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colums会長のコラム

会長のコラム 116

梅雨明けが待ち遠しいと思いきや7月半ばを過ぎるとトンデモナイ暑さ、と思うと、これまた涼しくなると言う天候不順の7月でした。
新国立劇場と神奈川フィルハーモニーの定期演奏会は、例年通り7月と8月は休みです。他のコンサートスケジュールもこの期間は少ないので、体も比較的楽でありました。
そんな環境のなかで、普段では目に留まりにくいマイナーなコンサートが新横浜グレイスホテルにて行われ行ってきました。7月11日18.30開演で、新横浜グレイスホテルの宴会場でのコンサートです。
このコンサート、「ペーター・シュミードルの世界」と称し、東京バッハハウス・アンサンブルと言うチェンバー・オーケストラとの共演でした。
会場は、ホテルの宴会場ですからコンサート会場としては天井が低く反響も良くないのですが、観客数が200名弱で舞台も低く殆ど客席と同レベルでして、楽器の直接音を聴くに相応しい環境は悪く有りませんでした。
ペーター・シュミードルと言う人は、私知りませんでしたが、プログラムによると、この人の親子3代に渡ってウイーンフィルの主席奏者を勤めたそうです、そして1967年からウィーン国立音楽大学の教授を務め、ウイーンフィルとベルリンフィルのクラリネット奏者全員が教え子と言うから凄い人です。と言うことは、かのカールライスターも教え子なのか、だと、すると凄い人ですよ。
演奏曲目は、モーツアルト/クラリネット協奏曲、クラリネットはもちろんこのペーター・シュミードルさんです。そして交響曲39番、ハイドンの交響曲45番「告別」でした。このチェンバー・オーケストラの指揮が、クラリネット奏者のシュミードルさん、コンサートマスターが山下洋一さんと言う人で、この方、中々の腕達者な方で、オーケストラをグイグイと引っ張って行く姿が印象的でした。
プログラムによるとドイツのマクデブルグ・フィルのコンサートマスターとのことであります。
こじんまりした王宮でのチェンバー・オーケストラの演奏は、ヨーロッパでよく出会いますが、日本のホテルでは、ヨーロッパの王宮の様に天井が高くなく、反響が良くは有りませんが、それでも、思いのほかに優雅な時を過ごす事が出来たのですが、チョット残念なのは、観客にマナーの悪い方が居たことですが、たぶん、このようなコンサートに慣れていないのでしょう。

