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colums会長のコラム

会長のコラム 160

2016年1月のコラムです。
時期外れの挨拶となりますが、明けましておめでとうございます。お蔭さまで、本年も元気でコラムのスタートを切る事が出来ます。本年も宜しくお付き合いの事お願い致します。
今年の年末年始は、渋谷の東急セルリアンタワー・ホテルで過ごしました。ここの正月ホテル・ライフは、大人を対象としたもので、子供向けの企画は全く有りません、この点、評価に値するのですが、ホテルに常設するレストランの、伝統的な有名和食レストランは、相変わらず頂けませんでした。先刻、承知でしたが、正月は別かも知れないと言う思いが有り、トライしたのですが、やはり駄目でした。
ホテルの企画として、31日には特に催しは無く、1日正午から自慢の能楽堂でのお正月公演が催され鑑賞してきました。私、能舞に興味がある訳では有りませんが、長唄囃子の生演奏と舞台音響に興味があり、歌舞伎なども見に行きます。ですから、PAをフルに使うスーパー歌舞伎には全く興味が有りません。当日の舞踊は、素踊りで面を付けませんが、これが何を意味するか解りません。能舞台が、嘗て戦国武将などの教養と娯楽の代表で有ったこと、それこそ、日本文化の詫び寂びの境地、世界に例の無い独特の文化を誇るもので、私如きものでも興味を示す所以であります。当日のパンフからのコピーですが、内部の状態を添付しますのでご覧ください。

座席表 座席正面

続く元旦の夜ですが、ホテル内にあるジャズライブ、「JZ BRAT」にて「NEW YEAR JAZZ
LIVE 2016」と言うライブコンサートに行って来ました。当日の出演バンドは、ヴァイオリン、尺八、オークラウロ、ギター、太鼓と言う私のイメージするジャズバンドとは違う編成の「ALIAKE」と言うグループで、芸達者な若者グルーフでした。メンバーの全員が、邦楽の世界ではそれなりに実力が認められている人達のようですが、私は全く知らない人達でした。演奏曲目は、「春の海」などをジャズ化して演奏していました。
演奏形式が、意欲的な試みにも関わらず、客席は若い女性が圧倒的に多いのに驚きつつも、これだけ芸達者な者達なら専門の分野でもやって行けるのではないか、この若い女性客たちは彼らの演奏を判って此処に来ているのだろうか。我々オジサン、オバサン族はホテルの企画に乗ってやって来たので、偉そうな事は言えませんが、もしかすると、私を始めとして既に遅れた人種かも、いやいや、私に限りそんな事有りません。当日のPA(音響)は、全く頂けない不出来なもので残念に思っています。ヴァイオリンのPAは特に良く無いもので、演奏をぶち壊していました。生音を知らない若者を愚弄していますね、誰が悪いのか知りませんが、これで公演が成り立つのですから不思議な世界としか言い様が有りません。客席の彼女たち追っかけと称する人種かも知れません、そこには若い男が全くいないのです。
言い忘れましたが、オークラウドと言う楽器は、ホテル・オークラの創業者が尺八の欠点を補って、金属化して音の安定化を図ったものだそうで、手作りのものが数本現存するだけとのこと。当日使用された現品も普段は博物館にて保存されているそうです。当日の尺八奏者の小湊昭尚以外に数人しか借りる事が出来ないと言う貴重なものだそうです。
と言うことで、このバンドを構成する者たちは、日本発の芸術特使なのかも知れません。
今後を期待しましょう。
1月11日月曜 12:00より、オペラ歌手岡村喬生が主幹するNPO法人「みんなのオペラ」主催の新年会が、青山のレストラン・サバティーニにて行われ行って来ました。毎年行われるこの新年会、今年は何故か贅沢な会場で開催され昼間から美味しいイタリア料理とワインの飲み放題と言う豪華さ、帰りにはすっかり出来上がってしまい、夕食は抜きにしました。当日は、岡村さんの関係するオペラ・スクールの先生方と生徒さん有志の方々が参加され、ピアノ伴奏によるオペラ・アリアのオンパレードで楽しいひと時を過ごす事が出来ました。
私、歌を歌う事は好きなのですが、演歌を歌うカラオケは馴染めません。しかし、オペラ・アリアやジャズのピアノ伴奏によるカラオケは好きで本当に楽しいものです。学生時代は男性合唱で第二テナーのパートを歌っていましたが、社会人になってからは機会が無く止めてしまいました。時々、今回の様にその虫が目覚めて、本格的に習いたくなるのですが、年齢的に既に遅いのであります。
次いでの話として、演歌のカラオケですが、嫌いでは無く馴染めないのです。サラリーマン社会の常として、職場の上下関係が表れ、上手くもない上司にゴマを擦って手を叩くものだから、歌う本人は真に受けてごきげん麗しくですが、これって、実に嫌ですね。私の住む老人ホームにもカラオケ・クラブが有って、ここの住人は大方ゴマを擦られる側の人種が多かったようで、その嫌らしい状況が変な形になって、歌を歌う本当の楽しみから逸脱しています。一方、このホーム内にコーラス・グループが有って、ここは男性が不足で「サマ」にならないのだから、このオジサン達どうかしています。このカラオケのオジサン達も、かっては日本経済を立ち上げた企業戦士だったのでしょう、悪しき習慣が身に付いて、未だにへばり付いて哀れと言うもの。

