。
私は経営の現役である事もあって、この様なニュースに疎く、これだけ大掛かりな企画の存在を知りませんでした。今年行なわれた催しも、サイトウキネンの関係者から紹介されて、説明を受けるまで知らなかったのですから、もぐりと言われても仕方有りません。

このコンサートは大変な人気でチケットの入手は大変なようです。コンサート会場は満席である上、各界の名士が大勢見受けられました。プログラムや案内の資料を見る限りでは、小沢征爾と氏が勤めるウイーン国立歌劇場の組織を効果的に利用しているとの印象を強く受けるもので、世界に発信する音楽祭に仕立てあげると言う大きな目標も夢ではなさそうです。小沢さんの健康回復を願う事しきりです。

今年は、ヴェルディーの歌劇「オテロ」、「レクイエム」「弦楽四重奏曲 ホ短調」の3演目で、私は「レクイエム」の公演を選びました。会場が上野の東京文化会館であり、指揮者がリッカルド・ムーティー、だった事もありますが、私の大好きな曲であったからです。演奏は「東京のオペラの森管弦楽団・合唱団」と言うことですが、実態はサイトウキネンのメンバーが主体で、今回のオーケストラのコンサートマスターが矢部達哉であり、メンバーもサイトウキネンオーケストラそのものではなかったでしょうか。

この曲についてはいろいろ言われますが、レクイエムでありながらそのドラマチックな曲想はオペラと言っても良いくらいで、その上指揮がリッカルド・ムティーですからなおさらです。演奏はサイトウキネンオーケストラで、言う事無しのコンサートでした。

私にとって、この週は偶然にもビッグコンサートが集中し音楽尽くしの週でした。この「東京のオペラの森」が木曜日で一日置いて土曜が神奈川フィルの定期演奏会、そして翌日の日曜が新国立劇場でのオペラ「カバレリアルスチカーナ」「道化師」の二本立て公演と言う具合で流石に重たく感じましたが、公演スケジュールは私の体に合わせてくれません。

神奈川フィルの定期は、スクリアビンとショスタコービッチで何れも初めて聞く曲でした。指揮者の源田さんが事前調査のためにロシアに行かれたそうで、気合の入れ方は尋常では無いとの感じでした。この講演に関しては、内部の懇意な人の話によると、文化庁から補助金を貰うほどの企画だったようですから、素人の私には消化不良であっても仕方ないと納得しています。

さて、新国立劇場の「カバレリア・ルスティカーナ」と「道化師」はお馴染みのもので、私は大好きなオペラのひとつです。ご存知の様に、「カバレリア・ルスティカーナ」の間奏曲は単独で演奏される機会が多くポピュラーな曲で、この曲を単独で聴いて居るときは、この美しい曲とオペラの劇的な場面が一致しないのですが、実際にオペラの中で演奏されると、実によく場面とマッチするから不思議です。言葉をかえれば、それだけこのオペラの出来が素晴らしいと言う事ではないでしょうか。

サントッア役のメゾソプラノを聴いているとフィオレンツァコソットの歌が耳にへばっていて離れません。だから年寄りは嫌だと言われるのですが仕方ありません。この舞台でも然りでした。

オペラ「道化師」のカニオ役は、デルモナコの歌が同じようにへばりついています。しかし、今回のネッダ役が大村博美で昨年のバタフライ同様に、流石に今旬の歌手をほうふつとさせるものがありました。彼女は今ヨーロッパで活躍中ですが近い将来世界のプリマドンナとして、名声をほしいままにする器量の持ち主と見初めています。何しろまだ若いです。多くの名歌手が有名になったときは既に旬を過ぎていますから、彼女は旬の今が聞きどきです。騙されたと思ってコンサートにお運び下さい。

余分なことかも知れませんが、この二つのオペラはオペラ入門用にも最適なものです。これからオペラを聴こうと言う人は是非ためしてみて下さい。

鈴木信行 :すずき のぶゆき

昭和45年勤務先のアイワ株式会社をスピンアウトして独立。

磁気記録に関る計測機器の製造販売の事業を開始し、その後カーエレクトロニクスの受託設計の事業を始める。

何れの事業も順調に発展したが、会長の永年の思いであった、ハイエンドオーディオの自社ブランドを立ち上げ、現在はカーエレクトロニクスの事業を主とし、協同電子エンジニアリング(株)として運営している。

現在、協同電子エンジニアリング(株)の取締役会長として、趣味のオーディオを健全に発展させたいと真摯に研究し、開発に勤めている。

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