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colums会長のコラム

会長のコラム 025

フォノピックアップカートリッジのコンプライアンスに付いてお話します。最近、企業の法律コンプライアンスと言う言葉を良く耳にしますが、この場合のコンプライアンスと全く同意の言葉です。つまり、フォノカートリッジがレコードの溝を忠実にトレースする能力を数値として表したもので、フォノカートリッジの性能を表す重要な規格値なのですが、最近この値を表示しない広告や雑誌の評価記事を見受けます、その理由は定かでは有りませんが、利用者 にとっては由々しき問題です。

コンプライアンス値が低いと、針の溝に対する追従度合いが悪いと言うことで、針先の動きが硬いことを意味します、この様なフォノカートリッジは決まって針圧を重く設定します。針圧の重いフォノカートリッジが、イコール、コンプライアンスが低いと言い切ることは出来ませんが、因果関係のあることは否定出来ないでしょう。

レコードに「お化け」が出ると言いまして、音溝の振幅が大きく隣の溝の音が漏れてくる現象をいいますが、音の良いレコードに有り勝ちな現象です。この様な振幅の大きいレコードは規格外れなのかも知れませんが、昔の英国カットのデッカ盤などには良くありました。コンプライアンスの低いフォノカートリッジでこの様なレコードを再生しますと、いとも簡単にフォノカートリッジが飛び上がり、レコードにもスタイラスにも良くないことは明白です。

ムービングコイル型(MC型)フォノカートリッジの製作上の問題ですが、出力電圧を上げたり、スンピーダンスを低くしたりする為にコイルに掛かる磁束密度を高めるように設計するのですが、この時スタイラスを硬く固定すると磁界を強くしてもコイルは磁界の中で安定しますから、製作が容易になります。しかし、その分コンプライアンスは低くなります。

コンプライアンスに関わる要素は、フォノカートリッジの他の性能と反比例する事が多く、利用者に取って重要な項目ですから、選択の時には絶対に見逃せない表示項目です。また、大切なレコードの長期使用にも欠かせませんから、是非とも選別項目として比較の対象にしたいものです。

フォノカートリッジにおいて一般的にコンプライアンス値は大きいほど音溝に対する追従度合いが優れている事になります。そして、音が良い事が選定の絶対条件と言えます。

鈴木信行 :すずき のぶゆき

昭和45年勤務先のアイワ株式会社をスピンアウトして独立。

磁気記録に関る計測機器の製造販売の事業を開始し、その後カーエレクトロニクスの受託設計の事業を始める。

何れの事業も順調に発展したが、会長の永年の思いであった、ハイエンドオーディオの自社ブランドを立ち上げ、現在はカーエレクトロニクスの事業を主とし、協同電子エンジニアリング(株)として運営している。

現在、協同電子エンジニアリング(株)の取締役会長として、趣味のオーディオを健全に発展させたいと真摯に研究し、開発に勤めている。

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