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colums会長のコラム

会長のコラム 145

11月のコンサート公演が、月末に集中しそれも最後の週に集中したので、このコラム145を書く時間がタイトになってしまいました、頑張ってみましたがやはり遅れてしまいました。
11月の初旬、中旬は、新商品のプレゼンも一巡して少し時間が出来たので、チャンネルアンプシステムの最終結論に向けて集中して作業が出来ましたし。その結論は、毎月のコラムとは別に特集形式でアップしたいと思いますので暫くお待ちください。
その新商品のプリアンプ「CA-1000」ですが、オーディオ各誌にて絶賛されました。絶賛の中でも各誌毎にお家の事情がある様で、その濃淡は意味深なるものを感じつつ、心中穏やかでは有りません。私のオーディオ機器に対する考えは、音楽再生の機械に徹することで、雷の音、蒸気機関車の音、ガラスの割れる音、音楽だか何だか分らないもの、などの再生音は無縁のものと考えての商品であり作品であります。
12月にはオーディオ店の店頭に出ますし、ご試聴を希望される方は、当社商品扱い店にお問い合わせください。

11月のコンサート・ライフです。

1. 11月15日土曜午後2時開演で、神奈川フィル定期演奏会、みなとみらいホールに行ってきました。
指揮が、金 聖響 ピアノがギョーム・ヴァンサン、 フルートが江川説子、コンサートマスターが崎谷直人。
演奏曲目は、前半ステージが、クセナキス/ピソプラクタ、とベートーベン/ピアノ協奏曲第3番の2曲。そして、後半ステージが、ブーレーズ/メモリアル、とラベル/バレエ音楽「ダフニとクロエ」第2組曲の2曲でした。
クセナキス/ピソプラクタは、私には理解出来ない曲でしたが、演奏時間が短いので我慢しつつ、定期演奏会ででもなければ聴けない曲だからと納得しつつでした。このコンサートの選曲は、金 聖響によるものでしょう、その思いがブログラムに描かれていましたが、素人には楽しく無いし、面白く無い曲としか言いようが有りませんでした。
ベートーベン/ピアノ協奏曲第3番、難しい曲を聴いた後のご褒美と考えました。この曲は、何処と無くモーツアルトをイメージする曲ですが、解説者によるとベートーベンの革新性を表現した曲と言います。
芸術の創造は、革新的でなければならない、然らずんば、真似事に終わってしまう。と考えると、ベートーベンもモーツアルトからの脱皮と革新性を模索したのでしょう。クセナキスも、後世になると楽しい曲として評価されるのかも知れませんね、その意味を含めて、納得することにします。
ピアニストのギョーム・ヴァンサンは1991年フランス生まれで数々の国際コンクールで入賞している若手新進ピアニストで、中々素晴らしい演奏でした。サービス精神も旺盛で、アンコールには、リスト、ショパンの曲を弾いてくれまして、これまた鳥肌もののスリリングな演奏でありました。
ラベル/バレエ音楽「ダフニスとクロエ第2組曲」。最近、神奈川フィルのバイオリンセクションの音が極めて良くなっています。これはもう、世界一流のオケ音に退けを取らないレベルと思います。曲も良い、演奏も良い、定期演奏会だから聞くことが出来る高貴な時空間でした。
当日は、久しぶりのマチネであり、夕食までには少し時間が有るので、その間優雅な時間を楽しみつつ、かの有名な中華料理のシェフ「脇屋友詞」が演じるレストランにて食事をしました。料理の味は最高ですが料金が高い、これは横浜の高級中華の味を頭一つ出ている、それを認めるなら高価は、仕方無いと言わざるを得ないでしょう。この味を体験するなら、横浜の名店である、聘珍樓、華勝楼、重慶飯店等々の味を体験卒業してからにして下さい、猫に小判と言う結果になる恐れが多分にあります。