さて、今月のコラムですが、仕掛かっている3チャンネル・マルチ・アンプシステムに付いて、その後の情況をお話することにします。

改めて、システムの構成と写真を載せます。

チャンネルアンプシステム

チャンネル・デバイダーは6dB/octのパッシブです。出来るだけミッドレンジのWE-22A+WE555の帯域を広く取りたいとの思いがありまして、ミッドレンジを250Hzから7kHzに設定しカットオフ常数を計算にしたのですが、これがシステム全体のうまく行かない最大の要因でありました。
設定したカットオフ周波数のチャンネル毎のF特性を採ってみると、意外にも、設定した帯域幅に問題が有り、特にホーンのカットオフ近辺の「暴れ」は無視できない事に気が付き、「暴れ」を避ける様にカットオフ周波数の設定をし直し、その上で、全帯域がフラットになる様にします。
同時にオーディオの原点に帰り、フィルター構成も「シンプル・イズ・ベスト」の思想から、ミッドレンジのバンドパスフィルターにするのをやめました。従って、その高域側は出しっ放しとなるわけで、ミッドレンジのユニットの特性に任せると言うことになります。
これは大成功でした、私のイメージ通りの音質に出来上がり安心して音楽鑑賞が出来るようになりました。
先日も近所にお住まいの録音技術者として活動されている、元ビクターの録音技術者であられた服部さんがお見えになり、良くぞこの複雑怪奇なシステムをここまで音作りをしたとのことで感心して帰られましたが、良い結果が得られた理由として、「シンプル・イズ・ベスト」がオーディオの真髄であり、チャンネル・デバイダーにおいても同様であると言うこと、理論をひねくりまわしたフィルター論は音質と無縁であり、測定しながら随時常数を定めることにしました。そして、解決に大きく貢献したのがリアルサウンド社のコネックに付属するF特測定機能でした。
しかし、前のコラムにも書きました様にミットレンジのWE-22A+WE-555の音源がツイター、ウーファーに対し1.7m遅れていることを石井伸一郎さんの計測によって明らかになった事に付いては未対策であります。
それでも、音場定位はそれなりに良い情況であると言うことは、左右チャンネルが同じ位相条件で動作している事であり、これが何よりも大事である事が、この事によって証明されています。
しかし、世に出ている高級スピーカーシステムは、この縦方向(ウーファー、ミッド、ツイター夫々間の位相差)の位相を合わせるのが当たり前になっていますから、私のシステムもその点の解決によって、一層のステージ感、ステージの見通し感が良くなるのではないかと思うのですが、ミッドレンジのカールホーンを1.7m前方にセットする事など出来ませんから、その対策にリアルサウンド社のデジタル・イコライザーの導入を試みた訳です。
生憎本器は、業務用のために入出力の基準レベルが+4dBmとなっており、我々のホームオーディオ機器の規格が200mV(-12dBm)ですから、これはアマチュアの方が業務用機器を使用する際大きな問題なのです。現在市販されているデジタル機器(ここでは、デジタル・イコライザー)は、楽器業界、スタジオ業務、劇場PAなどのプロ用に開発されたものが多く、これ等は全て基準レベルが+4dBmです。ホームオーディオ用をうたって販売されている物もありますが、この場合は当然-12dBmと言う事で理解していますが、規格値として明記されていないものがあって、理解出来ない事象にまま遭遇します。アマチュアの方で「業務用は優れもの」と勘違いして得意になっている人をみかけますが、この辺りの事情が、オーディオメーカーにとって悩ましい現実であり、最後は「好き、嫌いに口出しするな」と言うから、困りものであります。
-12dBmと+4dBmの違いは何が問題かと言うと、デジタル機器の場合、〇〇Bit処理と表示されるのが性能を表す重要事項です。これは、アナログ信号のヘッドルームを含めた最高レベルがフルビットで16Bit若しくは24Bit処理と言うことですから、われわれの使用するアナログレベルの-12dBmでは、業務用のレベルの+4dBmにはざっと6倍以上低いのです。
これを無視して業務用機器を使用しますと、16Bitなり24Bitの性能を発揮せずに、その足りない分がプアーな性能として動作します。それは極めて高性能仕様の無駄であり、場合によっては、何のためにデジタルプロセッサーを入れたのか、結果として入れない方が良い位の結果になってしまします。
機器性能を発揮させるためには、16Bitなり24Bitなりのフルビットを使い切って、デジタル機器の性能をフルに使い切る事にあるわけです。それには、デジタル機器の前にF特がフラットな高品質のリニアーアンプを入れて、業務用レベルの「+4dBm」までレベルアップして使用することです。
この目的のためにラインレベル変換用アンプなる機器が市販されていますが、此れも、今のところ殆ど業務用でありまして、ハイエンドマニアの使用に耐えるものは、私の知る範囲には有りません。

デジタル機器の使用でもう一つの大きな問題があります。それは、ボリュームコントロールを何処に入れるかです。今までお話してきたように、デジタル機器の前はアナログレベルをフルビットに合わせて固定したところですから、そのレベルを上下したのでは何もなりません。デジタル機器の後に入れなければなりませんが、音にうるさいマニアの方でもデジタル・イコライザーの前に入れる人が多いのです。
と言うことで、この使用に耐えるリニアーアンプの製作を完成させ、ボリュームコントロールをデジタル機器の後にCM-1(CM-3)をいれて、システムを完成させました。ブロック図で言うとチャンネル・デバイダー用フィルターの先頭ATTの前です。そして、リニアー・アンプがその前に入ります。
さて、デジタル・イコライザーを系に入れる事により、1.7mのミッドレンジの遅れは解決する事になるのですが、音場定位はどうなったか。残念ながら、正確には検証出来ていません、数値的には石井伸一郎さんが来宅して計測してくれる事になっています。私の経験からの試聴によると定位が全体に若干右にシフトします、それが正しいのか如何か、何か他に原因があるのかも知れません。いまのところ、デジタル機器は挿入しない状態が素晴らしいので、パッシブ・チャンネル・デバイダーでのみで聞いています。
正確な判断は、計測結果を待って結論付けたいと思っており、請う!ご期待と言う事であります。

8月10日からドイツのバイロイト音楽祭に旅立発ちます、初日が「さまよえるオランダ人」、2日目が「ローエングリン」、3日目が「トリスタンとイゾルデ」、4日目がタンホイザー、そして5日目が「パルジファル」と言う行程です。
この音楽祭では、同じ出演者によって6回行われるのですから、凄いことです、私達(家内が同行します)の体調が維持出来るのか心配です。8月の117号は、このレポートに終始する筈です。

鈴木信行 :すずき のぶゆき

昭和45年勤務先のアイワ株式会社をスピンアウトして独立。

磁気記録に関る計測機器の製造販売の事業を開始し、その後カーエレクトロニクスの受託設計の事業を始める。

何れの事業も順調に発展したが、会長の永年の思いであった、ハイエンドオーディオの自社ブランドを立ち上げ、現在はカーエレクトロニクスの事業を主とし、協同電子エンジニアリング(株)として運営している。

現在、協同電子エンジニアリング(株)の取締役会長として、趣味のオーディオを健全に発展させたいと真摯に研究し、開発に勤めている。

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