1月16日土曜 14:00開演で神奈川フィル定期演奏会に、みなとみらいホールに行って来ました。指揮がモーシェ・アツモン、この人は、ドイツのドルトムント歌劇場音楽監督を務めた人で、ドイツを中心に活動している人です。日本では、N響、東京都響などとの共演があり良く知られた指揮者です。当日の演奏曲目は、ブラームスのヴァイオリン協奏曲、そして交響曲2番でした。ヴァイオリン独奏が佐藤俊介で、ご存じの方も多いと思いますが、この人は、主にドイツで活躍している人で、コンチェルト・ケルン、オランダ・バッハ協会のコンサート・マスターを務める傍ら、アムステルダム音楽院の教授を務めている人で、素晴らしい演奏家です、兎に角上手いです。私の好きなブラームスのV協では、古典的演奏のなかで、モダンなカデンツァを聞かせるなどなかなかの腕前でありました。
アンコールには、バッハのVソナタ2番の第3楽章が演奏され、正月らしいコンサートにご機嫌でありました。後ステージが、演奏機会の少ない、交響曲第2番でしたが流石にモーシェ・アツモンです、ブラームスの聞かせ処は「これだ」と言っているような演奏を感じつつ土曜のマチネは終演となり、「さあー、夕食をどうしようか」マチネ・コンサートのこの余裕は良い気分でした。
1月24日 日曜 14.00開演で新国立劇場 モーツアルト/オペラ「魔笛」に行って来ました。この公演は、今シーズン4回の公演が予定され、初日のマチネ公演でした。
今回の公演は、全てのキャストが日本人で、私が新国立劇場に通いはじめて以来初めての経験でした。指揮がロベルト・パーテルノストロ、オーケストラが東京交響楽団。指揮者のパーテルノストロは、ウイーン生まれでカラヤンの弟子として修行した人で、イスラエル・室内管弦楽団の音楽監督を務め、ヨーロッパの一流オペラ劇場で活動している人です。新国立劇場への出演は初めてです。
当日の歌手陣です。何と言っても夜の女王を演じた佐藤美枝子の健在ぶりが良かった。この人98年チャイコフスキー音楽コンクールの声楽部門にて日本人初の第一位が光ります。この時、日本ビクターからCDが発売され、その録音の良さが評判になり、買ったのを思い出します。それから現在に至り世界で活躍されているのですが、歌手生命の短いと言われるソプラノで、当日も素晴らしい声を聞かせてくれて頼もしく思いました。
新国立劇場でお馴染みの妻屋秀和が、ザラストロを演じ安定した声は相変わらず素晴らしい出来ばえでした。一方タミーノを演じた鈴木准は、私、初めて聴くのですが声量が弱くパミーナを演じる増田のり子に押され気味で、この現象は、オペラ公演には良くあるケースですが、理由は良く解りません。その他、侍女の三人は体系が揃って無い、太いの、細いの、ちょうど良いの、と言うのは残念でしたが、この人達のコーラスは良かった。そして童子の3人も良かった。総体的に良い歌手を揃えての公演に満足でした。
やはり、マチネ公演は行き帰りにストレスが無くて良いものです。来シーズンの公演案内が、初日公演のまとめ買い客向けの購入案内として届きまして、全9演目中4演目がマチネでした。夜の公演が多いのですが、申し込み易さと席の割り当てが優先されるので、来シーズンも初日公演日の纏め買いで申し込んでしまいました。夜の公演は、ストレスと考えずに、他人は皆楽しさを求めているのですから私も務めることにしました。
それから、当日のマチネ初日は、日曜と言う事と演目がモーツアルトと云う事もあり、小学生の観客が正装して来ていました。当然両親か祖父母の同伴ですが、誠に頼もしい光景でご家庭の様子が偲ばれる、海外でも良く見かける光景に、子供嫌いの私も頼もしく感じてしまいました。
さて、1月の残りスケジュールは、1月30日に神奈川フィルの県民ホール・シリーズが予定されていますが、季節の挨拶が期限切れとなりますので、コラム160は此処で〆る事に致します。

鈴木信行 :すずき のぶゆき

昭和45年勤務先のアイワ株式会社をスピンアウトして独立。

磁気記録に関る計測機器の製造販売の事業を開始し、その後カーエレクトロニクスの受託設計の事業を始める。

何れの事業も順調に発展したが、会長の永年の思いであった、ハイエンドオーディオの自社ブランドを立ち上げ、現在はカーエレクトロニクスの事業を主とし、協同電子エンジニアリング(株)として運営している。

現在、協同電子エンジニアリング(株)の取締役会長として、趣味のオーディオを健全に発展させたいと真摯に研究し、開発に勤めている。

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