2. 11月24日月曜(勤労感謝の日)午後2時開演のマチネの、バイエルン・放送交響楽団 マリス・ヤンソンス指揮のコンサート公演に、サントリー・ホールに行ってきました。
演奏曲目は、前半ステージがブラームス・P協1番、後半ステージがドヴォルザーク/交響曲「新世界より」でした。
マリス・ヤンソンスは2004年からロイヤル・コンセルトヘボウの首席指揮者として勤め、我々にもそのポジションが馴染みでしたが、2014年4月に'14/15年のシーズンを以て契約を終了することになり、バイエルン放送響を率いての演奏活動に集中しています。そして、このコンビで日本にもたびたび訪れており、その活動は高く評価されているのは広く知られています。
ピアノのクリスチャン・ツイメルマンとの共演は、奇跡の共演と言われるだけあって、期待に膨らむものでしたが、それはまさしくその通りで、ブラームスのP協がモーツアルトを思わせる優しさを秘めていまして、ブラームスの本作品に対する難産ぶりを如実に表していると感じました。
ドヴォルザークの「新世界から」は、お馴染みポピュラーな聞き慣れた曲でありますが、それがなんと、まるで初めて聞く曲の様にスリリングで緊張感を味わうもので、気が付いたときには終わっていたのです。久しぶりに充実したコンサートでしたが、チケット代金が32,000円二人で64,000ですから、新国立劇場より高価なチケットは高いです。まあ、ドイツまで行く事考えれば安いですから仕方無いです。
マリス・ヤンソンスに付いてです。我々オーディオ・マニアにとって、コンセルトヘボウを指揮するマリス・ヤンソンスの演奏を現地にて聞くのは、夢でありましたが、そろそろ再現出来ない夢になりつつあります。マリス・ヤンソンスとバイエルン・放送響とのコンビは、コンセルトヘボウ以上のコンビと評価されていますが、そこはやはり、ロイヤル・コンセルトヘボウのコンサートホールの響きは、世界一と評されオーディオを趣味とする者にとって聖地の様な存在ですから、残念と言わざるを得ません。

3. 11月26日水曜にリッツ・カールトンホテルデ行われた、音楽評論家の加藤浩子さん企画の世界的バリトン歌手のレオ・ヌッチさんとのパーティーに招待を頂きました。暫くの時間ですがこの会場の優雅な雰囲気のなか、オペラ三昧しかも世界のトップ歌手との談話はこの上無い幸せでありました。
添付の写真は、ヌッチさんご夫妻、私と愚妻、左端が加藤さんのご主人、そしてカメラマンが加藤浩子さんご自身でした。

4. 11月27日木曜 6.30開演で新国立劇場ヴェルディー/オペラ「ドン・カルロ」に行ってきました。
このオペラのストーリーは実際に有った史実が元になっており、壮大なグランドオペラです。登場人物も多く重要な役処が最低でも6人必要で、それぞれに実力を有した歌手が求められますから、開催が難しく公演機会が少ないオペラです。
当日の演奏は、指揮がピエトロ・リッツオ新国立劇場3度目の出演、そしてオケが東京フィルハーモニーでした。何といっても出演歌手陣が素晴らしいオペラコンサートでした。
特にフィリッポ二世を演じるバスのラファウ・シヴェク、ドン・カルロを演じるテノールのセルジオ・エスコバル、そしてバリトンのマルクス・ヴェルバ、ソプラノのセレーナ・ファルノッキア全てが素晴らしい。
宗教裁判長と言う重要な役柄に日本の妻屋秀和が出演していましたが、役柄上フィリッポ二世の上を行かなければならないのが、日本のエース妻屋もラファウ・シヴェクには押され気味でありました。
これだけ優れた歌手が揃った公演だと、オペラツアーに海外にワザワザ出掛ける必要が無いと思うのです。
東京フィルハーモニーの演奏も素晴らしかったですが、序曲の始まり、その一番がホルンの独奏から始まります。奏者は多分緊張の絶頂と思うし我々聞く側も確りやってくれよと緊張します。当日の演奏は、一応成功としましょう、しかし、緊張の痕が滲んで聞こえたのは私だけでは無かったようです。
このオペラは特に長いです。6.30開演で途中休憩が1回だけ。それで、終演時間がちょうど10時でした。コンサート会場での1.5時間の幕間は、我々の世代にとっては、トイレの限界、一般的には1時間が限度でしょう。
舞台装置は、シンプルでそれが却ってストーリーを浸透させるにふさわしい演出だったと思います、緊張と感激が長時間続き、この日も疲れました。

5. 下丸子クラシック・カフェ 11月29日土曜 3時開演で行って来ました。
このコンサートは、大田区民プラザ大ホールにて開催されるシリーズ・コンサートで、当日が第30回目とのことでした。
このコンサートに黒木岩寿さんが石田康尚さんと出演すると言うので、黒木さんご本人からご案内頂き行ったのですが、このコンサートホールは、流石に田園調布の隣町で素晴らしいコンサートにホールにとめぐり逢った思いです。
クラシック・カフェと称するクラシック音楽の会で、山田武彦さんと松本志のぶさんの二人が主宰するもので、毎回、黒木さんや石田さんの様な人気実力の備わった奏者を呼んで演奏会が行われているようで、私が初めてと言うのも恥ずかしいと思うものでした。
黒木さんは元神奈川フィルの首席奏者で現在東京フィルハーモニーの首席奏者、石田さんは現神奈川フィルのコンサートマスターです。そして、武田さんはピアニストで芸大の教授を務められ、伴奏ピアニストとして活躍されている方、そして松本志のぶさんは、日本テレビのアナウンサーでしたが現在はフリーのアナウンサーとして活躍している方です。と言うことで、このシリーズ・コンサートは立派な役者が揃ったレベルの高いコンサートであります。
大田区民プラザ大ホールは、900名弱の収容人員で、2階席無しの大変音響効果の良いホールでありまして、席の差に寄る音響の質の差は無いと考えられます。
今回のコンサートは5月からチケットの販売がなされ、黒木さんから案内された10月の下旬は、既にソールドアウトでしたから、知る人ぞしると言うクラシックコンサートと思いました。
当日の演奏会では、黒木さんが急性腰痛で歩くのがやっとと言う酷い状態で、演奏は不可と言うハプニングとなり、トークだけに終わってしましました。
それでも、武田さんと石田さんは、予定のプログラムを何の瑕疵も無くこなして、聴衆に満足を与えるあたり、流石プロであり人気奏者であります。
改めて石田さんの独奏を聴いてみての感じですが、彼は世界的な有名奏者ではありませんが、世界的有名バイオリニストと石田さんは何が違うのか、石田さんは神奈川フィルをリードする傍ら、独奏者として大活躍の奏者です。兎に角、音が綺麗で、上手いです。演奏家の質に差は有りません。やはり、チケットの価格のバランスがリーズナブルと言う事なのでしょう。
コンサートのチケットは何時も早くに完売、CDの売れ行きも半端では無いようです。横浜発の文化度は、素晴らしく高いです。その音楽を聴いていると、デフレ経済の日本と言われますが、「それが如何した」と言う気になるから不思議です。

鈴木信行 :すずき のぶゆき

昭和45年勤務先のアイワ株式会社をスピンアウトして独立。

磁気記録に関る計測機器の製造販売の事業を開始し、その後カーエレクトロニクスの受託設計の事業を始める。

何れの事業も順調に発展したが、会長の永年の思いであった、ハイエンドオーディオの自社ブランドを立ち上げ、現在はカーエレクトロニクスの事業を主とし、協同電子エンジニアリング(株)として運営している。

現在、協同電子エンジニアリング(株)の取締役会長として、趣味のオーディオを健全に発展させたいと真摯に研究し、開発に勤めている。

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